哀れなるものたちのレビュー・感想・評価
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かわいい子には旅をさせよ!
大人の身体に子どもの脳を移植したら
どうなるんだろう?だなんて考えたことなかった。
前述からしてSFっぽいのかなーと思っていたが、
少女の成長に着目した作品。
設定は非日常的だけど、その成長過程はリアルさを感じた。
あらすじ
胎児を身籠ったヴィクトリアは自殺を試みた。
自殺は成功するも天才外科医によって蘇生される。
しかし、それは完全なる蘇生ではなかった。
見た目はヴィクトリア、脳は身籠っていた胎児の脳を移植されたのだ。
ヴィクトリアとして記憶のない女性は“ベラ”という少女として新たな人生を歩み始める。
急速に成長を遂げるベラの様々な体験の話。
かわいい我が子は
ツラい思いをしてほしくないし、
なるべく危険から遠ざけて
安全な場所で暮らしてほしい…!
みたいな気持ち ちょっとわかるかも(!?)
でもそれは子どもの成長には繋がらないし、
様々な経験をしてこそ、自分という“個”が
確立していくと感じた。
善悪も判断できない年齢の子が、
1人or信用できない大人と外の世界を知るのは危険!
信頼できる大人と共に、
様々な経験を経ていくのがいちばん良いんだろうなと思った。
すごいが苦手
ブレードランナー 19世紀
ブレードランナーのレプリカント=レイチェルは精神を安定させるために別人の記憶を移植されていた。この映画のベラは胎児の脳を移植された、言わば記憶の無いレプリカントだ。
なるほど情緒不安定で善悪の区別もできず、マナーやモラルに欠けている。ゆえに成人するまでのモノクロ映像パートは不快なシーンのオンパレードで、これが赤ちゃんや子どもであれば笑って許せるのだけど、成人女性だと眉をひそめてしまう自分自身の感情に驚いてしまう。
しかし心は純粋無垢。それ故に、遊びのつもりでベラを誘惑した弁護士が心底ベラに惚れて自滅していく様は、思わず同情してしまった。弁護士を演じたマーク・ラファロはハルクとは比べ物にならないくらいの芸達者ぶりの演技力。もうハルクは完全に卒業して欲しい。
さらにこれが復讐劇に転じて行く過程は一種のカタルシスさえあるが、オチだけはちょっと不満。
(以下、ネタばれ)
過去の夫に復讐でヤギの脳を移植してしまうが、どうせなら親であるゴッドウィンの脳を移植させて欲しかったな。まあさすがに倫理的にダメかもしれないけど。
油断してました
感想を述べるのがとても困難な映画
ラ・ラ・ランドのエマ・ストーンとプラトゥーンのウィレム・デフォーが共演しており、話題作なので、こっそり朝一番で一人で観てきました。表層的には荒唐無稽で極めてインモラルな映画であり、有名女優の性的描写も観ていて可哀想になりました。一方で映像が幻想的かつ非常にきれいで、ある種寓話的な不思議な風景が続きました。そして観終えたあと、向かいの椅子の背もたれにメガネを強打して、そのままメガネ屋さんに行く羽目になるくらい、頭がクラクラする、強い精神的衝撃を受けた映画でもありました。
シネコンで全国に配給される映画というより、独立系のミニシアターで上映されるようなテイストの映画です。そういう映画が好きか嫌いかでも評価が分かれると思います。とはいえ、観ていて退屈することはなく、観終えたあとは、案外と悪くない気持ちではありましたが。
原題は「POOR THINGS」で、彼女も、彼女に関わった男性も、皆さんPOOR(可哀想な)な人たちであり、さらには主人公の旅の途上で本当にPOOR(貧しい)な人々に遭遇したり、女性も男性もPOOR(可哀想な)な存在なのかしら?とも思える一方、旅はたくさんの経験をさせてくれる、人間を成長させるもので、さらに言えば”生きていることはとてもおもしろいもの”、とも感じさせる映画でした。
ちょっと違いますが、手塚治虫の「ガラスの脳」という古い短編を思い出しました。この漫画に登場する少女も17歳の身体で赤ん坊の脳の状態でしたが、わずかの期間に急速に成長し、再び意識不明になる、とても可哀想な物語でした。それに比べるとエマ・ストーン扮する主人公はハッピーエンドを迎えることができたので、それはそれで良かったのですが、僕の常識やモラルを破壊されそうになったのも確かな、大変な問題作です。
タイトルなし(ネタバレ)
親であれ友達であれだんなであれ恋人であれ
誰かを誘って見に行くような映画じゃないなと思います。
船に乗ってたご婦人とその連れが非常に魅力的でした。
そしてこんなに美しく静かなエンドロールは珍しい…
何かを汲み取ろう、分かろうとすると小難しくなりそうなので途中から放棄しました。
ただただベラとベラに関わる人達が少しでもしあわせになればいいなと思いながら見ていたように思います。
ある意味私もゴッドの視線だったのかな…
ベラの目が印象的
エマ・ストーン演じるベラの目の表情から、ずっと目が離せませんでした。
セットと衣装もとても素晴らしかったです。
ラストはてっきりゴッドが亡くなる前に将軍の身体に脳を移植するのかと思いましたが、そう安易な展開ではありませんでした😅
ベラが婚約者にプロポーズしたシーンが好きです。
原題"Poor Things"とは???
