悪魔の世代のレビュー・感想・評価
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エンタメとして考える
リトアニアの作品 復讐を巧みに描いたサスペンススリラー プロットがよく練りこまれている。 非常に面白い作品だがわかりにくさもあった。 2023年現在の出来事が1990年の出来事に由来するのはわかるが、彼らの顔立ちと名前と現在と過去のビジュアルの違いがややこしく、最初は何が何だかわからない。 同時に、解決すべき問題が絞り込まれないことにしばしイラついてしまう。 ただ、伏線は端然と仕込まれていて、ややもすれば見逃してしまう。 特に「彼ら」の関係が中盤まで理解できずに眠りそうになった。 さて、 これが連続殺人事件であるということも、物語の中盤までわからない。 主人公のギンタス警察署長の不倫と市長選挙出馬表明、息子への教育と彼の将来への心配 その中で発生した旧友の変死と盗撮された自身の不倫現場 この放射状に広がる問題点の分散の整理に戸惑ってしまう。 主人公がギンタスであるというのはしばらくすれば解ってくるが、 彼の問題が息子なのか、不倫なのか、娘なのか不明だが、彼の目先の問題と並行して走るのが、死んだライモナスの捜査を開始した検事局のシモナスだった。 シモナスによって、ギンタスのいい加減な捜査と身勝手な言い分による事件の捜査から、犯人は実はギンタスなのではないかということになる。 ギンタスは自分に嫌疑が掛けられて初めて問題が何かが見えてくる。 つまり、 他の映画同様に、視聴者の視点はギンタスに設定されていることが、ようやくわかる。 ここが面白いのか否かはわかれるところだろう。 さて、、 物語の構図と設定は非常に巧みに作られている。 振り返ってみれば、ギンタスの右往左往ぶりと視聴者のそれは一致しているのかもしれない。 しかし、 ここで登場するのがタイトルだろう。 悪魔の世代とは、どの世代なのだろうか? KGBの暗躍 それは、偽装工作であり裏切者の調査であり、現在の彼らが政治の中枢部にいる。 「彼ら」のしたことが、事件の原因となったのだ。 そして、ギンタスの息子がこともなげにした射殺 息子ベネイは完全に無感情だ。 復讐に対する復讐 リトアニアでこれが問題となっているのだろうか? 1990年代に暗躍したKGB 彼らの資料を売ろうとした女性 二重スパイを疑った「彼ら」は、当然いつものように始末する。 女性には息子がいて、彼女は息子を衣装ロッカーに隠した。 ベネイが隠されていた場所 伏線も素晴らしい。 悪魔の世代というタイトルの意味は、KGBの時代だと思うが、 多義的でもある。 ただ、多義的にしてしまうとタイトルの意味が薄れる。 逆に、今を過去の所為にすれば、未来を失う。 この辺の感覚は、私には少し理解しにくかった。 単にエンタメとして楽しめばいいのかもしれない。 ギンタスの母 彼女は所どころにワンカットだけ挿入され、伏線ではあるが、役割が今一つわからなかった。 娘が受けた暴行だけに必要だったのだろうか? または複雑化させたかったのだろうか? 1ルーブルの意味も解らなかった。 エンタメとしては十分に楽しめたが、リトアニアが抱える問題が垣間見えた気がした。
自分より強い奴なら?
コードネーム通りがエグい、あんなやり方有るんだ... 家族はバラバラだけどおかんと息子ちゃんは優秀 否、息子ちゃんは末恐ろしいと言った方が正しいか 主人公クズっぽいけど最後まで誰か分からず面白かった 最初のエピソードがちゃんと効いているのですね
どうやってここまで来た⁉
警察署長を引退し、市長選に出馬表明をした主人公ギンタス。しかしその後、彼と深い関わりのある人物が次々と変死していき…といった物語。 検事の奥さんと秘密の関係を持っていたり、息子と学校への対応だったり…で、あまり綺麗な人間とはいえないギンタス。 真犯人がわからずとも、状況的にそりゃあ捜査してほしく無いでしょうね。 その捜査を進める若者のシナモスも登場し、反発し合いながらも犯人を探す2人だったが…。 内容としては、重厚なクライムサスペンスであり、ミステリー要素もふんだんに盛り込まれワタクシ好みの作品‼ 謎や相関も複雑すぎず、しかし単純すぎず、登場人物達が抱える1990年代晩年ソ連の陰謀を垣間見せながらストーリーが進んでいく。 処罰はこちら側の正当化…ダメですが深いですね。 まぁ犯人はコイツだろ〜、なんて思った所から二転三転。時折ギンタスを見つめる怪しい影、度重なるミスリードも相まって画面から目が離せない。 そして明かされる真相。そこだったのね。 今年はカリコレあまり観れなかったけど、相変わらず良作が多かったし、最終日にとんでもない掘り出し物に出逢ってしまった、といった印象。 みんな悪い奴らばっかり。でもこういう奴らが上に行くのが世の常なのかな。そして娘さん可哀想過ぎ。また嘘をつかせる…なんて言うのは、過去の全てを知っているってことなのかな。 理不尽や不条理に溢れつつも、止まらぬ展開に胸が熱くなるような傑作だった。
誘導
地方の町の警察署長の旧友である検事が謎の死を遂げて巻き起こる話。 55歳の誕生日パーティの席で市長選に立候補すると署長が公表した裏側で、自宅で検事が頭を吹っ飛ばして死んでいるのが見つかって…。 あらすじ紹介には腐敗した地方政権の闇がなんちゃら書かれているけれど、そんな難しいことは考えなくて良くて、自殺と思われたが殺されていた検事、そして犯人に翻弄される署長とその過去と、と言うなかなか上質なサスペンスですね。 検事局からやってきた切れ者な男と、仕事は出来るのだろうけれど激情的だし後ろめたいところもある署長が謎を追って行く展開で、1990年の話しをちょこちょこ差し込みつつみせていくのも効果的。 最後はちょっと後出し感と結構なご都合主義もあったし、市長のラザがどんどんポンコツで鈍くなっていくのは少し惜しかったけど、とても面白かった。 で、旧紙幣の1ルーブルは何だった?
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