哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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興味深かった。
映画館にて鑑賞しました。
タイトルに惹かれて前情報なしで見に行きました。アカデミー賞の複数の部門にノミネートされている作品だと映画が始まる前のCMで知りました。
最初は色無しから始まり、旅に出たところから色が付き始める演出であったり、現実なのか幻想なのか若干不安になるような街並みや色合いに独特な世界観を感じました。この監督さんの世界観なのかもしれませんが、現実味をちょっと薄めることで「ここで描いているのは現実じゃないんですよ」という言い訳をギリギリなところでしているようにも感じました。
大人の女性の体に、その女性が身ごもっていた胎児の脳を移植して観察するというのは、とてつもないマッドサイエンティストな発想で設定自体にはかなり驚きましたが、彼女の成長過程はシミュレーションゲームを見ているような感覚にもなり、個人的には興味深かったです。
この映画はこの結末を見せたかったのでしょうか。結末に至る過程を見せたかったのでしょうか。表現しづらいのですが、映画のあのラストはあの過程を経ての結果として良かったのでしょうか。
映画としては面白いが
映像は美術的だし、エマストーンはすごいし、上映時間の長さを感じさせない。
けど、これを女性の自立と解放なのだー、と男性の原作家や監督に言われちゃうと、違うくね?と思う人も多いだろうな、と思いました。
そういうのも含めて「Poor Things」なのだー、ってことなのかな。
コメディと言われても笑えるシーン一個もないし、不協和音と無秩序なリズム満載のSEはかなり苦痛。
善意の自慰
流石だなぁ〜、って感じでした。好き。好きだけども長いッ笑 ハルクターンはもっと削っても…、いや必要か。たぶん本気で好きにしたら後半の将軍ターンも延びて4時間超えだったのでしょうね。昨今色々と言われるけれども「プロデューサー力」ってのも大事なんだなぁとトンチンカンな感想を抱きました。
一見、男性陣を愚かしく描いて〜風に見えたりもしますがさにあらず。やはりこの監督の視点はフラットで素晴らしい。なんなら一番吐き気がするのが「ベラの施し」である所。アレが意味を為していない処か、(問題はあれど)恩のある人を窮地に追いやっている様は、滑稽を通り越して胸糞悪かったですねー(たぶんそれが狙い)。終わり方も個人的には「オエッ」でしたが、話全体の纏まりとしては秀逸でした。
「曇りなき眼」で世界を見つめよ
自分自身の眼で世の中を見ろ、と言われた気分。それは、ただ単に公平な視点で物事を見るということだけではなく、常に自分の目で見て疑問を持ち考えよ、ということ。
一人の女性が自立するまでの過程も描いている。ベラの内面の成長と、危なげな歩き方が、段々と地を踏み締める歩き方に変わっていく様子がリンクする。子ども→大人への人間としての成長と、内(家)→外(世界)への女性としての自立だ。実験のための、ものとして扱われていたベラが、一人の女性になっていく様は、女性に対する所有欲へのアンチテーゼだ。
好きな相手が他人と性行為をしたら嫌なのは当たり前だ。だが、行為者が男性である場合より、女性である場合の方が世の中の目線は辛く鋭い。娼婦が卑しいという考えも、女性に対して清廉さを過剰に求める意識の表れだ。また、女性の体が、男性の「もの」であるという歪んだ前提も、ベラの奔放さによって逆説的に垣間見える。自分の体は誰のものでもなく、自分のものだ。
ベラが性欲だけでなく、知的欲求を満たすことにも快感を覚えてるのが良かった。知的な人やものに触れることは、自分の内面を成長させ、言葉遣い、考えを形成させる。人間的成長に不可欠だ。
どこかファンタジー味のある街並みやセットが、ベラの経験する冒険らしさを強調していて面白かった。画としてもユニーク。
突然現れた生前の夫について行っちゃう展開はちょっとびっくりしたけど、好奇心旺盛なベラなら、まあ有り得るのかな。彼女がなぜ自殺したかが分かったのも良かった。でもやっぱり、自殺の理由はほんのり匂わせるぐらいで丁度良かったのでは、と思ってしまう。
自分の感覚をフルに刺激される映画
あらすじだけ読んでいったのだけど、想像を遥かに越えて凄かった!!
