「欲望に愛は勝てるか」キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン マスゾーさんの映画レビュー(感想・評価)
欲望に愛は勝てるか
FBI
(Federal Bureau of Investigation)
連邦捜査局
アメリカ司法機関のひとつ
アメリカの発展によって
国民の生命・財産を保護する
法執行機関は存在はしたが
そこは広大な北米大陸
遠隔地ではマトモに
機能を果たしておらず
1924年に29歳の若さで捜査局長に
就任したジョン・エドガー・フーヴァー
がFBIと改称し州をまたがった犯罪行為
等に強い権限を持つようになった
FBIの特別捜査官は
「Gメン」と呼ばれている
今作は1920年代の
アメリカで実際に起こった
オクラホマ州オセージの
原住民族「オセージ族」の連続殺人事件
を舞台に「欲望」「愛」「真実」を
軸にした物語
もともと白人に土地を追われた
オセージ族が落ち延びたオクラホマに
命を落とした者たちの形見を地面に埋め
その土地から二度と離れることのないよう
誓うとその土地から噴き出したのは
「ブラックゴールド(石油)」
とたんに白人たちは飛びつき
オセージ族は一気に大金持ち
そこには街が出来て全米中から
出稼ぎのゴロツキが集まってきます
そんな中に戦争が終わり
その街で連邦捜査官を務める
伯父を頼るアーネスト(正直者という意味)
がこの映画の主人公
伯父の「ウィリアム"キング"ヘイル」は
街に多大な投資を行い慕われつつ
アーネストにはまず
オセージ族と
純血族の娘たちを知り
彼らの持つ石油の受益権を
逃すなとアッサリ本当の
狙いを明かします
そしてアーネストは
運転手をやりながら
純血族の姉妹の一人
モリーと良い仲になります
アーネストも覆面強盗して
オセージ族から奪った
宝石で博打に興じるなど
なかなかのクズですが
その間にもオセージ族の
受益権を持つ者たちが
次々と「殺されて」いきますが
特に捜査もされない様をが
画面には映されます
またモリーは白人文化の
食生活の影響で糖尿病を
患っているなど所々
オセージ族が白人から
与えられたのが裕福な生活
だけではないことが
画面に出てきます
そんな間にもモリーの
妹のミニーは「消耗性疾患」
というよくわからない
病名で死亡
姉アナは酔っぱらった末
森で死体で発見
いくらオセージ族が殺されても
あまりに進まない捜査に
一族が会議を開き
ワシントンの連邦政府に
事態を伝えることや
探偵を呼ぶなどしますが
アーネストはその探偵を
口封じしたりキングの
言うように動きます
ワシントンから来た
政府の人間も秘密裏に
殺されてしまいます
ただアーネストの
モリーへの愛は本物で
当時「世界で5人」しか
治療を受けられない
と言われたインスリン治療
も提供し
子供も生まれました
その裏でアーネストは
モリーの元旦那で
キングが借金のかたに
保険金をかけている
気鬱症で自殺企図がある
ヘンリーを謀殺します
しかし自殺に見せかける
のに失敗してしまい
明らかに殺害されている
ことがまるわかり
またミニーの旦那で
今度はモリーの妹に
近づいて再婚したビルも
受益権目当てであるとし
家ごと爆殺してしまいます
これらにオセージ族は
ワシントンに自分たちで
向かっていき大統領に
直談判しに行きます
これにより
元テキサスレンジャーの
「特別捜査官(Gメン)」トム・ホワイトが
街にやってきて捜査を開始します
政府の遠方で捜査官が好き放題
やってる現実を鑑みて
州をまたがる犯罪に対応する
FBIが誕生したのですね
アーネストは焦って
キングに相談しますが
大丈夫と言いモリーに打つ
インスリンにこれも混ぜろと
特別な薬を渡します
ちなみにモリーは全く
状態は良くなりません
次第にホワイトは捜査を
進めていくごとにアナが最後に
誰といたかなどを目撃者から
対象を絞っていき
アーネストがヘンリー殺害や
爆殺に関わっていたことを
依頼したブラッキーらを拘束し
全て吐かせてしまいます
そんな間に病床のモリーは
瀕死になっているところを
特別捜査官たちに発見され
すぐ病院へ搬送され
一命をとりとめます
こんな時でもアーネストは
ただ「家族に会いたい」と
いう一心ですべてを話そうとも
考えますがそこへキングは
石油利権者らと集まっている
ところへアーネストを招き
一族を守るために殴られるなど
不当な取り調べを受けたと
証言しろと言います
アーネストはそれに従おうかと
考えますがそんな間に
百日咳を患っていた娘が
死んでしまいます
悲しみに暮れるアーネストは
そこで考えを一転
すべて真実を法廷で延べ
キングことウィリアム・ヘイルの
悪行をすべて証言するのでした
この映画の面白いところは
スコセッシ作品らしく画面に映る
事は全て「真実」
観客は真実を見せられますから
それをアーネストが曝け出せるか
なんのために曝け出せるかという
人間性の部分に自然と焦点が行く
ところが引き込まれ210分もある
映画ですがまるで長く感じません
でした
昔のアメリカはひどいなぁ~
と思ったあなた
よく考えてみてください
現代でも庭から石油が出た
宝くじで100億円が当たった
こんな事があったら事態は
そう変わらないことが起こるのでは
ないでしょうか?
急に親戚が増えるとか絶対起こります
誘惑も増えるでしょう
現代人でも身に迫る話だと思います
物語のラストをその口で語る
スコセッシ監督の姿は印象的でした