「【陰キャだけどガッキーは隠せない】」違国日記 abuさんの映画レビュー(感想・評価)
【陰キャだけどガッキーは隠せない】
『正欲』に続き、新垣結衣が“陰キャ”を演じるが、どうしても本来のスター性がにじみ出てしまい、少しノイズになる。とはいえ、原作マンガものでも“映画一本で説得できれば良い”という基準で見れば、本作はしっかり物語として立っている。
演出は即興性を感じさせ、役者が自由に呼吸しているように見える。女子学生たちのざわめきや会話の自然さは特に秀逸で、もし計算ずくの演出なら見事。結果として画面に清々しさが宿っている。
物語は始まってすぐ本題に入り、この映画が何を描くのかが明確。親を亡くした子ども、姉が大嫌いなのに姪を引き取る叔母——ぎこちない二人の暮らしが、丁寧な時間の積み重ねで少しずつ氷解していく。そのプロセスがとても気持ちいい。
“陰キャ演技”の上にどうしても乗ってしまう新垣結衣のオーラは賛否あるだろうが、自然体の演技と生活の手触りで押し切る力のある、温かな一作だった。
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