「幸せの指標 (あなたはラストに納得した?)」哀れなるものたち くつむしさんの映画レビュー(感想・評価)
幸せの指標 (あなたはラストに納得した?)
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純粋で尽きることのない好奇心で人間と世界を探求した果てがあのラストだと言うなら、納得出来なかった私は幸せ者なんだろう。対照的にゴッドが今際の際に至って、独りよがりとはいえ人間的情愛を知る事となったのが救いに見えた。
【追記】
劇中にあって唯一と言っていいほど理性的な人物として描かれていた黒人青年が、物語を結末へと加速させるトリガーを引いてしまっているのが興味深い。絶望という感情と向き合うために重要なのは知性より人生の深みであることを誰ひとり語らない。「アルジャーノンに花束を」を思い出した。そういうことか。
【再追記】
憐れみの3章に先立ち再度論考してみたので。ジェンダーとインテリリベラルという二つの積年の社会問題をひとつの視点で総括しているのかなと。執拗な性描写はグロテスクで、これジェンダーで貞操観念を規定されなかったのをいいことにセクシャリティを遠慮なく発露する男性がやってる事を反転してみせてるんだね。それからインテリジェンスの獲得がリベラル的思考への傾倒に繋がる様を描いてるわけだが、残酷な現実を前にしては為す術なく、免罪符に人の金を払って逃げ出す始末。結末は結局小さな世界を暴力革命で支配して満足してしまった。いずれにおいても「情操」が成熟していないと正しく振る舞えないということなんじゃないかと思う。情愛や憐憫や怒りという感情ときちんと向き合うにはそれなりの人生を歩まねばならない。
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