劇場公開日 2024年1月26日

「これは冒険なの?」哀れなるものたち みる子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5これは冒険なの?

2024年2月8日
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楽しい

映像は楽しく、ゴシックロマンスの世界に浸れる。映画館まで観にいく甲斐はあった。
ストーリーは手塚治虫のブラックジャックの読者であれば、そんなに奇妙奇天烈とは思わないのでは。ただ、あれは漫画ならではの世界観だった。昭和の午後の光が緩く差し込む子ども部屋で貪り読む漫画。その背徳性めいたものが剥がれ落ちていく気がする今日この頃。
弁護士と駆け落ちしたベラの精神は急速に成熟。船で会うウィットある貴婦人とのやり取りが楽しい。売春宿だけではなく、もっと街の集会に行く様子などを見たかった。
ただ私が男性目線で彼女を見た場合、はたして女性としての彼女に溺れるだろうか。色気もなければ神秘性もない。馬車が走っている時代にアンドロイドを妻にしたいとは到底思えない。そして多くの男性が望む女性の若さ。主役の年齢だとかなり外れていないか。
男性たちの憧憬は、ベラを社会に参加させるための映画のお約束として、男性優位の社会から見事に自由を勝ち取ったベラに快哉を。しかし、そもそも時代背景が違うから、現代の目で見れば至極当たり前だし。哀れなるものたちは、しぶとく残ってはいるけれど、影は薄くなった。いいことだ。めでたい。
だんだんテーマが不明になってきた。

みる子