違国日記のレビュー・感想・評価
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かくしごと
星はいつでも3つです。
瀬田なつき監督『違国日記』
交通事故で両親を亡くした十代の姪・早瀬憩を引き取ることになったラノベ作家の新垣結衣。
丁寧に描写されたふたりの生活はいつまでも見ていたいと思わせる。
早瀬と新垣の距離感の伸び縮みが絶妙で、苦さはさほど感じないように作られていて全編心地よいが、よっく味わうとところどころ苦い。こういうところも監督のすぐれた手腕。
じんわりくるクライマックス。監督と両女優に大拍手。
早瀬憩は河合優実っぽい存在感。私が好きだったテレビドラマ『ブラッシュアップライフ』にも出演していた。
また夏帆や銀粉蝶も出演していてうれしい。
原作を読んでいるかどうか
TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞。
表題の通り、原作を読んでいるかどうかで評価が別れる印象を受けました。
原作11巻あるうちからいくつかの要素やエピソードを抜き出して実写化しているのですが、やはり個々のエピソードのボリューム不足は否めません。 原作では掘り下げのあったところで説明が足りず、分かりにくい部分が多々あったように思います。また、改変した部分がエピソードの魅力を損ねてしまっている部分もあるように思いました。三森さんが軽音を辞める下りとか、森本さんの留学の下りとか。逆に原作で印象的なシーンがさらっと流されていたりもしました。日記をつけ始める所は、もっと大きく扱っても良かったのでは。
また、主観的な話になるのですが、新垣さん演じる槙生さんのキャラクター設定について違和感が拭えませんでした。原作の「群れをはぐれた狼のような」鋭さや毒が、大きく緩和されていたというか。あと槙生さんの部屋に観葉植物や絵が飾られているのはどうなんでしょう。埃被らせたり枯らしてしまうから買わない置かない人な気がするのです。
それから、原作は詩的に感じられるモノローグを多用していて、それが私には大きな魅力だったのですが、それがほぼなかったのは残念でなりません。
と、色々批判的な事を言ってしまったのですが、個々の役者の方の演技は良かったですし、上記のように書き連ねた文句についても原作読んでない方にはあまり関係のない話です。ただ私が原作と映画を切り離して考えられないだけで。
原作を未読で映画を観た方は、是非原作の方もお読みください。
新垣結衣さんが美しすぎて共感が薄れるとの酷評もあるけど
2人の関係性が面白い
愛するよりも大切なこと
誰かを愛するよりも、「踏みにじらない」ことのほうが大切だと思う。いくら(一方的な)愛情があっても、それが刃となって相手を傷つけたり踏みにじったりしてしまっては意味がない。他人はもちろん、親子でも。
踏みにじらないために重要なのは、線引きをすること。私とあなたは違う、という線引き。だから、互いの気持ちは分からないし理解できないし寄り添えない。そんなことは必要ない。共存するために必要なのは、愛することよりも、踏みにじらないこと。尊重。
原作を読んだ時、「あなたを愛せるかどうかはわからない。でも私は決してあなたを踏みにじらない」という台詞にがつんと殴られたような衝撃を受けた。なんて強く美しい言葉だろう。
とにかくこの原作者ヤマシタトモコさんは、台詞の力がすごい。未読の方はぜひ、1話2話だけでも読んでみてほしい。圧倒的な言葉の力が、ヤマシタ作品の世界観を支えている。
両親の死をうまく悲しめずにいる朝に、「べつに変じゃない。悲しくなるときがきたらそのとき悲しめばいい」。
葬儀の場で親戚たちの無神経な言葉にさいなまれる朝に、「15歳の子供はこんな醜悪な場にふさわしくない。もっと美しいものを受けるに値する」。
一度見ただけで忘れられなくなった。とてつもない名シーンで名言だと思う。
踏みにじられて傷つきながら大人になった槇生が、今まさに目の前で踏みにじられている子供を見過ごすことができずに、自分の人生を変えてまで手を差し伸べた。
