ミャンマー・ダイアリーズのレビュー・感想・評価
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ミャンマーで今起きていること
軍事クーデターが起きているまさにその瞬間に踊っている女性の有名な動画から始まるこの映画。スマートフォンで誰もがカメラマンになれる時代、本作のような匿名市民の映像を集めたドキュメンタリー作品が活況を呈している。あの踊る女性の動画も、ちょっとしたプロが狙って撮っていたら「狙いすぎだろ」と言われていたに違いないが、偶然撮れたものだからこそ価値があった。ともかく世界中にカメラが偏在していることにより、ああいう動画が生まれる。本作もプロのクルーだけでは撮りきれない映像に溢れている。
プロによる詩的な映像も挿入され、それもハイセンスだが、やはり軍が掌握し、他国からは何が起きているのかうかがい知れないミャンマーの今を捉えた匿名者たちの映像が白眉だ。資料的価値も圧倒的に高く、目を背けられないパワーに満ちた映像ばかりでドキュメンタリー作品としても優れている。今、世界で起きていることを知るために貴重な作品。
命懸けの訴え
映画内容はドキュメンタリーで
撮影し映像編集された方の名前は匿名
顔も勿論モザイク、演者も
誰だか分からぬように配慮されている
約10名による匿名監督で構成されて
いるのですが、軍事政権の圧政化の中で
軍とは何のためにあるのかは勿論
デモ🪧を武器で抑えつけようとする
姿勢は昔のビルマと変わらない
揺れるミャンマー
ミャンマーという国については
ミャンマー製靴をよく目にする、アウンサンスーチー氏ぐらいしか知らなかった 大混乱の内情や市中の近代化にもとても驚いた しかしあれでは経済発展どころの話ではないであろう 処々スマホで?撮影しているのかとてもリアルで、抗議をしている人達には銃撃の危険をいつも感じた 自由を求め抗議し続ける市民は勇気が有る、自分だったらあんなに命懸けで勇敢にとてもじゃないけど闘えないと思った 軍事✕民主化の道を辿る国家って多い、圧政に反対する心は人類共通なのだ 何箇所かホントかなという所もあったけれども、とにかく映画としての出来とか関係ないと思えるほど怖い現実であった
意義はあるけれども、やや戸惑った
ニュース映像に出てくるような軍による市民への銃撃場面の続出を予想していて、もちろんそのような映像もあったものの、合間に挟まれた幻想的な映像には、やや戸惑いを感じた。蛹から蝶への変態は、雌伏の時期だという意味なのだろうか。妊娠を恋人に打ち明けるかどうかを迷う映像には、昔ながらの革命物語にも準えられるけれども、18歳未満の年齢設定には賛同できない。辺境地域における武装訓練の話は、別の報告集会で聴いたことがあるけれども、こうした映像公開も秘匿しなくて大丈夫なのかと思った。
チャリティー上映!
なんとか間に合いました〜!
あっと言う間に終わってしまうので、お近くで上映がある際には「映画に呼ばれた」と思って行ってください。
配給は藤元組で、利益は全額ミャンマーに寄付されます。さすがは第三回大島渚賞受賞監督!
70分と短い映画ですが、濃厚。
軍事政権下にあるミャンマーのリアルな映像と、名前を明かせない映像作家たちの短編が連なっていきます。
両方で一つの映画として構成されているところが、とくに素晴らしい。
ノンフィクションの力強さと、フィクションのエモさ。それぞれの方向に心が動かされます。
そして同時に、言論の自由が奪われるなか命がけでフィクションを紡ぐ監督たちの宣戦布告でもある。
読み応えのあるパンフレットも支援に繋がります。
匿名監督のインタビューやSNS映像の解説なども詳しく書かれていて、撮影していた時の状況を読むと、この映画を日本で見ることができる奇跡に胸が熱くなります。
映画が撮られた2021年より状況は悪化しているそうですが、新たなプロジェクトについても書かれていますので、希望を絶やさず、心を寄せたいです。
特定非営利活動法人パルシック主催の「ミャンマー講座2023 映画監督から見たミャンマー」でも藤元監督の貴重なお話が聞けたので少しご紹介。
監督のミャンマーでの結婚式がめっちゃ仏教で驚きました。長蛇の列のお坊さん達にお米を差し上げたり(托鉢)大広間いっぱいのお坊さんと有難いお話しを聞いたり。
宗教の話もNGだそうですが、ふと映画にも出てくる蝶のモチーフが意味するところなど、日本に通じるところも沢山あるのでは?と感じました。
そして監督の映画作りに対する姿勢に痺れました。
「伝えたいメッセージを排除するように心がけている。」「見る人が感じるものだと思うので、入れたくなる気持ちをグッと我慢している。」「特定の何かを入れすぎるとプロパガンダになってしまう。」
なんと映画の力を信じた言葉!
なんと観客の力を信じた言葉!
さすがは坂本龍一が選んだ監督。
今後の活動にも注目したいです。
戦術
厳しい状況下、作品を作り上げたことに対し⭐️4つ。
最早そうするしか無いというのはわかる。
こんな言い草は辛い。
しかし圧倒的な武器を有するプロの軍・警察に対し、武力で対抗するしかないとすれば、相手の思う壺の"負け戦"では?
状況はさらに悪化している
クーデター直後から概ね2021年中のミャンマーの状況を基に作られた作品。生命の危険があることから、制作者や出演者は匿名とされている。
実際の市民的抵抗のフッテージをはさみながら、抵抗に殉じた人、残された人、間で悩む人の心持ちが描かれる。明確な特定のキャラクターは登場しないが、抵抗を象徴する個人の心情に寄せた造形をされているのがダイアリーと題する所以だろう。
フッテージ以外のシーンが現実の出来事か、再現なのか、創作なのかは明示されない。映画全体の立ち位置は抵抗側にあるが、CDM(市民不服従運動)に参加して家を追い出される人、参加を拒んで子供がいじめられる人など一様ではないさま、そしてそういうことを議論できない社会状況も捉えられている。とはいえ、圧倒的な印象は非武装の市民による抗議と、それに対する治安当局の圧倒的な力の行使である。「時代革命」にもあった、自分の子供と同じ世代の若い警官(兵士)に丸腰で取締り停止を呼び掛ける親の行動には涙が止まらなかった。
終盤でカバーされていたように、時が経つにつれ反軍政の抵抗はCDMから国軍との武装闘争へと拡大している。国軍による空爆などで市民の死傷や避難民も急増している一方、反軍政派による軍政に協力する市民の殺傷も相当数起こっているとされる(「ミャンマー、市民殺害6300人超 民間報告、反軍派も3割関与か」時事通信、2023年6月13日)。暴力の応酬はエスカレートしている。
ミャンマーの民主主義と市民の自由の復活のために闘う全ての人々に敬意を表したい。部外者として暴力行使の是非にはコメントできないが、全ての暴力が停止できるよう、対話による問題解決の道筋が一刻も早くつくられることを望むとともに、暴力に傷ついた人々に対する人道的支援の努力のためにできることをしたい。
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