劇場公開日 2023年9月29日

「大阪弁フィルム・ノワール」BAD LANDS バッド・ランズ くまのみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大阪弁フィルム・ノワール

2023年9月29日
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鑑賞方法:映画館

興奮

予告から雰囲気に惹かれていたが唯一関西弁の不自然さに不安を覚えていた。
だが、鑑賞してみると関西人のキャストは勿論メインの安藤・山田も多少は目を瞑る所もあるが全編を通して東京人とは思えないくらい違和感がなくお陰で安心して世界観に没入する事が出来た。

この物語は特殊詐欺を生業にする姉弟が大金を手にした事により様々な巨悪から追われるクライムサスペンスと宣伝してるが、実際は特殊詐欺の裏側とそこを生き抜く姉弟の愛に重点が置かれている気がする。
原田監督特有の早さを重視するが故の聞き取りづらさや尺の長さもあるが、今回は聞こえにくさこそ多少あるものの長さに関しては随所にクスッと笑えるような関西らしさみたいのがあったからか気にならなかった。

キャストに関しては安藤サクラが見事に裏で必死にもがきながらも強く前進する女性を好演していてこれは流石の一言。そしてその弟を演じる山田涼介も厄介事ばかり持ち込む疫病神ながらも憎いのに憎めない馬鹿だけど愛くるしい絶妙なバランスを見事に体現している。
この2人の相性がここまでハマるとは正直思わず見終わったあともう少しこの姉弟を見ていたいという気持ちが残り香のように漂っていた。
その他にもただの老いぼれに見えて渋くカッコ良い宇崎竜童や原田組常連安定さを見せる吉原光夫など出演者全員の演技が光り作品が成り立っている。
映画初出演とは思えないサリngROCKも良かったとは思うが個人的にはその付き人的な存在の男性の方が良い演技してて好きだった。

面白い・良作だけで片すのは大変勿体なく鑑賞終了後に達成感と清々しい気持ちともの寂しさを同時に感じ、思わず誰かと答え合わせをするかのように事細かに感想を語りたくなるそんな映画。

くまのみ