発想・衣装・背景の建物群、世界観全てものすごく好みで、最初から最後までずっとベラの変わりゆく視点に合わせて変化していく衣装や小物やセットにわくわくした。
ベラが成長過程でスポンジを吸収するように体験から得ていく全てのものが、最終的に彼女が女性として成長した後に、彼女の価値観や倫理観に繋がっていくことに心が震える。
冒険と成長はセットだよね。
彼女が成長するにはあの素敵な豪邸を出て、彼女の自由さを愛して好奇心を満たしてくれるスポンサーとお出かけし、見聞を広める必要があったのね。
家でどれだけマナーを教えても、色んな人と出会って他人から見た自分がどんなかを自分で学ぶまでは、必要なことはよくわからないよなと思った。
性的なことはその人の隠せない本質が顕になることの表現なのかなと思ってみてたけど、色んな欲望を隠しながら人は生きてて、それを全部出しても良い場所に来たらその人本来の人間性みたいものがバーンと出てしまうだろな。
文字通り丸裸になった人間をベラの純粋な観察眼でたっぷり観察してまた彼女は成長していく。すごい。すごくよくできてる。
さぞかし多い学びがあっただろう。
衣装はコルセットをつけてない時のリッチに生地を使ったフワフワのお袖のドレスもものすごく可愛いけど、カチッと型通りに着られた赤いドレスもすごくすごく素敵だったなー。どれもこれもうっとりで、新しいドレスで現れる度に隅々まで眺めてしまった。
建物がまた素敵で、窓!窓がものすごく凝ってて素敵だった!!
住みたい。
とにかく自分の感覚をフルに刺激する映画だったなと思う。
凄いものみたな。
見どころは多い
見どころは多いのだが、人にも勧めたいほどではない。
前半の不快感からの後半の巻き返しは面白かった。
しかし、赤ん坊がうるさい、女性の話がつまらないなどの感覚はあるのに、おっさんに触られるのが気色悪いという感覚だけ抜け落ちているのはあまりに都合が良すぎる。
男性向けに見せかけて女性向けの映画だと思います。
映像はとても綺麗でした。
人体実験の被験者の成長譚である奇譚
ストーリーが奇想天外かつ演出が強烈で『奇譚』という表現が似合う作品だろう。
人体実験の被験者としてマッドサイエンティストである外科医・ゴッドウィン(ウィレム・デフォーさん)により脳の部分に赤ちゃんの脳を移植された成人の身体を持つベラ(エマ・ストーンさん)。
ベラの行動は言われてみれば/子育て経験があれば分かるだろうが子供の成長過程をなぞっていくものである。
ベラの成長は周囲の大人からみると急激であり、人間の欲求のひとつである性欲もストレートに表現するようになっていった。
ベラの行動は少しずつ成人の行動に近づいていくが、
・ゴッドウィンの教え子の医学生・マックス(ラミー・ユセフさん)
・ゴッドウィンとマックスを結婚させるための手続きを担当した弁護士・ダンカン(マーク・ラファロさん)
・ベラとダンカンの旅行中にクルーズ船で出会った乗客
・船から追放された後のパリの売春宿の客や労働者
などとの出会いや交流の中で、本能的行動と人格形成のアンバランスに周囲が振り回されながらも、ベラがひとりの人格を持った成人に近づく過程が興味深く観ることができる。
性欲の発露の描き方が故・大島渚さんの『愛のコリーダ』とは違う描き方ではあるが直接的であり、R-18指定も止むなしかと思った。
人体実験の被験者がストーリーに登場する作品としては個人的には大友克洋さんの『AKIRA』や貞本義行さん+庵野秀明さんの『新世紀エヴァンゲリオン』が印象的だが、この2作品をご覧になった方はベラの生き様と『AKIRA』の被験者たち・『エヴァンゲリオン』の綾波レイの姿と比べてみるのもアリかと思う。
元々彼等が非人道的な実験の産物であり、物語の終盤に登場するある人物の最後の姿の描き方が妥当かどうかは意見が分かれるだろう(個人的にはあまり好ましいとは思わなかった)。ベラにとっては明るい結末だが…
ピンホールカメラや魚眼レンズを使ったカメラワークや、モノクロから総天然色に移行する映像は、ヨルゴス・ランディモス監督の得意なスキルが反映されているようである。
世にも奇妙なものがたり
好きな監督の作品だったため、事前情報はシャットアウトして観賞。自分の子供の脳を移植された無垢な女性(肉体は大人)が社会の良識とやら(いわゆる男性的な社会)を経験する「冒険」を通じて、生きる自由を得る、というのが大まかなストーリーです。
なにがすごいってエマストーンの演技。最初と最後でキャラクターの表情の変化よ!同一人物だとは思えないほどすごかったです。こんな難役、今の日本の若手俳優にできるかよ!って。唯一可能性があるのは満島ひかりさん。やらないだろうけど笑
不満点挙げるなら、R18禁シーンが多すぎる。品がない交わりの連続で男女ってバカだなという視点を監督があえて意図的に放り込んでいる嫌いもあるが。だとしたら狙いは的中。
