「"これからは一瞬だけ有名になる事が出来る"」#ミトヤマネ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
"これからは一瞬だけ有名になる事が出来る"
劇判、映像表現、エフェクト等々、SNS時代の今を皮肉った、メタファー溢れる作品に仕上がっている
脳内に作り出したイマジナリー姉妹という構造にし、出役と制作側という、まるでアイドルとPという関係性に分けて作り出していく虚構のインフルエンサーの表現を、ビビットに描いた作品であろう
自己表現を積み上げる中で、そのジギルとハイド的な乖離した精神分離を映像化したらこういう答えだったという一つの可能性の提示だろうと感じた
妹が妄想するインフルエンサーはまるでAIで生成されたような完璧な美女 決まりアクションをする際のクールな表情は、地味な自分ではない華やかさを具現化したものであろう 堅実に「億り人」を夢見る妹は、しかしプロダクションの短絡試行的提案で、思いも知らぬ事件へと巻き込まれる
妄想AIが、実際のAIに因り、顔を抜き出し合成技術によって犯罪行為や性行為、はたまた思想団体に利用という、権利関係一切無視の愉快犯の餌食になってしまう ほとぼりが冷めるまで隠れることになった妹は地元に戻るがそこでも暴力を被り、散々な目に合う そんなイマジナリー姉妹は、報復とばかりにコインロッカーを・・・
という筋書きであるが、ラストは明確には示していない いつもは購入した服飾は、リサイクルショップに流すのだが、そんな非生産的な見た目だけの生活への落とし前なのか、いつものように沢山のブティックの神袋をコインロッカーにしまい、そしてPC画像に映し出されるコインロッカーの固定カメラが一斉に砂嵐を映し出す カメラの故障なのか、それともカメラごと吹き飛ばされたのか・・・
いずれにせよ、利用する者は、いずれ利用される 虚構に塗れた生活で得た資産をきちんと還元する構造を理解しないといずれしっぺ返しが来る 寓話的内容の作品である
尚、自分は細々と映画サイトで拙い作文を書き散らすことで溜飲を下げるのみである(^_^;)