キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのレビュー・感想・評価
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本物の「映画」ってやつはこういうものかと。
1920年代のアメリカ、先住民と白人の話し、実話。
上映時間、3時間26分。長っ、、観に行こうかな、どうしようかな、といういつもの葛藤。
しかしそんな考えは一瞬の杞憂に終わり、本物の「映画」というものを全身に浴びて痺れた3時間半、いや、体感1時間半。
まずこれが実話だったという事が驚きだが、言われてみれば歴史はこのような事が世界中にたくさんあったのだろう。もしかしたら近代でも未だ行われてるのではないかとも思った。
デニーロ、ディカプリオの顔面演技は円熟味の極みに達しており、永遠に観てられるほどの迫力。
80歳を超えた監督とは思えない画面の迫力と、恐ろしいほどにゆっくりと流れて行く時間軸に対するその不思議なスピード感、テンポは終わってみればスコセッシの術中にハマり、見事に陶酔してしまった。
そして地味にエンドロールが、もしかしたら過去イチに痺れてしまった。エンドロールに於いてこんな表現が可能だったのか、と暗い劇場の中でただただ感動してしまった。これに関しては音響の良し悪しが影響するので、是非音響設備の良い劇場をオススメします。(※私は信頼と安定のTOHOシネマズ六本木で鑑賞)
誰もが観て、RRRのように面白い!となる映画では無いかも知れませんが、これこそが映画にして後世に遺すべきフィルムだと思いましたし、映画好きの人には間違いなく劇場で体験して欲しい、濃密な、ガチの映画体験を感じました。
私はこのガチ映画作品をとてもオススメ致します。
フラワームーンに招かれざる者
フロンティアスピリッツが原動力のアメリカ。そこに石油がある限り、何でもやります。国外の出来事は「アルゴ」を観るとして、国内は本作ですね。
慈悲深い笑みを浮かべて、邪魔者は始末させる大悪党のいる町。王には逆らえない、でもそれ以上に、自分の欲に逆らえない小悪党。している事は、どちらも一緒ですが、小悪党に気持ちがなびくのは、きっと私も小悪党だからでしょうね。
私は家族を愛している…。あれは、言い逃れでしょうか?。それとも、本心でしょうか?。その両方だった気もしますが、私としては、キングの家臣であり続けるよりも、勇気を出して、家族を愛する小悪党になってほしいと思いたいわけです。お金を愛する悪党と、ボスには逆らえないけど、家族を愛する悪党。どちらと暮らしますか?…って、どちらも嫌ですけどね!。
もちろん、悪党には悪党の酬いがありますが、目先の欲に溺れるくせに、家族を愛する、その浅ましくもあり、健気でもある姿こそ、スコセッシ御大が描きたかったものか、と…。そういう意味では「タクシードライバー」より、ストレートな映画ですかね。デ・ニーロ兄貴は、相変わらず屈折してますけど。
「ゼア ウィル ビィ ブラッド」
欲望の赴くままに、地球の裏側まで掘り抜きそうなヤバい石油王の一代記。「ギャング オブ ニューヨーク」でも、かなり危なかった、ダニエル・ルイスが、さらに危険!。本作と併せご覧下さい。
「J.エドガー」
「キラーズ オブ…」の連続不審死事件。実際には分かっているだけで、60人近い不審死が起きたとか。オイルマネーに吸い寄せられたヒトの欲望が、歪んだフロンティアを作り出したみたい。
この捜査に、FBIが関与していたようですが、そのFBIの創始者であり、初代長官だったエドガー・フーバー。さも正義感溢れる好漢と思いきや…。変態ディカプリオに、優しく包まれて下さい。これまた、要チェックです。
3時間半をしっかり釘付けにさせる厚みのある物語
劇場で観た映画の中では確実にもっとも長い映画です。
とはいえ、テンポのいい、それでいて無駄のない展開で長さは感じさせません。主要キャストの演技は素晴らしく、物語もその帰結も圧倒的なものでした。
自らの欲望に忠実でそのために手段は選ばない男、その男に感化されて常に間違った選択をする男、その男を愛してしまい最後まで信じようとする女。
脚色されているとはいえ、これが事実であることが何よりも衝撃です。
このコンビと予告編の雰囲気から、金まみれの「ウルフ・オブ・ウォール...