妖怪人間ぽい?と思いきや
生きなおしの旅
笑えない
シリアスなのかコミカルなのか、よくわからない。コメディ部門で賞もらっているようですが、コメディではないように思う。まあ、単なるコメディではないということかもしれない。
笑ってもらうつもりのような場面もあるのだが、笑える雰囲気ではない。テーマが脳の移植なので、グロテスクでもあるが、登場人物もストーリーも深刻なので、面白いとは思えない。かといって、人間の本質について、何か考えさせられるような雰囲気でもない。
映画の批評ではすごく評判が高かったので、人間の本質のようなものがあぶりだされる話なのかと期待した。映画でもそういうことを描こうとしているような雰囲気はあったが、皮相な描写にすぎなかった。豪華客船のデッキや19世紀の街並みや画像もありきたりで本物感も薄くて、安っぽい。見ていて、退屈だった。
最後の場面はどういうつもりかわからないが、面白くないし、カタルシスもない。観客のどういう反応を期待したのか、監督に聞いてみたい。
存外難しくなかった。ちょい怖SFヒューマンドラマだったに違いない。
予告の印象では、
前衛的
雰囲気映画
お洒落だけど意味不明
”なんとなく”スゴいのだけ分かる
なるほど分からん映画
だと思ってたのですが、全然そんなことなかった。
お洒落だし何か前衛的だけど分からないことない。
ベラのお守りに奮闘する男どもはコメディちっくで笑えるし、解剖実験で遊ばれた動物たちは見世物小屋に入るようなワクワクした恐怖があり、ベラちゃんの成長ぶりは見応えがある。
ベラちゃんを中心とした群像劇だったのだなあと思います。
深いテーマが込められてるとかそういうのは分からんですが、そういうの考えなくても普通に面白く鑑賞できると思います。
そして何か深いものを見出だしたい人も何か見つけられそうな難解さを潜めている感じもする。
幅広い層に開かれた高尚な映画って感じでした。
あえて言うなら人を誘ってみられる映画じゃねえやっていうのが…うん…難点ですよね…
あの、あと、アレクサンドリアは、あれ、何があったんですか?
一昔前はマジであんなんだったんですか?
誇張表現?
私の精神も破壊されかけたわ。
教えて有識者の方。
大人の寓話として
自殺した若い妊婦から胎児の脳を取り出し、その女性の脳と入れ替えて蘇生させるという医学的にはありえない始まり。何も知らない乳児から幼児、少女へと早いスピードで脳は成長する、若い女性の身体の中で。
少女が思春期になり性に興味を持つ様子をこの映画はあけすけに観せている。ひとりの女性が成長して社会のことを色々知る、ということと女性の歴史をリンクさせているところが面白い。ベラは娼婦にまでなるけれどもその聡明さと強さで立ち直る。
明らかに撮影所のセットであるとわかるように作られた街並みや、わかりやすいCGはこの物語がリアルな話ではなく寓話であることを観客に知らせている。SEXシーンが多くて引くぐらいだけれどもいやらしい感じがしない。動物の交尾を見ているような感じ。
ラストのオチは面白くカタルシスを感じる。
奇妙
抜群に綺麗な映画だけど、恋人と見に行くのは2つの理由でやめた方がいいです
最初に恋人と…というか、一般的な良識に沿って作品を観る人と観に行かない方がいい理由を2つ挙げます。
映画を観終わった後、乾いた笑いが響いていたので警告です。
1.解剖された人間の描写がかなり出てくるということが挙げられます。人体にメスを入れて血が出てくる、取り出した脳みそを切り刻むくらいは普通の描写です。
2. 主人公の性描写がかなり多いです。たぶん8人くらいとの交わりがあると思います。物語の序盤は白痴の人に対してそれを行うという嫌悪感を催しかねないインモラルさもあります。
以下、私の感想です。
109プレミアムシネマで観てきましたが、絵と音が抜群に美しいので、それなりの映画館で観ることをお勧めします。本当に美しく、音楽もシーンにとことん合わせて色々なところから鳴るので、映像体験として大満足です。
話の内容ですが、開始2分くらいで出てくるゴッドウィン博士の顔でもう「ああ原案はフランケンシュタインなんだな…」ということがわかります。
