「【”JAYWALK”の元ボーカル、中村耕一が主演の”男”を務める、複数男女が”歌”を通じ、セカンドチャンスを掴み、再生していく様を温かい視点で描いた作品。】」はじまりの日 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”JAYWALK”の元ボーカル、中村耕一が主演の”男”を務める、複数男女が”歌”を通じ、セカンドチャンスを掴み、再生していく様を温かい視点で描いた作品。】
ー JAYWALKの元ボーカル、中村耕一は今作の主人公の”男”と同じく2010年に薬物事件を起こし、一度音楽世界から身を引いている。
今作は、中村氏自身の経験も盛り込みながら、複数男女が”歌”を通じて、再生していく様を描いている。-
■人気ロッカーだった”男”(中村耕一)は薬物事件を起こし、執行猶予付きの判決を受け、全てを失い”或る土地”の風呂無し家賃3万円のボロアパートに越してくる。
そして、彼は清掃会社に勤め、簡素な日々を送る。
だが、ある日、隣室に母(高岡早紀)と住む会社の同僚の”女”(遥海)の歌声を聞き、且つてバンドのプロデューサーをしていた男(竹中直人)に、彼女の歌を聞いてくれと、頭を下げる。”女”の歌声に同様に惹かれたアシスタントのモチヅキ(岡崎紗絵)のサポートも有り、”女”は徐々にチャンスを掴んで行く。
◆感想<Caition!内容に触れています。>
・今作は、愛知県民であれば直ぐに分かるロケーション満載である。
20年以上愛知で続く「ぐっさん家」の山口智充さんも、清掃会社の同僚の寺田として”男”と”女”を支える一度家族を失たが故の好人物を演じている。嬉しい。
だが、寺田はある日、早逝してしまう。そこに駆け付けた息子の複雑な表情。
・物語は、分かり易い。
”男”や寺田達、一度は人生から”脱落した人達”が、気分にムラがある母を支える”女”の歌声に惹かれ、”脱落者”から再生していく様を描いている。
・プロデューサーの男を演じる竹中直人さんや、”女”の母を演じる高岡早紀さん。そして、出番は少ないがアパートの大屋を演じる麿赤児さんの演技が、作品を支えている。
因みに、中村耕一さんは演技は初だそうであるが、歌声は流石、抜群である。
・冒頭、裁判官(秋野暢子)が”男”に言い渡す”貴方の歌に励まされた人たちを裏切った。けれども、私は貴方のファンです。頑張って下さい。”という台詞の前半も、実際に中村耕一さんが、裁判官に言われた言葉だそうである。
<”女”は”男”と東京に行きたいと、プロデューサーの男に伝えるが、”男”はそれを断る。
だが、”女”は名古屋の老舗ライブハウスで満員の観客を前に見事な歌を披露し、自信を深めて行くのである。
今作は、一度は人生から”脱落した人達”が、セカンドチャンスを掴み再生していく様を、温かい視点で描いた作品なのである。>