違国日記のレビュー・感想・評価
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朝は必ず来る、新しく、美しい
目の前で両親を事故で亡くした15歳の少女、朝(あさ)
朝の母の妹、つまり叔母にあたる、小説家である槙生(まきお)。
槙生は姉のことを嫌い、家族とも疎遠になっていた。
そんな二人が一緒に暮らすことになるが、性格は対称的。
理解し合えないながらも、日を重ねていくうちに、親子とはまた違った、
関係性を築いていく。
朝の母は朝から見てどんな人だったのか、
槙生の姉は槙生から見てどんな人だったのか。
両者の視点からの対比。
また、二人を取り囲む、女性の友人たちとの関係。
大人の女性友だち、女子高生の友だち、そして年齢差を超えた、
大人と女子高生の友だち関係。
面白い描写であった。
朝を演じた早瀬憩さん、新人さんなの?
人懐っこい性格や感情表現、セリフの言い回し、多感な年ごろの女子高生を
うまく演じていました。なんともかわいらしい。
槙生を演じたのはガッキー、小説家だけど、家事はダメダメ、
髪はぼさぼさ、服装も無頓着、がさつな女性な役柄。
ホントは主人公なのかもしれないけど、この映画は朝に持っていかれた感も。
周りの友人には瀬戸康史さんや夏帆さん、
私の好きな染谷将大さんはもっと出番がほしかった笑
でも・・・結局、槙生の姉、朝の母は結局槙生をどう思っていたのか、
そして娘が高校卒業のタイミングで何を伝えたかったのか。
最後まで知りたかったような気もする。。
普遍的ではないと自覚ある私が多感な少女を育む
2024年劇場鑑賞43本目 秀作 69点
ちょっと捻くれた、そして今の仕事や生きてきた過程でいわゆる普通ではないのかもしれないと思う成人女性がひょんな出来事から多感な時期にある大人になる前の女の子との生活を強いられるが、影響を与えてしまうことを懸念して、仲を育むのを躊躇している一部始終を映す
まず、主人公の新垣結衣の同義が理解できる
自分の価値観が卓越しており、空間や関係に他者を介入させずにいる反面、どこか寂しさと社会から孤立を少し恐れている様、過去のしがらみや正しい自分とその側面を理解できている上で自立している佇まいが納得である
小宮山ちゃん、ヤクザと家族から一目惚れだが少女は卒業しないから3作目の今作でも光ってましたね
特に大きなことが起こるわけでもないし、スローライフムービーだから尺も長いけど、そこまで退屈だった印象はない
思い返すと、夏帆との3人で家で料理だかするシーンでの我々みたいな大人にならないほうがいいとか、手本にしない方がいいみたいなセリフの皮肉も交え、少女を思ってあくまで超一般的な成人社会人とか少し離れた我々をスタンダードにするなと言わんばかりのそんな卑下してない感じが印象的だった
あとは3人で帰るシーンとか最後のバンドのシーン、家に友達呼んで襖越しに見え隠れしてるシーンとか、全体として距離感と陽と陰の対比がよかった
主役のお二人が素晴らしかった
交通事故で両親を失った田汲朝を、母親の妹である叔母の高代槙生が引き取って同居生活するというお話でした。「正欲」で新境地を開拓した感のある新垣結衣が、引き続き安定の演技を魅せてくれたのは期待通りでしたが、本作が映画初主演という早瀬憩が、非常にいい味を出していて素晴らしかったです。
ストーリーのポイントとしては、槙生と姉の長年の確執でしたが、そんな姉の娘を引き取った彼女の心境の微妙な移り変わりが暗示的に描かれており、その辺がジワジワと伝わって来て心地よかったです。また両親を亡くした直後の茫然自失した状況から、本来の明朗快活で元気な高校生に戻りつつある朝の姿が変わっていく感じも、観ていて勇気付けられるものでした。叔母と姪の関係とは言え、殆ど没交渉だった2人の出会いと共同生活が、観ている者がそれぞれに抱える実生活におけるわだかまりとか悩みに重ね合わせて振り返る時間を貰った気がして、ヒーリング効果があったように思いました。
