劇場公開日 2024年1月26日

「ベラの成長を通して見せる世界の不条理」哀れなるものたち kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ベラの成長を通して見せる世界の不条理

2024年2月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

予告編から気になっていたのが流れる音楽。ちょっとずれた音程で奏でられるこのメロディだけでも本作の不思議な雰囲気を十分に感じられる。
近未来っぽいのに中世っぽくもあって、ファンタジーな世界。死亡して間もない女性の遺体に、その人の胎児の脳を移植するというトンデモ設定だからこんな雰囲気の世界にしないと受け入れられない(この世界観でも受け入れられない人はいるだろうけど)。
トンデモ設定だけど、実は一人の女性の成長物語となっている。序盤のベラは脳が幼子なので、残酷で倫理観がなく無礼で本能に忠実だ。とても動物的とも言える。そこからいろんなものを覚えて成長していく過程が面白い。そうだよな、体が大人なんだからセックスを覚えてしまうとあんな感じになってしまうのもわかる。エマ・ストーンの体当たり演技がすごかったし、あんなに見せてるのになぜかエロくはなかった。あの世界観のせいかもしれない。
なかなか不思議でなかなかの冒険物語。ベラという女性を通して見せる世界の不条理はちょっと笑えて結構考えさせられる。予告編を見てイメージしていたよりもはるかに面白い映画だった。

kenshuchu