劇場公開日 2023年10月20日

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「スコセッシ教授の米国暗黒近代史講座」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スコセッシ教授の米国暗黒近代史講座

2023年10月30日
iPhoneアプリから投稿

1920年代に実際に起きた先住民オーセージ族の殺人事件を通じて、石油利権にからむ白人社会の暗闇を描いた、スコセッシ監督の一代長編力作です。まず、オーセージ族の風俗や言葉を丁寧に描きながら利権目当ての結婚が多い歪で欺瞞に満ち溢れた社会が見えてきます。一方で、主人公が純粋にオーセージの女性に惹かれて結婚する前半は、二人の心情をきめ細かく描いていてとても美しいです。やがて、オーセージを計画的に死に追いやり利権を奪う構図がはっきりしてくるけど、ここらへんから主人公が殺人に手を貸すようになる心境の変化が分かりにくく、妻に一服盛っていることに気がつかないのもピンとこないです。また、登場人物が入り組んでくるのも、ちょっと分かりづらいですね。以前の監督作『アイリッシュマン』も上映時間200分超えなのに長さを感じさせなかったけど、今回は中盤がやや冗長な所があり残念。とは言え、後半は主役二人のガッツリした演技がぶつかるので見応えありです。役者では、ディカプリオが、優柔不断なダメな男っぷりが見事です。デ・ニーロは、善良そうで腹黒い役どころを貫禄たっぷりに演じています。

シネマディクト
talismanさんのコメント
2023年10月31日

冒頭の、オーセージ族が「これからは白い人の言葉を習わなければならない」と神に許しを請うような祈りの箇所が辛かったです。でもその後ずっと後になっても、英語と並んで自分達のことばも慣わしも言い伝えも残っていたことにほっとしました。今はどうなんだろう?

talisman