事前情報では純粋なベラの明るい世界旅行(冒険譚)と思っていたが、やっぱり一筋縄ではいかないヨルゲンランティモス監督。性差別、貧富の差など社会課題を次々にベラに提示していき、ベラはその解決に向けてまさしく体当たりでぶつかっていきます。そして、最後に山場があります。最後にベラが出した答えは?これは劇場で。
この監督の作品が気になったなら、「ロブスター」「聖なる鹿殺し」はおススメです。
追伸
この後、お昼挟んで好きな監督アリアスターの「ボーはおそれている」観賞します。1日でげっそりしそうです😱
グロテスクなれど美しき女性解放絵巻
成人女性の肉体に胎児の脳を移植された女性の不思議な人生を描くなんとも凄い世界観の映画です。ジャン=ピエール・ジュネやテリー・ギリアムのような不気味で異様なビジュアルにも圧倒されます。精神と肉体のアンバランスから、主人公の行動は、女性はかくあるべきと言う常識やタブーを軽々と乗り越え、女性を消費する男性優位社会への強烈なアイロニーになっているのが痛快です。監督のヨルゴス・ランティモスは、彼女の冒険譚を戯画風に描いていてファンタジーのようでもあるけど、一方でどぎついベッドシーンがやたらと多くバランスが悪いようにも感じました。映画としての完成度は高いけど、異様な作風についていけるかどうかは、観る人の好みによりますね。役者では、製作も兼ねるエマ・ストーンの独断場で、女優としてリスキーで異常な役柄を見事に演じ切っています。マーク・ラファロの主人公に翻弄されるクズ男振りも、いい味わいです。また、慈愛あふれるマッドサイエンティスト役のウィレム・デフォーも素晴らしかったです。
なんじゃこりゃ?!
面白すぎるじゃないかー!!
中世なのか近未来なのかの、衣装も装飾も映え過ぎる!
自ら命を絶ったベラは、天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって
自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生。
成長していく過程で、
「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられ、
弁護士ダンカンに誘われ、大陸横断の旅に出る。
身体は大人の新生児の感覚で世界を見つめるベラは、
時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、
驚くべき成長を遂げていく。
ということで、簡単に言えば、
女性の自立要素多めのベラの成長冒険物語。
ウィレム・デフォーのゴッドの存在感も半端ない!
父親からの虐待でしかない教育的実験の話に悲しくなり、
でも、それで天才になったのかも知れないという、なんとも切ない気持ちになり、
それでもベラと生活する中で、親のような愛情を持てたゴットは幸せだね。
ゴッドとベラのお別れのシーンには涙がこぼれちゃいました。
元夫への後始末も最高!
綺麗!美術がすごいです!映画館で観るべき映画
観終わってじわじわと良かったーが続きました。ベラが旅行に出かけた先々の空の色がとてもきれいだった。娼館で娼婦側から客を選ぶ方が客もうれしい、という意見が好きでした。実際はどうかと思うけどね。
勉強して賢くなっていくと少し左に傾くんだなとボヤーと感じました。学ばない右寄りだと自分の方が立場が上だから何しても許される気分になるのかなって。
なんだかじっくりと観てしまった
エマストーンのセックスシーンが見られる映画と言うことで、ゾンビランドからファンのエマストーンを見るつもりで観に行きましたが、数シーンだけなのかと思いきやガッツリ長くセックスシーンが有り、とにかく脱ぎっぷりが良すぎてエロさを一切感じなくなるセックスシーンでした、毛と男性器を映ってましたね時代が時代なら上映禁止レベル。 内容としては天才脳外科医が水死した新鮮な妊娠した母親の死体に胎児の脳を移植し、その経過を観察していく映画なんですが、ヘンテコと言えばヘンテコな設定、興味が湧くと言えば興味が湧く設定で、幼子の脳を持つ成人女性が急速に言葉を覚え、見る物全てに興味を持ち手にし言葉に表す、まさに赤ちゃんの状態から、狭い空間での成長に飽き広い世界へ羽ばたき売春婦とし働き成長していく話し、監督がこの成長過程を見せ何を言いたいのか結局理解不能でしたが、2時間を越える長い映画でしたが、眠くならずに観ることが出来ました。最後のシーンでてっきり将軍にゴッドの脳を移植するのかと思いきや、ベラにゴッドの脳を移植していることに気付きましたが、え!なんでそこに入れちゃうの?って、今考えてもなぜなのか?不明です、何から何まで不明すぎる映画ですが、音楽やセットなのか?背景はCGなのか綺麗で、音楽がまた独特ですが心地よく、評価を4としました一見の価値は有る映画だと思います。
ストーリー 3.5 演技 7 芸術 4.5 エンタ 4.5 総合 ...
