「使い古されたAIネタだと思ったら。」ザ・クリエイター 創造者 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
使い古されたAIネタだと思ったら。
「モンスターズ|地球外生命体」、「GODZILLA ゴジラ、「ローグ・ワン|スターウォーズストーリー」のギャレス・エドワーズ監督最新作!
ローグワンは途中降板して(させられて)トニー・ギルロイ監督が手直ししたなんて不名誉な話もありました。
自分の名誉にかけて本作は失敗は許されない!
なのに何でこのネタを選んだんだギャレス!笑
誰もがやめておけと思った人工知能VS人間ネタ
しかし、ギャレスは違った。着眼点が違う。
冒頭から美しい構図と映像、観たこともないガジェットのラッシュにノックアウト!本作の予算は8000万ドルでこの規模にしてはとても少ない!(TENETの約4分の1!)カメラも50万円くらいのヨドバシカメラで買えるレベルのものを使ったシーンもあるということで、極限までコストカットしています。それなのにこの映像が撮れてしまうというのは天才かもしれない。ギャレス・・。
「地獄の黙示録」、「AKIRA」、「攻殻機動隊」など数々のギャレス・エドワーズ監督の"好き"が詰まった作品で、背景と登場人物の構図からノマドという本作オリジナルの宇宙船の出し方からとにかくカッコいい。
ただ、脚本に関しては気になるところが多々ある笑
AIとアメリカ人とアジア人の敵対関係の度合いがすごくふわっとしたまま進むので、サスペンス的な意味合いとは全く関係なく敵味方が分かりにくい。今誰に追いかけられてるの?って少しイライラするところが何度かあった。ラストでも根本的な問題は解決してないし、あの子をどうやって作ったとかあの子の能力どうなってるのかとか、難しいところは脚本でフォローされません笑
ただし、こんなことは非常に些細なディテールで、ギャレス・エドワーズ監督の想像力により作られた数々の架空の風景、架空の乗り物、架空の街、その全てに魅力的に作られているところは評価に値すべき点であると思う。私は凝った脚本の映画が好きだが、過去のレガシーを味がしなくなるまで搾り取っている昨今のSF映画界を思うと、SF映画には本作のようなオリジナリティや想像力というものが改めて必要だと思ったし、子供にこそ観て欲しいと思う作品である。こういった挑戦は全力で応援したいと思った。ギャレス・エドワーズ監督がTHE RIVERのインタビューで答えていたように、2年後の映画館でどんな映画が上映されるかは、今私たちがどういった映画を選びチケットを買うかに委ねられている。
上映形式に関しては、本作は画角が2.76:1なのでIMAX スクリーンだと上下見切れます(いわゆる額縁上映)で少しガッカリなのですが、ローグワンと同じく横長スクリーンは高級感あります。ギャレス・エドワーズ監督のイメージする風景はこの画角がピッタリだと思う。また、音響はIMAX 6-TRACKで録音しているそうなので、IMAXで観ても全く損はないと思います。
追記1:
個人的にはAIが身近になってきた昨今、CHAT GPTのAIの返答も並の人間よりも道徳感のある返答をする時もあり、本作の途中でアジア人が「AIは想像を超える進化をしている!」と言うシーンがありワクワクしていたのだが、このセリフは結局回収されなかったのが残念。個人的には知能指数0のアメリカ軍に対して圧倒的な道徳心とポリコレを見せつけるAIという構図が観たかったかも。
追記2:
レディオヘッドの"Everything In It’s Right Place "の使い方好きです。