208分楽しめました。🤗😃(o^^o)。
TOHO新宿にて鑑賞しました。
上映時間206分でしたが、今日もウトウトせずトイレ🚽にも行かず鑑賞できました。😃
ここからネタバレします。
前半のテンポは、良かったのですが、FB I
が問題解決の捜査するところからテンポが良すぎて登場人物の認識がわからなくてなりました。
私のまだ、認知機能が回復しないのか元々なのか‼️不明ですが、😅☺️🤣。
監督がマーティン・スコセッシ
レオナルド・デカプレオ
ロバート・デニーロ
と素晴らしいメンバーです。
この時代の西部劇、ワシントンなどロケ地と時代考証は、本当に素晴らしいです。
オジのロバート・デニーロを頼りに街に来きたレオナルド・デカプレオですが、最初の挨拶から「キング」と呼ばせる所から始まり先住民のオーセージ族の石油の利権狙いで月々と連続殺人がおこなわれ、最後にFBIが捜査するまでの話でした。
この時代は、禁酒法や銀行強盗など犯罪が野放し状態⁉️で捜査なし、など怖い時代でしたね。
後半のデカプレオの糖尿病の妻にインスリンうつところとラストの選択、駆け引きは、見応えありました。
ロバート・デニーロが、80歳とは思えない恐ろしい悪役⁉️演技してました。
セリフも往年と変わらず素敵でした。
今回は、レオナルド・デカプレオの妻役の
リリー・ブラット・ストーンが、終身一貫抑えた演技で素晴らしいです。
可愛くて素敵な方でした。
٩(๑❛ᴗ❛๑)۶🤣😅🥹💃🙆♀️。
この映画の関係者の皆様お疲れ様でした。
ありがとございます♪♪。
(๑・̑◡・̑๑)
家族思いな人非人への解像度高すぎ
タイタニックで運良く持ち上げられたイケメン俳優だったレオ様が、レオナルド・ディカプリオとしてちゃんとブランドを確立したことをまざまざと感じられる映画でした。
30年間口をへの字にして生きてますって勢いのへの字口が小物ぶりと小心ぶりを示していて凄い。
家族も他人も鼠もみーんな金になるかならんかで物差ししてそうな完全悪の叔父に比べて、家族は大好き妻もなんだかんだ愛しちゃってるでも金や保身のために人殺しの片棒担いじゃうすぐサインしちゃう無能じゃないとか叫んじゃう盲信してるんじゃなくて盲信してるフリする、中途半端な小悪党の再現度すげーや。
奥さんの薬に混ぜてたの、毒だってどこかで分かってたけど、叔父が薬っつってるから薬だって信じる、フリをしている。
これサインしちゃいけないやつだって分かってるけど、叔父を信じてる、フリをしている。
無意識に何も分かっていないフリをしているように見えました。
それで自分は悪くないと言い聞かせているんじゃないかな。
人間全部金蔓にするような人間には私はならない!とは思えるけど、信頼できる人に操られて結局犯罪の片棒担いでました…でも知らなかったんです!とか宣う小物にはなっちゃう可能性がありそう、という不安感がずるずるつきまとっていました。
もうディカプリオのリアル感が強すぎて、ほんとこの話はほんとにあった話なんだってじくじく思い知らされますね。
最後ただただ被害者だった奥さんが亡くなって、犯罪者どもがゆるやかに長生きするの、映画として盛り上げるための脚色がなくてとても良かったです。
私は素人ですが、たぶんこれは高尚な映画だったと思います。
正直興味を引かれなければ長くて退屈な部分もあるでしょうが、歴史書だと思えば簡潔でドラマティックに仕上げてくれている。
インディアンと白人
石油の発掘で富を得たインディアンとそれに目をつけた白人。
キングの儲け話に乗ってやってきた甥のアーネスト。インディアンの娘と恋に落ち、結婚。でもこの出会いもキングの策略のように思える。後にアーネストは偶然出会って純粋に彼女が好きで結婚した、妻を愛していたと裁判で語っていたが、どうなんだろう、確かに愛はあっただろうが、愛だけではなかっただろう。
キングが本当に悪いヤツだな。それに加担する周りの人間も悪いが。気の毒なモーリーだったが後に別の男性と結婚して、幸せになれたようで良かった。実際にあった殺人事件のようで、もともと居た先住民のインディアンに対して、白人って酷いことするよな〜。
もともとはFBIの側からの脚本だったものをディカプリオの一言で犯人側を主人公に書き直されたらしいが、正解。ただFBI側からの脚本だとどんなだったのか?観てみたい。
