「寿命移植」パラダイス 人生の値段 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
寿命移植
なかなかエッジの効いたラストで、2時間つき合った甲斐がある。
寿命が移植できる近未来は、残り寿命が通貨として腕に表示される『TIME/タイム』を思い起こさせる。
『パラダイス 人生の値段』では、寿命を売買した結果が、目に見える形で描かれる。ドナーとして若さを提供した側は、提供した年齢分、老化が進む。受け取った側は、時計を巻き戻したように若返る。
この近未来のドイツでは、医療行為としてこの売買が合法化されている。
寿命を売買できるというアイデアは面白く、物語を駆動する力は抜群にある。惜しいのは、このバイオテクノロジーの理論が示されていないこと。
細胞の寿命を司るテロメアの数を契約年数分移動する技術ではないかと想像したが、SFである以上作り込んで欲しかった。
最後まで飽きさせない展開も続くし、富裕層と貧困層の寿命格差が広がりつつある資本主義の歪みを体感できるSFスリラーに仕上がっている。
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