キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのレビュー・感想・評価
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206分チャレンジ
見応えたっぷりなスコセッシの大作、エンドロールの音に耳を澄まそう
名匠スコセッシの大作。とても見応えのある作品でした。
「見応えたっぷり」という表現は日本語としてはおかしいのかもしれないけれど、そんな言葉が頭に浮かびました。
この映画、たしかに長い。けれども、冗長さは感じなかった。必要だと思わせる、納得のいく長さだった。約3時間半、スクリーンに映し出された物語は吸引力を失わなかった。
本作の重要な要素は、「欲望」です。
人間は欲望によって成長もすれば、破滅もする……。
何度か登場する「蠅」は、欲望の対象に群がる人間たちの象徴であるとともに、欲望の犠牲となった者たちの死を連想させるためのメタファーでもあるのか。
そして、エンドロールの自然界の音が、やけにこころに響き、沁みました。何だかそれまでの長い物語が序文で、このエンドロールこそが本文ではないかという感じがしたほどです。
同じく人種問題を扱った『それでも夜は明ける』に似たムードと内容を予想して鑑賞したのですが、本作のほうがエンターテインメント性が強くあらわれており、陰惨・悲痛な出来事もその素材の一部になっている印象を受け、史実としての「重み」はだいぶん薄らいでいるように僕には見えました。
とはいえ、優れた作品にはちがいない。
欲をいうと、終盤にもう少しエモーショナルな盛りあがりと見せ場があってもよかったんじゃないかという気もしましたが、どうでしょう。
まあとにかく、名優たちの名演をたっぷりと堪能できた。それだけでも観る価値はじゅうぶんにありました。
追記
本作の予告編をはじめて見たときから「ひどいタイトルだなぁ」と思っていましたが、やっぱり何のひねりもないこの題名がベストなのかなぁ。
いや、でももうちょっと気の利いた邦題をつけられなかったのだろうか。『12 YEARS A SLAVE』を『それでも夜は明ける』としたように。『花殺し月の殺人』じゃ、お客さんは入らないだろうし。むずかしいところですね。
がっぷり組んだふたりの名優
混沌とした
ディカプリオといば苦境に合わされてひたすら困った顔してるの最大の特徴だと勝手に思っているので3時間以上に及ぶ対策でひたすら困り顔さらすのかな?って思ってたら思ってた以上に困り顔をさらしていた。とても満足。
今作ディカプリオ演じるアーネストは先住民の土地でオイルマネーを受理するために糖尿病の妻を病死に見せかけて殺害し保険金得ようとしている真っ黒な悪人なのだが
何故か見ていて彼が憎めない。
何故なら彼の本心に偽りがないからだろう。
保険金が欲しいかと聞かれれば迷いなくウンと首を振るだろうし、妻を愛してるかと聞かれば迷いなくウンと答える。良くも悪くも裏表がない人間。
妻を愛する気持ちと虐殺の命令者である叔父に逆らえない気持ちで板挟みになり自分で毒を盛っておいて妻を看病するという矛盾の行為を行う。
傍から見れば狂人だが彼の心に偽りはない。
妻を愛したいという欲求と叔父逆らえないという保身と金がほしいという欲望。すべて同時に存在しすべて行動に移しているだからアーネストは序盤ちょっと過ぎた辺りから常に余裕がなくて悪人だがとても人間らしく見える。
元々FBI捜査官の設定でオセージ族不審死の謎を暴く話からオセージ族視点からみないとダメだろってことでディカプリオはこの配役になったが白人側の傲慢な差別意識とオセージ側の文化や心情を写しにはこれ程適した役はないと思う。
凶悪
宗教映画ではありませんが、信仰についての映画でした。
信じるもの、信じる人の危うさ、それでも信じる力の強さ。歪んだ信仰は人の目を曇らせる。曇った目でしか世界を見られない人たちの物語だと思いました。
予告見た時点ではディカプリオのオーバー演技が気になりましたが、やっぱりそんなことはなく本当にそういう人にしか見えませんでした。すごい。
アメリカ創世の話ではありませんが、アメリカってこういう国だよねという、スコセッシのアメリカ論をじっくり堪能した3時間半だったと思います。
ただ、とっても斬新かつ滑稽なエピローグがあるのですが、エピローグをあの形にした意味を、エンドロールの音を聴くうちにストンと腑に落ちて、スコセッシの「表現」に対する飽くなき実験にただただ脱帽するしかないと思いました。
インシュリン
身につまさらるダメさ
娘と観てきた。上映時間も結構長いから観るかどうか悩んだが、場合によっては劇場でスコセッシの新作を観るという機会がラストかもという思いもよぎったので鑑賞したら傑作だった。フレッシュで、まだまだ作品撮りそうだから最後なんてことは無さそうな勢いだった。
娘は結局のところディカプリオが何をやりたいかサッパリ分からんかったという感想を述べていたけど、ホントにそんな映画だった。その場その場で流されて、保身の為だけに行動する小さな人間のどうしようもなさ、ほとんどそれだけを描いていて、しかし何気ないやりとりのひとつひとつがそれぞれの思惑を何層にも含んでいるからスリリングで、演出、演技、編集の力と相まって、時間を感じさせない面白さだった(とは言えもう少し短くして欲しかったが)。
それにしてもディカプリオ演じる主人公のダメっぷりは徹底していて、叔父に言われて糖尿病の薬に混ぜていた液体が本当に妻の身体を楽にする何かだと、愚かさから信じていたのかも、少なくとも妻という他者だけは本気で大事にしていたのかも、という観客の淡い期待を最後の最後に裏切る最低なキャラクターでありながら、その脈絡のない行動にはどこか自分自身や自分の周囲の人間の姿が重なって、何ともいたたまれなくなったり、自省を促されてしまったりさせられた。
あと、デ・ニーロ。凄い役者なのにわりと何でも出演するから、最近では相対的に何となくエッジを感じなくなっていたけど、スコセッシと組むと迫力が違って、ディカプリオとの新旧スコセッシ組の演技合戦は見応えがあった。それとブレンダン・フレイザーも良かった。ハムナプトラの頃から今までに色々あったらしくて容姿もすっかり変わっていたけど、かつてのヒーロー的な佇まいと愛嬌に加えて、その裏側に仄暗さも感じさせる雰囲気をまとっていて、個人的にちょっと思い入れのある役者でもあったので、今回の捜査官役のハマり具合は嬉しかった。
というわけで、わりと当たり外れのあるスコセッシ、今回は当たりの作品だった。次回作もあるかな。次は2時間無いぐらいの、コンパクトにギュッと締まった作品を観たいところだが。
長い…
3時間半などなんのその!
