「凡人の物語」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
凡人の物語
マーティン・スコティッシュ監督でデカプリオ主演のクライム映画。
米国オクラホマ州で油田が発見されたことで豊かになった先住民のオーセージ族と、彼らの利権を巧みに奪い取ろうとする白人一家。このオーセージ族の土地から産まれた原油利権争いで、先住民は数十人から数百人が殺された、という史実に基づく話。
1920〜30年代を舞台にした犯罪映画ですが、いわゆるマフィアものでも、刑事ものではなく、優柔不断なデカプリオの物語です。デカプリオは当初は、事件を暴く刑事役でキャスティングされていたものを、本人の希望で搾取する側の一家の一人を演じたようです。
原作小説は刑事側(FBIの前身)の話が中心だったようですが、悪役側にデカプリオを置くことで、話の雰囲気が変わったんだろうな〜と。
デカプリオは色男ではあるが、叔父で搾取の中心のデニーロのような悪人になりきれず、かと言って正義を貫く訳でなく、ただ結婚した先住民の妻と家族を愛する凡人。殺人どころか、叔父に命じられた殺人の指示すら要領を得ない。一家が嫌疑を受けた後も、FBI側にたったり、叔父側にたったり。そんな凡人の物語。
結局FBIと取引するも、叔父と共に終身刑を受け、守ろうとした先住民の奥さんとは離婚。私の記憶が正しければ、叔父のデニーロのその後はエピローグで触れられるも、デカプリオには何のコメントもなかった。
単純に先住民=善、白人=悪でも、ゴットファーザーでもなく「私は貝になりたい」をやりたかったのかな〜、と。まあ、日本人にとっては「そりゃそうだな」って話なので、何も3時間半かけてやらんでも、、、