「3〜4日病みました」哀れなるものたち モロさんの映画レビュー(感想・評価)
3〜4日病みました
芸術性とエマストーンの怪演はおそらく誰が観てもほぼ文句無し。だからと言って素晴らしいかというと、細かく考察すればするほど胸焼けして陰鬱になる作品。
リビドー→自我の目覚め→人格形成は誰もがゆっくりと通ってきたはずの道。
ベラは短期間で急速に大人になる必要があったから、むき出しで勢いがあるけど非常に未成熟且つ不安定な状態で、結局社会主義のフェミニストに収まってしまったのが残念。自由を賛美しながら安全地帯に戻り、他者とヤギの自由は奪ってしまうんだから。
女性の権利と自由の獲得という観点だけで言えばひと時代前の今さらなテーマだけど、お金をかけてメジャーなファッション作品に仕上げてアカデミーまで押し上げたようなパッケージ。
幼児から大人に変化していく過程をエマストーンの演技に頼らずもう少し丁寧に描いてもよかったのではないか。ベラを魅力的に見せたいのか、浅薄なフェミニストとして哀れなるものに見せたいのかよくわからなかった。
あとエログロ好きだけど、これは脳内が汚染されました。どうしてくれるんだ!( ´Д`)と怒りの気持ちw
選りすぐりのキ◯メンAVシーンの数々、日本だとこの手のAVあるけどあちらでは無いのかな?敢えてえげつない描写して、どうだキショいやろ!すごいやろ!と言わんばかりの奇をてらった演出に見えた。いや、そのシーンいる?ベラの世界観を理解するには、相手の男の姿はややぼやかすくらいの方がリアルになった気がする。
やっぱりミニシアター系B級実験エログロホラー、この辺りはチープ感があるくらいがちょうどいいとつくづく思った。本気の描写はひたすら気持ち悪い。
この映画を観て、風刺と捉える人と人間讃歌と捉える人がいるようだが、観ている側の自我やイデオロギーを浮き彫りにして認識させるような作品だった。素晴らしい芸術的な映画が観られると期待したけど、自分にはあまりにも価値観が合わなすぎた。
数日考察してたら具合が悪くなったので、ビジュアル的思想的にいろいろ気持ち悪い部分は完無視して、話題の美術展にでも行ってきたくらいのテンションにしてもう忘れたいです。