レオナルド・ディカプリオが、昔のようなカッコよさは無くなったけど、実年齢らしい脂ののったいい味が出てきている。やはり上手い。彼が出ているとやはり観たくなる。ディカプリオの怒っている演技はすごいっと思う。
ただ今作、ちょっと長い、、、諸事情で3時間も寝られなかった寝不足状態だった事もあり、途中軽い睡魔に襲われた。不覚、、、。それと長い映画はトイレ休憩の為ハーフタイムが欲しいなあ。私の場合、3時間が限度かも😣
病み上がりに3時間超えを選ぶ自分はかなりドM
久々にインフルエンザに罹りました😷
昨年の新型コロナに比べたらまだ堪えようはありましたが、それでもしんどかったぁ😭 熱下がりにくいし悪寒が治らない。頭痛も止まず食欲も無く、エライ目に合いました😩
漸く出歩ける様になって、
真っ先にスコセッシを選んだ私。
いや、ディカプリオかな❓
いやいやデニーロだからだよ。
兎に角この3人居たから、3時間超えても行かねばという使命も生まれ、朝イチで向かいました。
「ゼアウィルビーブラッド」を思い出す、オイルマネーに塗れた人々の物語。
オイルマネー自体はオーセージたちにあったが、そこに白人たちが暗躍し始める。
暗躍する白人のボス、デニーロ‼️
やっぱりこの人、登場するだけで全てを持っていく❗️
正に千両役者。
FBIが調査しに来た時、
「フーバーの命でやって来た」
とか言うのは、
「J・エドガー」との小ネタコラボか❓
気にしすぎですね😅
正直予想以上の事は起こらなかったが、
映画でしか観られないドラマ。
少なくとも、
デニーロとディカプリオは
映画でしか観られないキャストに違いない。
意外と206分平気でしたね。
勿論、何も口にしませんでしたが😜
すべてを呑み込み、根こそぎ奪う侵略者
20世紀初頭のオクラホマ州、白人によって先住民のオセージ族は不毛な土地へと追いやられてしまう。
ところがその土地で石油が採掘されたことから、一夜にして彼らは巨額の富を得ることになる。
冒頭、着飾ったオセージ族に付き従う白人という見慣れない構図の画が展開される。
この土地では白人よりもネイティブアメリカンの方が豊かな生活を送っているようだ。
やがて多くの白人がこの豊かな土地に仕事を求めて集まってくるようになる。
第一次世界大戦の帰還兵であるアーネストもその一人だ。
彼はオセージ郡で"キング"の通り名で知られる叔父ウィリアムを頼りにこの地を訪れる。
ウィリアムはオセージ族に対して理解が深く、また街を活性化させるためにあらゆる貢献をしている。
彼の元で働くうちにアーネストはオセージ族のモリーと恋に落ち、やがて結婚をする。
彼だけでなく多くの白人男性がオセージ族の女性を妻に娶っていた。
最初はこの地で白人がオセージ族と良い関係を築いているかのような印象を与えられるが、すぐにその化けの皮は剥がされる。
白人はオセージ族に対して富を管理する能力がないと決めつけ、自分たちにとって都合の良い法律を作り、オセージ族が自由にお金を使えない状況を作ってしまう。
ばかりか白人の中には受益権を奪うために巧みに彼らに取り入り、そして暗殺という卑劣な手段を使う者まで現れ出す。
唐突にオセージ族の変死者の例がいくつも挙げられるが、いずれも適切な捜査がなされないまま放置されてしまうことから、いかにこの地でも白人が我が物顔でのさばっているかが分かる。
初めは善人の顔をしていたウィリアムも、実はオセージ族から利益を搾り取ろうとする最低な悪党であることが分かる。
早速彼はモリーと結婚したアーネストを利用することを思い付く。
モリーの親族がすべて亡くなれば、石油の受益権はウィリアムの一族のものとなる。
叔父の命令には逆らえないアーネストは、やがて彼の意のままに操られることとなる。
正義はどこにあるのかと問いたくなるほど、この映画の中での白人の行為は卑劣だ。
しかしこれは白人に限ったことではないのだと思った。
同じような例は歴史上、世界のいたるところにある。
考えさせられたのはマジョリティは時としてマイノリティな存在に対して信じられないくらい残酷になれるということだ。
だからこれは遠い昔の、遠い国の日本人には全く関係のない出来事ではない。
社会の均衡が崩れ、再び秩序が保てなくなると人間はまた同じような過ちを犯してしまうものなのだ。
