劇場公開日 2023年7月28日

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「軽やかなファスビンダー作品」不安は魂を食いつくす redirさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0軽やかなファスビンダー作品

2023年8月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

外国人労働者。移民、差別、偏見、思いテーマを、暗いファスビンダー監督が喜怒哀楽軽やかに描く。

冒頭のアラブ歌謡にグッときて、移民労働者が集まるバーに一度入ってみたかったエミが雨やどりを口実に立ち寄るところから、あれよあれよという間もなく周りの偏見に後押しされ結婚してしまう。
モロッコの表現だそうだが、不安は魂を食い尽くすのだそうで、だから不安にならないほうがよいと、人としてのエミの心の温かさ豊かさに、信頼と愛を感じるアリと、初婚の夫も戦前出稼ぎに来たポーランド人で偏見から自由で本質的な正しさや人間らしさに価値を見出すエミ。
社会、家族、移民仲間からの双方の偏見、意地悪、そこから、クスクスに釣られて浮気をしてしまうアリ、ドイツでの暮らし郷に従えと自国に住んでる強みが元々しっかりもののエミゆえ悪意に涙しながらも無意識にでてしまう、そんなすれ違いが、ほんとに、魂ではなく、アリの胃潰瘍を食い尽くしあながあいてじまうのだ。
元々多様性と寛容と個人の自由の尊重が身についているエミだから、アリにあなたは自由互いに自由でも二人一緒にいたら強くなれる、と、道に迷ったアリを勇気づけ愛と力を取り戻すのだ。
それにしても。同じアパートの女たちが、アリの友達が来て音楽や騒いでうるさいと警察に通報したとき警官は、特に問題ないと形式的な注意をしてたちさり、結婚の書類もすぐに受理されるし、アリはモロッコの人アラブの人は人ではないと、ドイツに出稼ぎにきた辛さを訴えていたが日本にくらべたらまともだったんじやない?ておもったり。
気になったのはポーランドからの出稼ぎであったが戦争中はナチスの党員になりなんとか上手くやって来れた、とエミが知り合ったばかりのアリにいうシーン、ヒトラー知ってる?と聞いて、あの時はみんな党員だった、と、その後婚姻届を出し結婚した日、一度行ってみたかっだという高級レストランに二人でいくのだが、またしてもエミが、ヒトラーが通っていたレストランよ、一度いっでみたかったのよ、のしれっと言うのだ。レストランのシーンは飾らず素直なエミの対応がとても良くて心地よいシーンなのだがこのあたり、アパートや職場の女が、エミを慎みがないと言ったり、エミの子どもたちがモロッコ人の夫を激昂するところ、最後ででくるユーゴからの出稼ぎを悪意もないが仲間に入れないシーンなどと重ねて、、、悪意がないことが正しさを意味しないことに思いが飛ぶ。

不安は魂を食い尽くすことストレスやイライラは胃を食い尽くすことを肝に銘じてこれから強く生きていこう。

redir