「人間の持つ欲と純粋さ。シュールでグロテスクなコメディ。」哀れなるものたち TSさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の持つ欲と純粋さ。シュールでグロテスクなコメディ。
今年2作目の映画館での鑑賞。
何やら不思議な世界観の映画っぽいが、あのエマ・ストーンが主演、ということで事前知識ほぼ無しで鑑賞。
舞台は近世のヨーロッパっぽいが所々ファンタジックな乗り物や景色が出てくるところはディズニーのなせる技かどうかはわからないが、映画の世界観にマッチしていて素晴らしい。
しかし、そういう映像の素晴らしさより何より、主人公ベラのキャラクター設定とそれを演じるエマ・ストーンの突き抜けっぷりは圧巻である。そこまでやるか、というところまでやりきっている。若干過剰で観る人に不快感を与えても構わない、という姿勢を感じた。
この映画のテーマについては、女性の解放であるとか、自由であると言った評論があるようだが、私は主人公ベラの行動から「人間の持つ欲と純粋さ。そして欲に負ける大勢の哀れな人たち。」と解釈した。ベラを取り巻く男たちもベラ自身も含め、我々も皆「哀れなるものたち」。
それをシュールに、グロテスクに、ときに可笑しく過剰に描いてみせる。どうだ!と言わんばかりに。
観る人を選ぶ作品かもしれないし、観て不快感を覚える人もいるだろう。しかし、私は何故だかすっきりした心持ちで映画館を後にした。エマ・ストーン、あっぱれ!
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sow_miyaさんのコメント
2024年1月28日
こんにちは。フォローありがとうございました。
>ベラを取り巻く男たちもベラ自身も含め、我々も皆「哀れなるものたち」
全くそうですね。哀れなるもの(poor things)を抱えて生きている、哀れなる者たちの物語でしたが、ベラの突き抜け感にスッキリしました。笑