「ストップモーションアニメの可能性」オオカミの家 レントさんの映画レビュー(感想・評価)
ストップモーションアニメの可能性
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チリにあるナチスの残党が創り上げたカルト団体、コロニアディグニタを皮肉った作品。作品冒頭ではいかにも現地のチリで友好的に受け入れられているとアピールするが、実際は拷問、性的虐待、人体実験とまさにナチスの専売特許をこれでもかと行ってきたような恐ろしいコミュニティ。
同じドイツ系のアーミッシュとはえらい違いである。ちなみにエマ・ワトソン主演の「コロニア」でもこのカルト団体が描かれている。
本作はこのような恐ろしいカルト団体から脱走した少女が見た悪夢を映像化した作品。オオカミとはまさしくこのコロニアディグニタのことを指すのだろう。
逃げ出して自由になったと思われた少女も結局このカルト団体で受けた精神的束縛から逃れられず、空き家での生活も悪夢にさいなまれ続ける。そして最後には引き戻されるという絶望的な結末で終わる。
下手上手漫画というのがあるけど、本作はまさに下手上手アニメーション。あえて雑に作ることでそれが逆に味わいのある作風になっていて、また不気味な雰囲気も醸し出している。
ただ、正直言って予告編で受けたインパクトがピークだったかな。本編はちょっと退屈と感じてしまった。
それでも、作り手のイマジネーション次第でストップモーションアニメの可能性はまだまだ広がるということを知らしめた作品ではある。
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