「だんだんダンカン・ウェダバーンの情けなさがツボってきた。」哀れなるものたち 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
だんだんダンカン・ウェダバーンの情けなさがツボってきた。
クリックして本文を読む
この映画には褒めたいことも掘り下げたいことも大好きな場面も戸惑いもあって収集がつかないのだが、マーク・ラファロが演じたダンカン・ウェダバーンのキャラが、思い起こすほどに有害な男性のサンプルとしてみごとすぎた。自分の性的魅力を自尊心に直結させ、しかし思い通りにならないベラに礼儀作法を押し付けようとし、ベラの自由の魂を傷つけられないと知るや船上に半ば拉致し、果てには捨てないでくれと懇願する。ああ、情けなくてみみっちくてうんざりさせて、ほんとときたま、たまに可愛い。ベラがそういう男性のクソっぷりを映すための鏡になりすぎているきらいはあるが、そんな枠には収まらないぞとエマ・ストーンがエマ・ストーン力でガンガン突破してくるので、気がつけばダンカンなみにベラに夢中になっていて、ああ、これはこれでヤバイなと自分を見つめ直すまでがこの映画だという気がする。あと娼館のマダムはジョエル・コーエン版『マクベス』の魔女の人で、いやほんと妖怪か魑魅魍魎ですよ、すごい役者がいるもんです。
コメントする