劇場公開日 2024年1月26日

「強い表現と露悪のバランス」哀れなるものたち うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0強い表現と露悪のバランス

2024年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

父親、パパ、理解ある彼くんの間を行き来しながら、体当たりで成長していく一人の女性・ベラの物語。
ベラの成長は一個人としての心の成長と、女性が歴史の中で権利を獲得していく姿の両方を描いているのだろう。根っからの善人も根っからの悪人もいない、エゴが軋み合うことでバランスが保たれている世界が、シニカルかつ愛情たっぷりに描かれていた。
メッセージで言えば近年流行りの系譜ではあるが、ぶっ飛んだブレない自己とエゴのパワーとを堂々と押し出す切り口は、舞台設定も含め目を惹いた。
正直、過激な表現を用いることがメッセージに対して効果的かどうかは疑問が残るのだが、その過激な表現も、制作陣がこれまでのフィルモグラフィーの中で信頼関係を深めて来たからこそ実現できたものであるとは感じる。
単体の作品としてだけではなく、チームの一つの到達点としても華々しい作品であることは間違いない。

エンドロールで紹介される、背景美術や小道具に隠された小粋なネタを再度チェックしたいと思った。

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うぐいす