不満があるとすれば、作中しばしば出て来る手紙などの文字が、半ばぼんやりと写っていてきちんと読めなかったこと。敢えてそういう風にしていたのか、私のメガネの度が合っていないのか分かりませんが、もう少しちゃんと読ませて貰いたかったなと感じたところでした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
癒されました
かくしごと
星はいつでも3つです。
瀬田なつき監督『違国日記』
交通事故で両親を亡くした十代の姪・早瀬憩を引き取ることになったラノベ作家の新垣結衣。
丁寧に描写されたふたりの生活はいつまでも見ていたいと思わせる。
早瀬と新垣の距離感の伸び縮みが絶妙で、苦さはさほど感じないように作られていて全編心地よいが、よっく味わうとところどころ苦い。こういうところも監督のすぐれた手腕。
じんわりくるクライマックス。監督と両女優に大拍手。
早瀬憩は河合優実っぽい存在感。私が好きだったテレビドラマ『ブラッシュアップライフ』にも出演していた。
また夏帆や銀粉蝶も出演していてうれしい。
原作を読んでいるかどうか
TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞。
表題の通り、原作を読んでいるかどうかで評価が別れる印象を受けました。
原作11巻あるうちからいくつかの要素やエピソードを抜き出して実写化しているのですが、やはり個々のエピソードのボリューム不足は否めません。 原作では掘り下げのあったところで説明が足りず、分かりにくい部分が多々あったように思います。また、改変した部分がエピソードの魅力を損ねてしまっている部分もあるように思いました。三森さんが軽音を辞める下りとか、森本さんの留学の下りとか。逆に原作で印象的なシーンがさらっと流されていたりもしました。日記をつけ始める所は、もっと大きく扱っても良かったのでは。
また、主観的な話になるのですが、新垣さん演じる槙生さんのキャラクター設定について違和感が拭えませんでした。原作の「群れをはぐれた狼のような」鋭さや毒が、大きく緩和されていたというか。あと槙生さんの部屋に観葉植物や絵が飾られているのはどうなんでしょう。埃被らせたり枯らしてしまうから買わない置かない人な気がするのです。
それから、原作は詩的に感じられるモノローグを多用していて、それが私には大きな魅力だったのですが、それがほぼなかったのは残念でなりません。
と、色々批判的な事を言ってしまったのですが、個々の役者の方の演技は良かったですし、上記のように書き連ねた文句についても原作読んでない方にはあまり関係のない話です。ただ私が原作と映画を切り離して考えられないだけで。
原作を未読で映画を観た方は、是非原作の方もお読みください。
新垣結衣さんが美しすぎて共感が薄れるとの酷評もあるけど
2人の関係性が面白い
愛するよりも大切なこと
誰かを愛するよりも、「踏みにじらない」ことのほうが大切だと思う。いくら(一方的な)愛情があっても、それが刃となって相手を傷つけたり踏みにじったりしてしまっては意味がない。他人はもちろん、親子でも。
踏みにじらないために重要なのは、線引きをすること。私とあなたは違う、という線引き。だから、互いの気持ちは分からないし理解できないし寄り添えない。そんなことは必要ない。共存するために必要なのは、愛することよりも、踏みにじらないこと。尊重。
原作を読んだ時、「あなたを愛せるかどうかはわからない。でも私は決してあなたを踏みにじらない」という台詞にがつんと殴られたような衝撃を受けた。なんて強く美しい言葉だろう。
とにかくこの原作者ヤマシタトモコさんは、台詞の力がすごい。未読の方はぜひ、1話2話だけでも読んでみてほしい。圧倒的な言葉の力が、ヤマシタ作品の世界観を支えている。
両親の死をうまく悲しめずにいる朝に、「べつに変じゃない。悲しくなるときがきたらそのとき悲しめばいい」。
葬儀の場で親戚たちの無神経な言葉にさいなまれる朝に、「15歳の子供はこんな醜悪な場にふさわしくない。もっと美しいものを受けるに値する」。
一度見ただけで忘れられなくなった。とてつもない名シーンで名言だと思う。
