「変態の抉り合い」春画先生 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
変態の抉り合い
春画はなんとなく弄りあってる男女のイラストをチラチラっと教科書や歴史のビデオで見たくらいなので、それをまじまじとスクリーンに映すという斬新な試みの映画に惹かれて鑑賞。やはりというか年齢層はかなり高めでした。
喫茶店で春画を見ている通称・春画先生に誘われて彼の家へ訪れた弓子。春画の魅力的にあっという間に取り憑かれてしまい、それと同時に春画先生への思いや自身の性についての考えもどんどん深くなっていき…といった感じのあらすじです。予告を見る機会が無かったので、コメディとは思っていませんでした。
エッチなコメディで面白さ全開なんですけど、春画についての見方や勉強もできたのでとても楽しかったです。とにかく登場人物が時間を進めるごとにリミッターを外して暴走していく様が見応えがありました。
編集者の辻元とは最初は気が合わなさそうでしたが、あれよあれよの内に体を交える関係になってしまいましたが、その音声を春画先生に通話越しで生中継するなんつー変態プレイやってんだと思いました。しかも頭にスマホをくっつけてやるAVの主観みたいなスタイルだったのが更に笑いを生んでいました。セクシーなシーンのはずなのに笑いが起きるなんて珍しいです。
春画についての魅力も確認することができました。モザイクなどで伏せてある春画ばかり見てきてので、全体像の春画はとても新鮮でした。
タコと交わる春画は見たことありましたが、甲冑を纏った状態でやるプレイや船上プレイなど、当時から既にシチュエーションものがあったんだなと現代に生きる我々に通ずるものがあってなんだか嬉しくなりました。
弓子がラスト30分で覚醒したかのように街中を爆走して先生を求めて、痛みにも真っ向から立ち向かっていき、挙げ句の果てに春画先生を鞭打って7日間性欲まみれの日々を過ごすというクレイジーさを醸し出してくれます。北香耶さんがこれでもかと体当たり演技をしてくれているおかげで、ハイになってる弓子の行動の必死さが伝わってきますし、同時にコメディに映ってもいたので、お腹いっぱいになりました。
役者陣は文句なしの怪演&熱演で最高でした。内野さんは真っ当なエロスかと思いきや、捻じ曲がった性癖をお持ちで何故だか安心しました。
北さんの色気と活気が混ざった不思議な雰囲気がとても好きでした。
柄本さんは流石の安定感。饒舌に喋らせたらこの人に敵う人はいないんじゃないかってくらい良かったです。
安達祐実さんのキリッとした表情からの暴言&鞭打ちはなんだかヒャンって声が出そうになりました笑
終わり方も2人が深く愛し合って、時に尻を叩き(物理的)、春画を通じて始まった愛を育てていくというさっきまで鞭打ちしまくってた人とは思えないくらい爽やかに終わります。和テイストで「終」と物語をしっかり結末まで導いてくれたのがとても良かったです。
色物だと思って観に行きましたが、エッチな香りは漂わせつつも二重の意味で大人な恋愛という変幻自在っぷりを楽しむことができました。公開規模がそこまで大きくないのが惜しいですが、春画とはなんぞやって人にはぜひ観てもらいたい一本でした。
鑑賞日 10/14
鑑賞時間 13:40〜15:45
座席 C-4