私も槇生と同年代で、この年になると仕事もプライベートもだいたい安定し、自分の生き方が決まってきている感じがする。このタイミングで人生を変えるような決断をするというのは、なかなか胆力がいる。槇生は生き方を変えたくないタイプの人間だ。それでも朝のために変えた。
そしてまたシスターフッドの心強さも感じる映画だった。槇生の親友を演じた夏帆さん、最近ブラッシュアップライフを見たのもあり、主人公の心地いい親友としてこんなに素敵な演技をされる女優さんなかなかいらっしゃらないと思う。この親友がとてもとてもよかった。本当に信頼できる素敵な女性。
あと、朝ちゃんを演じた早瀬さんの、なんとも言えない瑞々しさ、無垢な無邪気さ、明るさと翳り。引き込まれる。そしてとても可愛い。朝そのものの佇まいだった。
新垣結衣さんも、槇生にしては可愛すぎるかなと思ったけど、全然よかった。いつもの生来の可愛さは封印し、でもところどころでにじみ出るのが、逆に槇生らしくてよかった。
ストーリーはやはり原作に比べたら薄味にはなってしまうけど、キャスティングが非常によかったので、あの世界が映像になっているという満足感がすごかった。
別の人間として相手を尊重する姿勢
原作は途中まで(結構序盤)読んだが、最後まで読めていない。でも、この映画の半分以上は知っているエピソードだった。たしかにこの設定と基本的な関係性を描くだけでそれなりの尺は必要ってことだ。あまり大胆な端折り方をしなかったことは素晴らしいと思う。
姉との不仲のせいでほとんど会ったことのない姪を引き取ることになった作家の話。最初は距離があってギクシャクしていた2人が、徐々に家族になっていくという「海街diary」のような展開を漠然とイメージしていたが、ヤマシタトモコはそんなに優しくない。家族であろうともどんなに親しい間でも、相手は別の人間であるという姿勢を貫く。別の人間であるからこそ、どんな選択をしたとしてもその人の人生として、その選択を尊重すべきだと伝えてくる。当たり前のことなんだけど、それを貫くことはなかなか難しい。
原作を最後まで読んでいないから推測でしかないが、この映画だけでは全てが語られていない気がする。原作のある映画には常につきまとう問題ではあるのだが。でも映画として不満を感じたわけではない。槙生のコミュ障だったり少しだらしなかったりするところや、朝のことを子ども扱いしないところは人として魅力的だ。
この槙生を演じる新垣結衣がまたいい。「正欲」に続き、かなり癖のある役をさらりとこなすあたり、俳優としての風格が出てきた。原作ももう少し残っている(推測だけど)し、彼女が演じる槙生をもう少し観てみたい。そして、個人的に興味が湧くのが原作の中身だ。続編までに最後まで読んでおかないと!
丁寧。
一つ一つのシーンをさっと見せるのではなく
丁寧に映像にしているなという印象のある映画でした。
たわいもないみんなで餃子パーティするシーンも、結構長い時間うつされていましたが、そんな自然なシーンが、見ていて微笑ましくて、ずっと見ていられました。
朝ちゃんが、とんでもなくいい子ですね。
とんでもなくいい子です。ひねくれてなくて素直で
真正面からマキオちゃんに質問したり意見したり
なんかいいなぁ、素直って素敵だなぁって思いました。
タキオちゃんの色んな大人になってから見た世界からの意見も、見てて分かるし、そう思うし伝えるのって難しいけどそうなんだよなぁみたいな共感シーンもあれば、
この言い方だと、朝ちゃんにはまだ伝わらないよなぁとか、見ながら色々考えて気持ちを汲める映画でした。
かなり長い作品ですので、見応えはあります、ハラハラドキドキみたいなシーンはないので、スリリングを求める方は物足りないと思いますが、人が人を想う気持ちとか、気持ちをしっかり考えたりできるような映画だなと個人的には思いました。
色んな人がそれぞれ色んな思いを持っていて悩んでいて葛藤していて、それでも支えあったり、時には喧嘩したりして、生きてるなって感じでした。
見てよかった作品です。