踏みにじられて傷つきながら大人になった槇生が、今まさに目の前で踏みにじられている子供を見過ごすことができずに、自分の人生を変えてまで手を差し伸べた。
私も槇生と同年代で、この年になると仕事もプライベートもだいたい安定し、自分の生き方が決まってきている感じがする。このタイミングで人生を変えるような決断をするというのは、なかなか胆力がいる。槇生は生き方を変えたくないタイプの人間だ。それでも朝のために変えた。
そしてまたシスターフッドの心強さも感じる映画だった。槇生の親友を演じた夏帆さん、最近ブラッシュアップライフを見たのもあり、主人公の心地いい親友としてこんなに素敵な演技をされる女優さんなかなかいらっしゃらないと思う。この親友がとてもとてもよかった。本当に信頼できる素敵な女性。
あと、朝ちゃんを演じた早瀬さんの、なんとも言えない瑞々しさ、無垢な無邪気さ、明るさと翳り。引き込まれる。そしてとても可愛い。朝そのものの佇まいだった。
新垣結衣さんも、槇生にしては可愛すぎるかなと思ったけど、全然よかった。いつもの生来の可愛さは封印し、でもところどころでにじみ出るのが、逆に槇生らしくてよかった。
ストーリーはやはり原作に比べたら薄味にはなってしまうけど、キャスティングが非常によかったので、あの世界が映像になっているという満足感がすごかった。
別の人間として相手を尊重する姿勢
原作は途中まで(結構序盤)読んだが、最後まで読めていない。でも、この映画の半分以上は知っているエピソードだった。たしかにこの設定と基本的な関係性を描くだけでそれなりの尺は必要ってことだ。あまり大胆な端折り方をしなかったことは素晴らしいと思う。
姉との不仲のせいでほとんど会ったことのない姪を引き取ることになった作家の話。最初は距離があってギクシャクしていた2人が、徐々に家族になっていくという「海街diary」のような展開を漠然とイメージしていたが、ヤマシタトモコはそんなに優しくない。家族であろうともどんなに親しい間でも、相手は別の人間であるという姿勢を貫く。別の人間であるからこそ、どんな選択をしたとしてもその人の人生として、その選択を尊重すべきだと伝えてくる。当たり前のことなんだけど、それを貫くことはなかなか難しい。
原作を最後まで読んでいないから推測でしかないが、この映画だけでは全てが語られていない気がする。原作のある映画には常につきまとう問題ではあるのだが。でも映画として不満を感じたわけではない。槙生のコミュ障だったり少しだらしなかったりするところや、朝のことを子ども扱いしないところは人として魅力的だ。
この槙生を演じる新垣結衣がまたいい。「正欲」に続き、かなり癖のある役をさらりとこなすあたり、俳優としての風格が出てきた。原作ももう少し残っている(推測だけど)し、彼女が演じる槙生をもう少し観てみたい。そして、個人的に興味が湧くのが原作の中身だ。続編までに最後まで読んでおかないと!
丁寧。
一つ一つのシーンをさっと見せるのではなく
丁寧に映像にしているなという印象のある映画でした。
たわいもないみんなで餃子パーティするシーンも、結構長い時間うつされていましたが、そんな自然なシーンが、見ていて微笑ましくて、ずっと見ていられました。
朝ちゃんが、とんでもなくいい子ですね。
とんでもなくいい子です。ひねくれてなくて素直で
真正面からマキオちゃんに質問したり意見したり
なんかいいなぁ、素直って素敵だなぁって思いました。
タキオちゃんの色んな大人になってから見た世界からの意見も、見てて分かるし、そう思うし伝えるのって難しいけどそうなんだよなぁみたいな共感シーンもあれば、
この言い方だと、朝ちゃんにはまだ伝わらないよなぁとか、見ながら色々考えて気持ちを汲める映画でした。
かなり長い作品ですので、見応えはあります、ハラハラドキドキみたいなシーンはないので、スリリングを求める方は物足りないと思いますが、人が人を想う気持ちとか、気持ちをしっかり考えたりできるような映画だなと個人的には思いました。
色んな人がそれぞれ色んな思いを持っていて悩んでいて葛藤していて、それでも支えあったり、時には喧嘩したりして、生きてるなって感じでした。
見てよかった作品です。
