前日見る映画を探していて(見たのは探偵マリコ)、このキービジュに心を奪われてしまった(特に左のおじさんとその帽子)。当日はユーフォ封切日で予約もしていたが、こちらは最終日と知り時間ギリギリで2本立てした。この監督作品は初見。
冒頭のツァラトゥストラから笑ったのだが、続く1曲目の、夕闇に沈みゆくテクノブラザーズの演奏の特異さにすっかり引き込まれていた。全編で多くの曲が演じられる。(自分は全く詳しくないが)最初の方はYMOオマージュのOMYとか、北朝鮮のテクノ楽団のような印象で、おじさんの風体もそれを意識しているのかと想像した。そこから音数やビートなど、次第に進化しているようにも感じるが、全体としては80年代の雰囲気が濃いと思う。(劇場販売していた楽曲CDで聴き返して書いている)
映画は、明らかに「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」のテクノ版というイメージで、構成だけでなくエピソードの展開にも共通点がある。また音楽ロードムービーの親分的な「ブルース・ブラザース」へのオマージュも感じられる。
個人的には、演奏シーンは、カメラがほぼ動かずブラザーズと(困惑する)客のカットバックを繰り返すだけでも全く飽きずに聴き続けられた。一方ドラマシーンは演出がやや単調に感じた。間は嫌いではないが、もう少し緩急のテンポ感があるとよかった。
終演後のトークショー(写真の右のブラザーがそのままの姿で現れて音監・作曲者だった)によれば、3部作の構想があるということで、また会えるのが楽しみである。
余談だが、ブラザーズが公民館で行われる音楽祭に出演したシーンで、他の老若男女が多様な楽器や楽曲で参加しているのを見て、この国では習い事や部活動、また趣味として音楽に馴染みがある人が多いのだなと感じた(30分前に高校吹奏楽部の映画を見ていたこともこれあり)。
奇しくもアフガニスタンで楽器が禁止されたとの報道を目にして思うところがあった。