もっともこの映画ではウィリアム個人のサイコパスさが際立っているのだが。
この映画で一番恐怖と苦しみの中で生きたのがモリーだ。
彼女は姉も二人の妹も母親も残らず殺されてしまう。
彼女はもしかしたら愛する夫でさえ自分の敵なのではないかと疑心暗鬼にかられる。
そして実際にアーネストはウィリアムの命令通りに、糖尿病である彼女の命を奪うために偽のインスリンを射ち続ける。
もっともアーネストはインスリンの中身が本当は何なのか知らなかっただろうが。
アーネスト自身もウィリアムの被害者ともいえる。
彼は元からの悪人ではない。
ただ意志がとても弱かっただけだ。
ウィリアムは自分では何も手を下さず、アーネストに指示を出す。
アーネストもウィリアムの命令を実行者に伝えるだけだ。
それでも彼は自分の指示によって実際にモリーの身内が無惨な死に方をしてしまった事実に戦慄する。
終盤になってようやく事件の真相を解明するためにFBIの捜査官が訪れ、正義は失われていなかったことを認識させられる。
狡猾なウィリアムは早速嫌疑の対象になりそうな人物を街から遠ざけるように根回しをする。
実行犯ではない彼はアーネストすらあっさりと切り捨てようとする。
おそらくアーネストも自分がウィリアムに利用されているだけであることに気づいていただろう。
しかし気づいたとて、彼に逆らうことは出来ない。
これは一種の洗脳であると思った。
やがてひとつひとつの罪が暴かれ、ウィリアムは窮地に立たされる。
そしてアーネストはウィリアムの言葉に従うべきか、それとも愛する家族のために真実を証言すべきか、選択を迫られることになる。
最後まで観終わって、これが遥か遠い昔ではなく、せいぜい100年前の出来事であることがショッキングだった。
かつての西部劇では野蛮に描かれていたネイティブアメリカンに対して行った、白人にとっては忘れたいはずの汚点の歴史を直視する作り手の姿勢にはとても心動かされた。
が、求心力は強かったものの、上映時間のあまりの長さによって少し冗長的になったようにも感じた。
さすがスコセッシ、そしてディカプ
長いけど長くない、あっとゆう間
1920年代石油を堀当てた先住民とそれを狙う一族の実話を元にしたサスペンス。
お互いの繁栄の為かと思いきや、やるかやられるかの心理戦。それだけじゃなく、愛や信頼とはなんぞやとか考えたりして。
レオ様、ダメ男だけどオデコの皺もちょっとぽっちゃりなかんじもいちいちかっこいい。いぶし銀のレオ様はもうタイタニックのレオ様じゃない。これからのレオ様が楽しみ。
そして、デニーロの笑顔は神様みたいなのにその分ラスボス的な恐ろしさ。その傲慢さもあの笑顔にだまされちゃう。
さらに、レオ様の奥様を演じたリリーグラッドストーン。凛として一見クールだけど、実は奥底にいちばん熱いものを秘めているんじゃないかと。
レオ様とデ・ニーロ、二人の駆け引きやラストの展開に驚きながらも206分あっとゆう間だった。
エンドロールは、耳を澄ましてほしい。
長いな~。
今年のナンバーワンかも。。。
3時間26分は長いことには間違いないが、それを決して長く感じさせなかった。途中で時計を見ることもなく、気がついたらラストの寸劇まであっという間に過ぎた。確かに前半は状況説明などで少しスローな展開であったが、あの描写がないと時代背景などが上手く伝わらなかったかもしれない、後半はハイテンポで進み、ここで退屈する余裕は全く無い。スコセッシ監督がインタビューでカットできる限界までカットし尽くして、意味のある場面だけを残した結果、こうなったというコメントの意味はよく分かる。だから無駄なシーンをカットして短くしたらいいという意見は筋違いかもしれない。セリフだけでなく、無言のシーンにおいてもデカプリオの顔の演技は、こんなにいい役者だったのかと改めて再評価せねばならないほど、愚かで、クズで、ちょっと考えればお前がやってることは愛してる妻への冒涜であるのに、叔父の洗脳から逃げられないダメ男を、観客をイライラさせるほど上手に演じている。デニーロに折檻される場面の表情は悲しすぎる。妻にあの注射は何だったのか?と問い詰められる時の嘘の下手さ、もしかしたら妻は正直に言えば許してくれたかもしれない場面での優柔不断さ、どの重要な場面にも、ノーと言えないこの男の愚かさがにじみ出てる。