「上へ下へクルクル」きみとまた いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
上へ下へクルクル
俯瞰して観ると、丸でプロレスの寝技のようだと苦笑いが込み上げるのが濡れ場だ イニシアティヴを交代しながらの筋書きの無いエチュードを繰り返す前技は、ラストの"決め"への階段 そしてフィニッシュに差掛かる準備、否、絶対条件をクリアされているのか?・・・ 所謂『愚息もションボリ』というのは古今東西笑い話や艶話としてお決まりのオチであろう
今作はそれを真面目に取り組む意欲作として捉えていて、そのチャレンジは評価したい
ネットで調べれば、そこそこヒットするメンタルな問題であるようだ 例えば飲酒が原因は別問題として、本能と理性のバランスを逸した場合に起るらしい 平たく言えば交感神経と副交感神経の度合いというと、益々解らなくなってくるであろうw もう一つは男性自身のストレス過多 責任感を要求される社会構造に於いて、常に成功を要求される立場では、それを解きほぐす術を欲するのは自然なのだが、家庭に於いてもそれは理想と現実の違いが如実に現れてしまい、追込まれ度が加速、結果『愚息も・・・』しつこいかw
確かにヒロインは不幸なのかもしれない 元彼、そして旦那、それぞれが別原因とはいえ結果的に同じ症状に陥っている事に、ヒロインのせいではない外的要因での不成立は、苛立ちが募るのも理解出来る 今作での画期的だが、旦那のVRでの滑稽でおぞましい自慰行為は、地獄へと突き落とされる目撃である事は想像に難くない
あの演出を考えただけでも制作陣は胸を張っても良いとさえ思うアイデアだ
結局は両方とも解決はしなかったというオチは、まぁ現実に即した流れであり、主人公とヒロインが周りを掻き回しただけという物語で、テーマは『なるようにしかならん』という事だろう(汗 薬(バイアグラ)に頼るというところに舵を切らないのは、男女の性の儘なら無さを表現したいという矜持を残したかったのだろうと感じる
"愛してるから勃たない"二律背反を、プロットとしてピックアップした制作陣のアイデアに称賛を贈りたい
但し、ラストのシリンジ法で採取したキットが返送されるシーンで泣いた心境は、残念ながら理解不能であった
自分ならば自嘲するだろうが、これって泣くことが正しいのだろうか?・・・ どなたか解釈お願いします