引きこもりぽいボサボサなマキオちゃんしか見てなかったのに、本発売イベントで急に新垣結衣が出てて綺麗でした!笑
ベビーフェイスの早瀨憩の透明感がすごい
いろいろあるけど、明るく前向きに生きるのだ
朝の目の前で両親が事故死した。母の妹の槙生(まきお)は子供が苦手だが勢いで姪を引き取ると宣言する。2人の手探りの生活が始まった。
娘への愛ゆえに価値観を押し付け気味だった母に対し、自主性を尊重する叔母。高校に進学して人間関係も変わり、朝は戸惑いながらも自分で判断することを学んでいく。槇生は朝との生活の中で、嫌いだった姉の思いの一端に触れ、自分の気持ちを整理していく。
出演者の自然な演技で、観ていてほっとする作品です。新垣結衣さんの落ち着いたトーンの声が、信念をもって生きている女性を体現し、夏帆さんもしなやかに生きる女性を好演していました。
設定が甘いところがありますが、おまけで☆4です。
幾つかの違和感
本作は、周囲の固定観念や偏見に悩みながらも前向きに生きる女性にエールを送っている作品なんだろうと思います。ただ、いろいろ盛り込み過ぎて、違和感が生じてしまいました。
両親が事故死した事を隠すのは不可能だし、中学の担任の対応は適切で、朝が変に気を使われたくなかったとしても、あんなに激高するのはキャラクター的にも変でした(父親の会社が倒産した、とかならわかるけど)
朝の両親は席を入れていませんでしたが、あの母親はきちんと入籍したいと思うタイプでは無いでしょうか。
槙生が姉の言葉にずっと傷ついてきたとしても、十数年全く会わないなんて、恨み過ぎじゃないでしょうか。あるいは、姉妹の母親は何でフォーローしなかったのか。母親が原因を作っているのに。
槙生と奈々が仲良くじゃれ合っている様子を朝が興味深く眺めていると、奈々が、「そっかー、こんなだらしない大人に会ったことが無かったかー」みたいなセリフがありましたが、どこがだらしない?と思いました。槙生は人気作家で片付けが苦手なだけだし、奈々はデキる女、仕事場はキチンと整頓され、料理も上手く、身だしなみにも手を抜かない(足りないのは夫くらい?)
一昔前に、家庭を持って子供がいる女性を勝ち組、独身女性を負け組と線引きするのが流行りましたが、制作者こそがそれを引きずっているんじゃないでしょうか。
登場する女性は高校生も含めて生き生きしていましたが、男性は脇役でした。男性だって色々悩んでると思います。
朝には悲しみの感情が薄いんでしょうか、父親の存在感はゼロでした。
それぞれの建国日記
予告で毎回ちょっと涙腺が緩んでた作品。
曲も好きだったのに、インスパイアソングということで聴けなかったのは残念。
『正欲』に続いて内向的キャラのガッキーと、瑞々しい早瀬憩ちゃんの対比がいい。
ぎこちない共同生活も、予告の「はい、いってらっしゃ〜い」に繋がると思うと逆にニヤニヤする。
ネタバレと言えばネタバレだけど、これはむしろ見ててよかったかな。
槙生は初対面が混じると一気にコミュ障化するけど、奈々を挟んで距離を詰めるあたり自覚ありそう。
全体的に会話の雰囲気がいいので、大きな出来事がなくても見ていられる。
無神経な人はいても、悪人は出てこない塩梅も好み。
遺品整理の際に槙生が避妊具を見つけ、一旦閉じた後に他のもので隠しながら捨てるなど、細かな笑いも。
ただ、映画としてまとまってるとは言い難い。
人間関係に留まらず、やりたいことや自意識、ジェンダー差別、同性愛など盛り込みすぎたか。
塔野のシーンは、朝の音楽への興味の補強にしかなっておらず、PCも詞の印刷に使ったのみなので不要だった。
その分を他の掘り下げやキレイな締めに回せなかったのだろうか。
後半に笠町が家にいるシーンなども、やや唐突。
朝が暗闇にいたり、急に周りの人が消えたり、幻覚や幻聴などの演出も大袈裟で浮いてた。
とはいえ、色々あるだろうけど大丈夫だと思えるラストは嫌いじゃない。
続編あったら観たいし、アニメも楽しみ。
違国に来たように思えても、人はそれぞれ自分の国をつくるしかないのだろうなぁ。
朝ちゃんが無茶苦茶いい子でした。
これと同タイプの原作付き映画、これからも皆さんは本当に観たいですか?