デ・ニーロは極悪人であるが、その極悪性を微塵にも顔に出さず、あくまでも、部族に理解力のある良い人を演じる、さすがの存在感、自分の手を何も汚さず、ニコニコしながら平気で、デカプリオに人を殺させる、殺す段取りをさせる。その人間心理が一つ一つの場面にも煮詰められていて、一回見ただけで軽率に評価できるような作品とも思えない。もう一度出来れば見て、新たな発見を探してみたい。されど、今年すでに30本以上映画見たが、これ以上の作品はなかったので、自分の中ではナンバーワン評価。主役二人は素晴らしいが、モーリー役のリリー・グラッドストーンの凛とした演技は役者をもう辞めようと思っていたらしいが、是非ともオスカーを差し上げたいくらい見事でした。
悲しきネイティブ・アメリカン
久し振りにダメ男を演じたレオ。インディアンの命は、軽視されていた。今のパレスチナ人みたいで、傲慢な白人至上主義者に、簡単に殺されていく。主人公の女性が哀れでならない。母親の言う通り、白人なんかと結婚するもんじゃない。偽善者ほど、信用出来ないものはないという教訓だ。
スコセッシ教授の米国暗黒近代史講座
1920年代に実際に起きた先住民オーセージ族の殺人事件を通じて、石油利権にからむ白人社会の暗闇を描いた、スコセッシ監督の一代長編力作です。まず、オーセージ族の風俗や言葉を丁寧に描きながら利権目当ての結婚が多い歪で欺瞞に満ち溢れた社会が見えてきます。一方で、主人公が純粋にオーセージの女性に惹かれて結婚する前半は、二人の心情をきめ細かく描いていてとても美しいです。やがて、オーセージを計画的に死に追いやり利権を奪う構図がはっきりしてくるけど、ここらへんから主人公が殺人に手を貸すようになる心境の変化が分かりにくく、妻に一服盛っていることに気がつかないのもピンとこないです。また、登場人物が入り組んでくるのも、ちょっと分かりづらいですね。以前の監督作『アイリッシュマン』も上映時間200分超えなのに長さを感じさせなかったけど、今回は中盤がやや冗長な所があり残念。とは言え、後半は主役二人のガッツリした演技がぶつかるので見応えありです。役者では、ディカプリオが、優柔不断なダメな男っぷりが見事です。デ・ニーロは、善良そうで腹黒い役どころを貫禄たっぷりに演じています。
奥さんの事
金と欲にまみれていたのだけど、最後の奥さんに関する質問2つで、本当に奥さんを愛していたと言う事がわかりましたね。あれだけ崇拝していたおじさんをも告発したのに、奥さんとの出会いと、奥さんの注射に関する事だけは、奥さんの愛を失いたく無い気持ちが嘘をつかせたのですよね。石油は大切なモノだけど、この出来事の上では本当に罪作りなモノになってしまいましたね。
何故無い?こういう作品こそパンフが欲しい
デ・ニーロの好々爺然としながらの悪辣さよりも、いいように利用されて...
ロビー・ロバートソンに捧ぐ
居住地から石油が発掘し、莫大な富を得た先住民オセージ族と、その富の略奪を狙う白人たち。まず、これが実話だということに驚く。インディアンと白人の争いは西部劇の定番だが、豊かなインディアンにかしづく白人たちという構図が(これまでの固定観念からは)倒錯的で、魅力的。
過去のスコセッシ監督の長尺作品と同様に、説明的な描写を排し、人間の営みを叙事詩的に描いていて、初見では登場人物の関係が掴みづらい。正直、3時間半は長いが、観終わってみると、あそこまで描くには確かにこれだけの尺が必要だったな、とは思う。ラストのラジオショーのところでは、この映画を観ている自分を含めて、悲惨な出来事をエンタメとして消費していることの恐ろしさを思い知らされる。
ディカプリオは、小心者の情けなさ、悲しさを演じきっていた。デニーロの笑顔が怖い。リリー・グラッドストーンの達観したような、遠くを見るような目つきが深く印象に残る。
そして、スコセッシの盟友、ロビー・ロバートソンの音楽。これが遺作になるのだろうか。アーシーなリズムに、たゆたうようなメロディを重ねていくのは、まさしく彼ならでは。はなむけのアカデミー賞はどうだろうか。
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