「見応えありました。」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン てけと2さんの映画レビュー(感想・評価)
見応えありました。
ディカプリオの演技見たさにみてきました!
いや!いるいる!ああいうダメな奴!八方美人にしてるうちに相手にいいようにされちゃってその場凌ぎでドツボにハマり〜な。
喉元すぎれば何とやらで目の前にいる間は本当に誠実だし、特に相手に対しての自分の立ち位置に従ってもの考えるから従う選択肢しか持ってないうえ全ての人にそうしてるうちに本人も整合性合わなくなって分かりませんて態度でいる事で無意識のうちに見て見ぬふりをして逃げるのが処世術になってんだよね。
この不器用さのせいか金持ちになっても捕まっても人間性が全く変わらないのがすごくて、言ってる事はハッキリしないし掌返しでコロコロ変わるんだけど人格がそのまんまで裏表ないもんだから何故か嘘がつけない様に見えてこの人ってこれがそのまま素なんだなっていう謎の安心感。
あの疑心暗鬼のコミュニティじゃ奥さんにとっては心の支えにもなるでしょう。
と、私見ばりばりですがそう思わせてくれる演技ほんと良い。
奥さんの方は沈黙がキーワードでしたね。静かにしてる、あえて言わない、秘密にして川に流す。被害者であり共犯者的な立ち位置にもいる筈なのに語らない事で賢く思慮深い人に見える。目に語らせる力のある女性でこちらの演技も凄かった。
この夫婦はどちらも犯罪の主犯ではないけど、それぞれ無知と賢さのポーズをとって罪を深めてしまった組み合わせかなと思うと絶妙。ディカプリオなんで川に流すのサインを受け取れなかったんだ…そこだけは汲み取って欲しかった。
この曖昧な立ち位置の2人を中央に置いたおかげで、差別意識や社会背景も色々見えて色々考えさせられました。白人への憧れや憎しみ、原住民への軽蔑、気違い沙汰を当たり前に実行させてしまう選民意識。根深い。
差別が煽られて蔓延すると、普通の人もサイコパス化簡単にしちゃうもんだよなぁ、とナチスものとか見ると思うけどあの加害者側の当たり前でしょって態度はホラーでした。
もし何らかの形で社会的弱者に生まれてしまったら、要領よく生きる知恵もなかったら、無知か無言でやり過ごすしか無い時あるしそれも生存戦略だと思う。だから両方持ってるデニーロをギャフンと言わせたいけどそうはならないんだよなぁ