「陰惨な歴史」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
陰惨な歴史
こびり付いた泥に塗れたディカプリオと透き通るような清らかさのインディアンの女性の対比が印象的だった。
この作品が警鐘なのか懺悔なのかは分からないのだけれど、その対比が語るものは大きい時思われる。
まぁ、長い。
時系列が前後する事もなく、順を追って物語は進んでいく。特にミステリーがあるわけでもない。
ただただ金に執着する白人が原住民を蹂躙していく話だ。狡猾に善意の仮面を被って、ゆっくりと侵食していく。そのドス黒い闇を描くにはこの時間が必要だったのだろうと思われる。
元凶は「金」なのだろう。
格差を産み嫉妬を産み、慈愛を奪う。
資本主義の根幹とも言うべき「金」がもたらす悪意は計り知れない。「富を得る」それが正当性の理由になると他の事には盲目になるようだ。
そんな中、ディカプリオの役所は難しかったと思う。
おそらくならば彼女を守る為にやった事もあるんだろうし、その事で彼女が悲しみの淵に突き落とされても「消失」よりはいいと考えてたのかもしれない。
そんな彼女に毒を投与する。
もう何に支配されてるのかさっぱり分からない。
一応の裏付けは語られるものの、二律背反する感情を諦めたようにも感じる。
あんま見た事ないような顔をするディカプリオが印象的だった。終盤は苦虫を潰したようなへの字口が戻らなかったように思う。
デニーロは流石の貫禄で…アレに睨まれたら太刀打ち出来ないと本能が告げるような役作りだった。
モーリーさんが凄かったなぁ。
あんなアクの強いキャラに囲まれて、尚、周りを暖かく照らしてるような空気感が途切れなかったもんなぁ。
無口だけれど無知ではないを体現してらした。
なんちゅうか、金に囚われた人達の底無しの悪意に晒され続ける作品だった。
返信ありがとうございます。
そうですね。
高貴なのではなく…気高さ。
おっしゃる通りだと思います。
それ彼女に芯をあたえ、余裕をもたらしアーネストにはない温かさ(ゆとりからでるもの)になっていたようでした。
人間性を考える作品になりました。
モーリーさんにはプライドを貫く覚悟が備わっていたように思います。
夫の罪に気がつきながらも、自分の選択に対する信念で気丈に居続けた姿には、おっしゃるように温かく照らすオーラがありましたね。