「月下美人」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
月下美人
今年観た作品の中でもダントツの長さ、予告込みで3時間半超えのオーバーキル。普段は飲食物を持ち込まないんですが、持久戦に備えようと思ってキャラメルポップコーンを片手にいざ突入。
体感ほど長くは感じませんでしたが、冷静に考えれば映画2本分くらいの長さ、途中途中で長いなーと思う場面があったのが残念でした。
一つ一つの事件を丁寧に描くというよりかはかなり長々と見せつけてくるので、どうしても長さを感じる場面が多かったです。
大金を得たオセージ族に目をつけた白人たちが狙いを定めて、恫喝から果ては殺人まで起こしてしまった実話をベースにしているので大きな盛り上がりというよりかは、おどろおどろしい感じで観る側に恐怖を植え付けていくという構成は見事だと思ったんですが、それにしてもテンポがあまり良くなかったです。自分が100分前後の映画を好んで観まくってるというのもあると思うんですが、謎に詰まるシーンがあるとどうしてももどかしくなってしまいました。
エンドロールはサラッと字幕を出して終わるという演出は、実話ベースの作品だと使われる事が多いですが、このくらいの後味にするのが良いのかなと最近は思い始めました。
役者陣の惹きつける力は抜群で、レオナルド・ディカプリオのダメ男っぷりがもう最高にイライラさせられました。実際にいそうなラインを絶妙に突いてくれていましたし、表での笑顔と裏での真顔という使い分けがエグすぎて震えました。それにしても鈍感なのかバカなのか、とにかく行動が遅いので、監督の計算の内でしょうがイラーっとさせられっぱなしでした笑
ロバート・デ・ニーロの極悪非道なキングも最初から最後まで最高で、こんなに極悪で欲望まみれのオーラを醸し出す人はいないよなと楽しませてもらいました。
リリー・ブラッドストーンのまっすぐな眼差しに心締め付けられっぱなしでした。
殺されるもの、殺す側のもの、それぞれの思考が読めないくらいの演技合戦は本当に最高でした。
映像も100年前の時代という事が分かるのに、実際の場所での撮影も相まってリアルな感じが伝わってきましたし、装飾や衣装もとてもオシャレなものが多く小物好きな自分には違う面での見応えがありました。
直近で「福田村事件」「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」と差別の歴史の実話を描いた作品が出ていましたが、今作はそれらの差別とはまた違う原住民vs外から来たものの構図だったのはまた興味深い作品だったなと思いました。長さだけどうしても気になってしまいましたが、スコセッシ監督の映画への愛はこれでもかと伝わってきました。というかこの長さを撮れるのが凄すぎると改めて思いました。
鑑賞日 10/21
鑑賞時間 9:00〜12:40
座席 R-30