「期待していたよりも、真面目でおとなしい」怪物の木こり tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
期待していたよりも、真面目でおとなしい
サイコパス対連続殺人鬼という謳い文句から、悪対悪の「倫理」なき戦い、あるいは「毒をもって毒を制す」的な情け無用のバトルを期待したが、思ったほど突き抜けた展開にはならず、やや肩透かしを食う。
むしろ、「怪物の木こり」が悪を退治しているということが早い段階で分かってしまうので、正義の味方として思わず応援したくなってしまった。
事件の構造にしても、連続幼児誘拐事件が発生している最中に、あちこちの養護施設の前に児童が放置されたら、誰だって誘拐された子供だと分かるだろうし、サイコパスを生み出すための「脳チップ」という仕掛けにも、今一つリアリティが感じられなかった。
他の被害者に比べて、亀梨和也演じる弁護士だけが、何度も難を逃れるのも不自然だし、彼がターゲットだと分かっていながら、違法捜査という理由で、なかなか「行確」に踏み切らない警察の対応にもイライラする。
結局、誰が「怪物の木こり」なのかということが物語の焦点になり、いかにも渋川晴彦演じる刑事であるかのようなミスリードがあるのだが、もし彼がそうなら、真っ先に中村獅童演じる殺人事件の容疑者を殺しているはずで、そこから、消去法で「怪物の木こり」の正体が分かってしまうところもいただけない。
ラストは、悪対悪どころか、共に良心を取り戻した者同士の戦いとなり、いったいどちらに肩入れしたらいいのか、気持ちのやり場が分からなくなり戸惑ってしまう。
最終的に、染谷将太演じる正真正銘のサイコパスだけが生き残るというエンディングにも、釈然としない後味の悪さが残った。
確かに、切れ者の弁護士のはずなのに、自分をつけ狙う者の正体を本気で突き止めようとしていなかった(ように見えた)のは不自然でした。
中村獅童は、このまま、癖のある名バイプレーヤーとして活躍してほしいですね。
亀梨くんは獅童の正体が最後まで解らないのが不思議、監禁場所から想像つきそうだけど。にしても獅童、「首」でも見たし芸能ニュースで子どもと舞台に上がったり露出し過ぎです。