「家族思いな人非人への解像度高すぎ」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 主人公のこと我が子と思ってる人さんの映画レビュー(感想・評価)
家族思いな人非人への解像度高すぎ
タイタニックで運良く持ち上げられたイケメン俳優だったレオ様が、レオナルド・ディカプリオとしてちゃんとブランドを確立したことをまざまざと感じられる映画でした。
30年間口をへの字にして生きてますって勢いのへの字口が小物ぶりと小心ぶりを示していて凄い。
家族も他人も鼠もみーんな金になるかならんかで物差ししてそうな完全悪の叔父に比べて、家族は大好き妻もなんだかんだ愛しちゃってるでも金や保身のために人殺しの片棒担いじゃうすぐサインしちゃう無能じゃないとか叫んじゃう盲信してるんじゃなくて盲信してるフリする、中途半端な小悪党の再現度すげーや。
奥さんの薬に混ぜてたの、毒だってどこかで分かってたけど、叔父が薬っつってるから薬だって信じる、フリをしている。
これサインしちゃいけないやつだって分かってるけど、叔父を信じてる、フリをしている。
無意識に何も分かっていないフリをしているように見えました。
それで自分は悪くないと言い聞かせているんじゃないかな。
人間全部金蔓にするような人間には私はならない!とは思えるけど、信頼できる人に操られて結局犯罪の片棒担いでました…でも知らなかったんです!とか宣う小物にはなっちゃう可能性がありそう、という不安感がずるずるつきまとっていました。
もうディカプリオのリアル感が強すぎて、ほんとこの話はほんとにあった話なんだってじくじく思い知らされますね。
最後ただただ被害者だった奥さんが亡くなって、犯罪者どもがゆるやかに長生きするの、映画として盛り上げるための脚色がなくてとても良かったです。
私は素人ですが、たぶんこれは高尚な映画だったと思います。
正直興味を引かれなければ長くて退屈な部分もあるでしょうが、歴史書だと思えば簡潔でドラマティックに仕上げてくれている。