いいところもある映画です。
でもこの映画が好評になり、皆さんの大切なマンガや小説がこんな風に「原作とは明らかに違って」「原作を崩したことにも納得するような監督の独自なチャレンジがあるわけでもなく」「原作を薄く引き伸ばしたような」「原作を読むと『やっぱりこっちだね』と思い知るような」映像化が次々と、それも神棚に置いているようなかけがえのないものたちが無雑作にハタキではたき落とされたら、はたしてわたしは許せるだろうかと考えて、この映画を強く否定して以後は無視したいと思いました。
ずっと見ていられる二人と取り囲む世界
ずっと楽しみにしていた「異国日記」。
TVアニメ化も決まったらしく、漫画連載終了から時間がたっても、話題はつきない人気にうなずかされる。正直、原作が好きだったので、槙生役の新垣さんが、あまりにも綺麗なので、つながるかなと思っていたが、本当にそのままの空気感を出していて、スッと役に馴染めた。話した方、佇まい、悩み、喜びを体全てで表現されていた。
また、朝役の早瀬憩さんは、演技しているの
か、そのままの彼女なのか…本当に可愛く…悲しみ、不安定な実年齢の役どころを体現。素晴らしかった。
瀬田監督はあのフワッとした空気感をよく引き出せたなと。
脚本も監督が書かれているとのことで、新垣さんともたくさんのディスカッションがあったとインタビューで読んだ。
二人の距離感、会話のやりとりの間、友人や、元カレと関係性をほどよい温度で見せてくれる。
大きな感動ではなく、日々の小さな幸せ、悩み、寂しさ…
私たちの中にもある小さな世界が描かれていて、この時間をまだまだ見てみたいなと思える優しい映画だった。
実は気が合う2人
突然の事故で両親を亡くした15歳の朝。そんな姪っ子を葬儀の席で勢いあまって、一緒に暮らすことにしちゃうコミュ障な小説家の槙生。
大嫌いだった姉の娘だから、ギクシャクしてるんだけど何となく2人の生活リズムとか気持ちが噛み合っていく?いや、槙生からしたら無理に噛み合わせなくても良いじゃんってスタンスなんでしょうね。
朝には無責任な同情より、無の感情でたまに寄り添うだけの槙生ぐらいが居心地よかったんだろうな。
それにしても朝は青春真っ只中でキラキラしてます。友情とか恋バナとか将来の夢とか、思春期の危うさもとにかく眩しかったです。
そういえばその時代、大人が良かれと思ってやる事に私も違和感ばっかり感じていました。
価値観は人それぞれ、槙生の生き方は正直で気持ちいい!朝のお母さんは、槙生の事が羨ましかったのかな?そのあたりの深掘りしたシーンも見たかったです。
こういう大人でありたい、涙
オープニングからちょっと泣いた。予告であらすじは知っていましたが、子供に胸張れる大人はカッコイイ。
ガッキーはもちろん可愛いし、芯のある大人だけど子供っぽいところも良かったです。
ガッキーはハマり役で、言葉少ないオタク気質の女性と、可愛らしい女性が共存するキャラで、ガッキーっぽい。
早瀬憩さんも初めて知りましたがとても魅力的でした。まあ、可愛い。ガッキーといい勝負。
と、、、思ったら、高木さんに出ていた美人キャラでしたか、、、つい先日見たのに気が付かなった。
とにかく幸せな気持ちになる映画でしたが、ちょっと長く、、、久しぶりにトイレに行ってしまった。良い映画なので途中で途切れるのが嫌で、もう一回みなおそうか迷いましたがそのまま鑑賞しました。
子供が大人に気を使って無理しているところと、大人がそれを応援したり支えたりするというストーリーは、個人的にどストライク。
所々、子供が言うことも正論、大人も正論、とてもまっすぐで刺さるセリフが多く、原作も良い作品なんだろうな。
こういう大人でありたいと思いました。
今週は3作品、どれも良かった
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