劇場公開日 2024年1月26日

「エマストーンの怪演に酔え!!」哀れなるものたち カワセミさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エマストーンの怪演に酔え!!

2024年2月1日
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鑑賞方法:映画館

知的

原作は読んでおらず、あまり前情報もなく観ました。

『女王陛下のお気に入り』と『籠の中の乙女』の純文学的描写が大好きで、エマストーン主演ということもあり、久しぶりに映画館へ。

この作品は18+ですが、個人的に、エログロ描写は必要十分だった思うので、友人・恋人・家族とも気まずくならないと思います。
ホラーで難解ですが、たまにクスッと笑うこともあります。私は、ブラックジョークに笑うこともところどころありましたが、あまり笑えない人もいたように思います。(「思います」というのも、映画館では誰が笑っていたかも分からないので。)

さて、作品の中身ですが、冒頭から引き込まれる映像でした。
特に音楽、ファンタジー要素もある背景、絵画的色彩が、自分の表現欲を駆り立てました。この良さを他の人に伝えたい、でもどう伝えれば良いのか、自分にはまだ言語化できません。ただ、圧倒的天才が描いた世界がそこにある、という感じです。
この絵画的描写と純文学のようなストーリー、脚本が刺さる人には刺さるはずです。
そして何よりも、エマストーンの息を呑むほどの美しさと演技力に釘付けになり、物語にのめり込んでいくことでしょう。

あらすじは予告でも書かれているので省きますが、この映画は、純粋無垢かつ自由奔放な女性(主人公)が、精神的に成長する中で体験したこと、見たことを時系列に沿って、赤裸々に映していくだけです。ただし、主人公や彼女を取り巻く人物たちは、自分の内面を、自分が気づいている限りは包み隠さずありのまま語っています。行間の読み方、読むか読まないかすら、鑑賞者に委ねらていると思いました。
そういった映画はたくさんあるでしょうが、この作品は特に、セリフが少ない分、そして主人公が白痴な(状態から始まる)分、よりそういった要素が強いです。

「女性であること」、「女性の自由の解放」といったことを主題と置くには、ちょっと物足りなさがあるかもしれません。主人公の女性は、体を売ることになるので。
これは「女性」の解放ではなく、「誰のものでもない自分」の解放です。

前知識が欲しいのであれば、監督の作品を観るよりも、『フランケンシュタイン』を読む、もしくはその映像化作品を観てから行くことをお勧めします。

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笑子