ストーリー 3.5
演技 7
芸術 4.5
エンタ 4.5
総合 5.5
良さ理解できずですぅ。変態者達の演技はまずまずですがお笑い芸人もやってそう。背景もopenAIですぐに作れそう。うーむ。
人と見るのはオススメできないけど
人と連れ立って見に行くのはオススメ出来ないけれど過去作見た後だとダントツで間口が広いし分かりやすくて見やすくなってる気がする。誰が見たってR-18のエロありグロありなのに!笑(麻痺してるだけかも)
テーマへの切り込みの潔さとか、あまりにストレートな言葉で人の情を切ってくるのに全体にカラッとしていて湿度低いのにじっとりしたもの投げつけてきて、なんだか金カムを読んでる時の爽快感に通じるものちょっと感じました。これがギリシャよろしくの監督の哲学なら思考を選分け方が解剖学の様に思えてきて解剖シーン多いの何か納得しちゃったり。
世間様が信奉してる様式化した価値観を挟まなけれりゃこんなに自由に生きれるのによー!っと言わんばかりの恋愛論家庭論マウントへのうっせぇわが聞こえだしてくるし。愛情を欲求として捉えていて信じていない様に見えるのに、根底に人への愛しさを感じるのは人を哀れだと思うからなのか。みっともない所がない人なんて愛せないもんなぁと勝手に共感。
衣装や世界観も近代感は排除して未来と過去のごった煮で見ていて目が楽しく満足。極力生々しさを削って関係性の意味に目を向けさせる作りに感じたけど、少し和らげないとエグすぎて笑えないのもあるかも。
エマのベッドシーンは成長や関係性で色合いがどんどん変わるのでベッドシーンの演技ってこんなに心境の変化を見せたり物語を進める力があるんだと驚きました。
でも監督の過去作見ないでいきなりぶち当たったらポカーンとなりそうなんで予備知識入れといて良かった。
ひたすら合わなかった
試みとしては分からなくもない、言いたいこと、考えさせたいことも分からなくもない。ただ私はこれを傑作や名作とは呼びたくない。確かに彼女の中に成長はあったが、人の尊厳を考える上で最後の行動は自分勝手そのもので、あれを痛快なものとして描いている作品に疑問を抱いた。
エマ・ストーンの一人勝ち
内容をよく知らず公開を楽しみにしていたが、思っていた内容と全く異なり、いい意味で驚いた映画。2回目見に行きました🙂 舞台は1900年前後のロンドン?か?おどろおどろしい雰囲気は、それはそれで興味深かった。エマストーンの大人かわいさが溢れつつ、やがて自立に目覚める女性をモノクロからカラーで描く。ありがちな押し付けがましさを感じない、秀逸な作品ではないでしょうか。
面白いのは間違いない
面白いのは間違いないがフェミニズム映画としては観ない方がよい。そのように観ると色々と気になる部分が出てきてしまう。映画の世界観や物語に没入し、この喜びを保つためにはその部分は目を瞑ったほうが良いだろう。監督は男だし、フェミニズム映画として作ったんじゃないんだという心構えがあると良い。
ある意味、Bildungsroman
それとも幻想的「女性解放」映画というべきか。「好きなように生きさせてよ」というベラの主張は至極真っ当で、そんな女性には自分を拘束する社会道徳も男も不要である。実際のところ男の観点から言っても、船にベラを閉じ込めようとする弁護士ダンカンも、家にベラを閉じ込めようとする将軍アルフィーも、同情にまったく値しない。洋の東西を問わず、女性を囲う「昭和のおっさん」には、ラストがヤギ男のこの映画がホラー映画であることは否定しない。他方で、草食男子と肉食系女子が増えている21世紀の現代においてこのテーマが時宜に適うかと言われれば、そうでもない。
テーマが今更ながらの「ウーマン・リブ」ではあるが、観客を飽きさせないのは監督のランティモスの悪趣味のせいであろう。『女王陛下のお気に入り』はドン引きするほどの精神的悪趣味が満載だったが、『哀れなるものたち』では露骨なまでの映像的悪趣味が満載である。もちろんエマ・ストーンの体を張った演技が悪趣味という訳ではない(本作は間違いなく彼女の代表作となる)。豚鶏だの鶏犬だのゴッドの創造物は映像的にじわじわ来る。
アカデミーの結果に関係なく、よくも悪くも本作は「怪作」である。一方で、評論家の評価が高いのはよく分かる。他方で、人に勧めることができるかと聞かれると、だいぶ考える。妻には「すごいものを見せられた」と言っておいた。多分、これがこの作品の本質である。
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