引きこもりぽいボサボサなマキオちゃんしか見てなかったのに、本発売イベントで急に新垣結衣が出てて綺麗でした!笑
ベビーフェイスの早瀨憩の透明感がすごい
いろいろあるけど、明るく前向きに生きるのだ
朝の目の前で両親が事故死した。母の妹の槙生(まきお)は子供が苦手だが勢いで姪を引き取ると宣言する。2人の手探りの生活が始まった。
娘への愛ゆえに価値観を押し付け気味だった母に対し、自主性を尊重する叔母。高校に進学して人間関係も変わり、朝は戸惑いながらも自分で判断することを学んでいく。槇生は朝との生活の中で、嫌いだった姉の思いの一端に触れ、自分の気持ちを整理していく。
出演者の自然な演技で、観ていてほっとする作品です。新垣結衣さんの落ち着いたトーンの声が、信念をもって生きている女性を体現し、夏帆さんもしなやかに生きる女性を好演していました。
設定が甘いところがありますが、おまけで☆4です。
幾つかの違和感
本作は、周囲の固定観念や偏見に悩みながらも前向きに生きる女性にエールを送っている作品なんだろうと思います。ただ、いろいろ盛り込み過ぎて、違和感が生じてしまいました。
両親が事故死した事を隠すのは不可能だし、中学の担任の対応は適切で、朝が変に気を使われたくなかったとしても、あんなに激高するのはキャラクター的にも変でした(父親の会社が倒産した、とかならわかるけど)
朝の両親は席を入れていませんでしたが、あの母親はきちんと入籍したいと思うタイプでは無いでしょうか。
槙生が姉の言葉にずっと傷ついてきたとしても、十数年全く会わないなんて、恨み過ぎじゃないでしょうか。あるいは、姉妹の母親は何でフォーローしなかったのか。母親が原因を作っているのに。
槙生と奈々が仲良くじゃれ合っている様子を朝が興味深く眺めていると、奈々が、「そっかー、こんなだらしない大人に会ったことが無かったかー」みたいなセリフがありましたが、どこがだらしない?と思いました。槙生は人気作家で片付けが苦手なだけだし、奈々はデキる女、仕事場はキチンと整頓され、料理も上手く、身だしなみにも手を抜かない(足りないのは夫くらい?)
一昔前に、家庭を持って子供がいる女性を勝ち組、独身女性を負け組と線引きするのが流行りましたが、制作者こそがそれを引きずっているんじゃないでしょうか。
登場する女性は高校生も含めて生き生きしていましたが、男性は脇役でした。男性だって色々悩んでると思います。
朝には悲しみの感情が薄いんでしょうか、父親の存在感はゼロでした。
それぞれの建国日記
予告で毎回ちょっと涙腺が緩んでた作品。
曲も好きだったのに、インスパイアソングということで聴けなかったのは残念。
『正欲』に続いて内向的キャラのガッキーと、瑞々しい早瀬憩ちゃんの対比がいい。
ぎこちない共同生活も、予告の「はい、いってらっしゃ〜い」に繋がると思うと逆にニヤニヤする。
ネタバレと言えばネタバレだけど、これはむしろ見ててよかったかな。
槙生は初対面が混じると一気にコミュ障化するけど、奈々を挟んで距離を詰めるあたり自覚ありそう。
全体的に会話の雰囲気がいいので、大きな出来事がなくても見ていられる。
無神経な人はいても、悪人は出てこない塩梅も好み。
遺品整理の際に槙生が避妊具を見つけ、一旦閉じた後に他のもので隠しながら捨てるなど、細かな笑いも。
ただ、映画としてまとまってるとは言い難い。
人間関係に留まらず、やりたいことや自意識、ジェンダー差別、同性愛など盛り込みすぎたか。
塔野のシーンは、朝の音楽への興味の補強にしかなっておらず、PCも詞の印刷に使ったのみなので不要だった。
その分を他の掘り下げやキレイな締めに回せなかったのだろうか。
後半に笠町が家にいるシーンなども、やや唐突。
朝が暗闇にいたり、急に周りの人が消えたり、幻覚や幻聴などの演出も大袈裟で浮いてた。
とはいえ、色々あるだろうけど大丈夫だと思えるラストは嫌いじゃない。
続編あったら観たいし、アニメも楽しみ。
違国に来たように思えても、人はそれぞれ自分の国をつくるしかないのだろうなぁ。
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