「映画的想像力を突き詰めた映画」哀れなるものたち ジサイさんの映画レビュー(感想・評価)
映画的想像力を突き詰めた映画
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見てからの衝撃がすごくて、消化して自分の言葉にするのに時間を要した。
自分の子供の脳を移植された、無垢と残虐を併せ持つ女性は、天才外科医ゴドウィン・バクスター(ゴッド神)によってこの世に生まれる。
彼女は言葉も歩き方もぎこちないが、アンコントローラブルな性の目覚め(クリ⚪︎⚪︎⚪︎)が訪れ、その衝動のまま冒険と称してリスボンから船で航海を始める。
最初は性も外の世界も新鮮な体験だったが、子供が死んでいく資本主義の格差の問題に衝撃を受け、この世が無垢なものではないことを知る。
同行するパートナーのお金を全てあげてしまい自分も無一文になる。そして逆説的であるが、売春という若さを貨幣に変える資本主義的行為に染まる。
最後は自分が裕福な将軍の妻であったことを知り、一度はその元に行くが、将軍は彼女の目覚めの源泉であるクリ⚪︎⚪︎⚪︎を切除することを宣言する。彼女は将軍の支配的、暴力的な面(戦争を象徴)に失望し、将軍の脳をある生き物とすり替える。
斬新かつ現代的な寓話を含むストーリー
鮮やかな色彩のカット、目的を有した特徴あるカメラワーク。航海する船の造型、売春宿の退廃の造型は臨場感すごい。ザ映画芸術だ。
エマストーンの演技の素晴らしさ。
彼女の演技こそ、この映画に命を吹き込んだ。みんな言ってるが、踊りのシーンは脈動感溢れ、素晴らしいとしか言いようがない。アカデミー主演女優賞賞とるよね。
ここの登場する男たちの醜悪さは、自分を含めた全ての男たちの姿だと思わせるリアリティがある。
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