なにしろ3時間半という長丁場に備えて、前夜より飲食を絶って臨むという、あたかも内視鏡検査を受けるかのような覚悟を持っての鑑賞でございました。
わりと淡々とした進行でアクションも抑え気味なので、退屈しそうな感じですが、丁寧に作り上げたセンスが光る画面の連続、編集の妙、見事な音楽、そしてもちろん役者揃いのアンサンブル。
重苦しい雰囲気を過不足なく描く力量はさすがの職人監督です。
そんなこんなで退屈どころか良質の長編小説を読み切ったような満足感にひたることができました。
ただひとつ、エピローグの演出は面白くはありましたが、本編の雰囲気にはそぐわないような気がしました。監督本人が出演するほどですから思い入れはあるのでしょうがね。
結論を申しますと、3時間半など恐れるなかれ!と、あいなります。
悔しいけど面白い
まずは3時間越えの映画なのに
トイレ問題、お尻耐久レースともに難なく完走できました👏
これもひとえに、作品の面白さによるものでしょう(笑)
(相性もある)
レオナルド・ディカプリオ
かつて、天使かと思えるほどに美しかった青年から
これほどまでに武骨さが滲みだし
苦虫を噛み潰したような表情で、常に自信もなく
頼りなさが全面に出た役を演じた事があったでしょうか。
2015年の「レヴェナント:蘇りし者」では確かに
武骨さはあったけれど、自信に漲った役どころでした。
その彼が今回演じたアーネスト
英雄として称えられる帰還兵のダメ男っぷりが
妻モーリー(リリー・グラッドストーン)だけではく
観ている側も歯がゆく、イラつかせ、でも憎めない。
口角を下げ、少し上目遣いのあの頼りない眼差しは
今までに観た事がなく、今回の彼の演技の秀悦さは
本作の肝となっています。
ディカプリオは「かっこいい」だけの役者ではなく
まさに「演技派」として成長し、
これからもますます期待できますね。
そもそもスコセッシ監督作品に
デニーロとディカプリオの豪華共演って贅沢です。
人間のどす黒い欲望、金に群がる白人、権利の強奪のための
殺人はいとも簡単に実行される。あぁ恐ろしい欲深き人間。
反面、モーリーとアーネストの「愛」の物語でもありました。
悔しいけど、必見です。
追記)
ロバート・デニーロの強欲で無慈悲で不気味で
憎たらしい役どころが最高なのは、もはや当たり前なので←
手抜きではないです(笑)
.
内容が攻めすぎてて最高
スコセッシ作品の中でもトップクラスの完成度
軽く見れる作品ではないが、見ごたえは今年一番だと思う。
食事に例えると高級レストランのディナーだ。
定食やで食べたい観客は長さに辟易するだろう。
だた、その分ストーリーのち密さ、演技の意味など様々な点で余韻が長続きする。
因みに私はしばらく気分がいい意味で悪くなりました。
ハエとラストシーン、キングとモリーなど多くの印象的なシーンがある。
ネタばれになるのでが、ハエについては鑑賞後意味を調べてみることをお勧めします。以外と解釈が広がりました。
最後のシーンは完全に自分たちがこれをネタにどれだけ楽しんだり、利用したりしたかを伝えにきてきましたね。カメラワークと音響的に自己批判も多少してる気がしました。
感服しました。
大作然とした作品
デニーロとディカプリオ
見てるだけで3時間あっという間。特にディカプリオ、若い役は少し無理あったけど頭の悪いダメ男っぷりがすごい。面白いかと言われれば微妙だけどなんか引き込まれる。オーセージ族の女性のモリーの美しさも良かった。
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