さらにゴッドウィン博士が解剖学の権威であるところから、「19世紀の解剖学といったらジョン・ハンター的な、マッドサイエンティストなんだろうな」というのも想像がつきます。要は一般的な良識や倫理観は理解しているものの、研究のために無視するマッドサイエンティストです。
また、序盤で話される内容ですが、主人公であるベラは博士の実験として成人の女性に新生児の脳を移植されており、精神と肉体の年齢が一致していません。
この状態で世界を旅することになるため、19世紀当時のキリスト教的な良識というものが備わっておらず、結果として激しく性行為に耽り、売春で金銭を得ることに疑問も持ちません。
なお、精神と肉体の不一致という設定は映画全編を通して、ベラの成長と共に無くなっていきます。最初は幼児言葉しか喋れなかったベラは、自分の欲望だけでなく自分の意見を語るようになり、最終的に自分の意志を言葉に表す様になります。
この幼児の様な姿から、決断した女性への変化の演技がとても素晴らしく、本当に見守っている様な感覚になります。
さらに、この設定は映画のフィルタにも適用されており、ベラの成長と共に最初は白黒だった世界が鮮やかなファンタジーの世界となり、次いで鮮やかだけど現実味を帯びてきて、最終的に明るいリアルな映像になっています。
リスボンあたりはフィルターもヴィヴィッドで、乗り物も絵本のような形をしており、映画のカメラが彼女の精神世界を反映していることが強調されています。
この作品で唯一疑問なのは、人間を進歩させると宣言したベラが、肉体の元婚約者である将軍にヤギ?の脳みそをくっつけたところです。
最後の最後でベラとマックスとヤギっぽいキメラがアップになって「なんでヤギがアップやねん」と思っていましたが、まさかくっつけるとは…。
ベラにとっての人間の進歩とは、どうしようもない人間を変えるための回答とは、これなんでしょうか?
それとも山羊頭の悪魔のような人間だったけど草だけ食べてる無害な人間になったという向こうのジョークなんでしょうか…?
最後だけよく分からなかったのですが、全編通して本当に面白い作品でした。2/3時点で今年1番の映画です!
哀れなるものたち=男たち?
皆さんのおっしゃるとおり傑作
哀れなるもの
「解決」のないプロット
冒頭、ベラが不器用にピアノの鍵盤を叩きまくる。そうして響き渡る不協和音、まさにそのイメージがこの映画全体の底流をなしているように感じられた。何も解決されず、何のモラル・メッセージも引き出され得ない。ただただ私たちが「綺麗事」の世の中を生きる中で抑圧している物事がド派手に散らかされたまま、幕が下ろされる。それは、「人間は獣」だから哲学的思考によって自己研鑽をできると考えるのは虚妄に過ぎないと断じた、船上の黒人の少年の悲観的な思想を裏付けるものであるようにも思われた。
人間には、理性的規律心に加え必然的に野獣的欲望が内在する。それが自己に属するものであれ他者に属するものであれ、欲望は理性により規律することができると信じていたダンカンとアルフィーはともに破滅した。他方でベラは、理性と欲望との両極性を素直に受け入れその都度の心の声に応じて選択を重ねた結果、成功を手に入れる。とはいえ、あの結末を見る限り、それが物語世界全体としての「ハッピーエンド」に適うものでないのも確かである。
モラルというのが理性の要請に応えるものである以上、欲望の根源的な不屈性を主題化した本作品からその種のメッセージを引き出せないのは当然でもある。人間存在は理性と欲望の葛藤の中で生きるものであり、それを綺麗に解決する手段を一律に提示することなどできない。しかし、我々が忌避すべきものとしてーあくまで否認の形式でー「哀れなるものたち」について語ることはできる。それは、まさにダンカンとアルフィーのように、自己のみならず他者の欲望の奔流をも理性の刃によって自在に断ち切ることができるという空想に固執することを意味するのだろう。
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