「不気味かつクリエイティブ」オオカミの家 aromさんの映画レビュー(感想・評価)
不気味かつクリエイティブ
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あえて映画の元ネタになった事件の予備知識を入れずに鑑賞したが、なんとなくどんな事件なのかがわかるような気がする。
古びた部屋の壁に描かれるアニメーション、少しずつ浮かび上がる登場人物、不規則な動き、歪な大きさ、閉塞感とざわざわした不安を感じさせる。
「黒い目は獣の目。知性がなくてかわいそう」などという強烈な差別意識と独善的思考。マリアの目を通して見えている豚。豚は本当に豚なのか。自分たちの言語が理解できない、自分たちの生活様式と同じではない者を人間としてみていない。
ただあくまでもマリアは心優しいマリアとして描かれているところ、終盤のペトロとアナの目が黒目に変わっていることを考えると、これはプロパガンダのパロディ映画なのでは?スターシップトゥルーパーズ的な。「黒い目はやはり獣」であると製作者は肯定していることになる。あまりにもインパクトが大きすぎるアニメーションなので冒頭をつい忘れてしまったが、まず始めにコロニーのイメージビデオが映し出され、その後にマリアが主人公のアニメーションが始まる。コロニーで作られた物語と、実際の事件を混ぜ合わせたような映画だとわたしは思う。
とにかく悪夢のようなアニメーションだと、いろんな方々が表現しているが、わたしもその言葉が一番この映画を表す言葉だと思う。
斬新な表現方法だしテーマも興味深い映画でしたが、少し酔いました。
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