「おそらく名作、傑作である。だけど僕はあまり面白くなかった。理由は自分が思ってたのと違う展開だったので残念だっただけ、というよくある理由なので作品に罪はない。」哀れなるものたち マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
おそらく名作、傑作である。だけど僕はあまり面白くなかった。理由は自分が思ってたのと違う展開だったので残念だっただけ、というよくある理由なので作品に罪はない。
◆失敗した。いや作品ではなく自分のことだ。もっと先入観を持たずにフラットな目線で鑑賞すれば作品を楽しめたかもしれない。
予告編の、 「私はベラバクスター 世界を見て回るの」 というエマ・ストーンのセリフに勝手にときめいてしまったのが敗因と思われる。
女性版フランケンシュタインのベラが世界を巡る冒険の旅に出て、色々なものを見聞きし体験し成長していくという、よくあるパターンを勝手に想像してた。
確かにベラは強烈な体験を重ね成長していくのだが、ベラの驚きや喜び悲しみが僕には伝わってこなかった。だからベラの成長も、気が付いたら最後のほうで医者を目指していて、なんかきっと成長したんだなと思った程度だ。ベラの体験を共体験(追体験?)して感動する気マンマンで望んだのがよくなかった。勝手な想像と思い込みが強すぎたのだと思う。
◆予告編で、船上の黒人青年のたたずまいがとても良かったので、ベラと老婦人と黒人青年が絡む場面がもっと見たかった。船の寄港先のアレキサンドリアで、地上で赤ん坊が亡くなるのをベラが見て悲しむのだが、肝心の地上場面がよく見えないし数秒間だけなのでベラの驚きと悲しみが伝わってこなかった。脳が子供のベラがお金を全部あげてしまって1文無しになって船上とアレキサンドリア編は終わり。海上に浮かぶ船の遠景の空が不気味で良かった。
◆パリでは、「こんなに楽してお金が稼げてラッキー、しかも住み込み」のベラだけど、女も男を選びたいという提案がマダムにやんわり却下されて少しご不満。これも含めその他男性中心社会の問題が描かれる。
このパリ編、 ”エマ・ストーンのオッパイとヘアヌードとセックスは無くてもよくね問題” が発生。なんでこんなことになったかは不明。
僕は「バードマン」からのエマ・ストーンファン。親子ほど年が離れてるからパパ目線だ。パパ・ストーンからしたらこのパリ編は見てられん。
「うちのエマはオッパイ出さんでも客呼べるしアカデミー賞とれると思うがのう。 女子はオッパイ出すとギャラが上がるんかのう、それほど金に困ってるとは思えんが」と嘆くパパ・ストーンであった。
◆以下の話は英検4級の持ち主が、原題の意味をチャチャッとネットで検索しただけの感想なので、あまり真面目に読まないほうが良いと思う。
◎ 原題 Poor Things に比して邦題 「哀れなるものたち」 がやや重すぎる問題。
Poor Things は例えば
・転んでちょっと擦り傷ができた。
・家への帰り道、雨が降ってきて少し濡れた。
・夜よく眠れなかった。
というときに、相手に対して 「かわいそうに」、 「気の毒に」、 「残念だったね」と軽い感じで使うカジュアルな言い回しらしい。
だから、もし邦題がもっと軽い感じの「お気の毒さま」だったら鑑賞したときの印象も相当変わって、コメディ要素をより強く感じたんじゃなかろうか。
僕は、「哀れなるものたち」に、より重い印象を受ける。 映画を見る前から ”哀れなるもの” とは一体何か? を考えて、 ”哀れなるもの探し” が始まる。
予告編を見た時すぐに「哀れなる人間のゴウだのサガだのが描かれるんだろうな」と思った。 もちろん見終わってからも、 ”哀れなるものたち” って何だろうって考えたさ。取りあえずベラに振り回された男たちかなとは思った。
アメリカでこの映画を見たネイティブは、「ああ、いつもの軽い感じのPoor Thingsね」と思って映画を鑑賞し、「みんなお気の毒さま、面白いコメディだったわ」なんて感想を持つかもしれない。 最初っから軽い感じのPoor Thingsって思ってるから、 重たい ”哀れなるもの探し” なんてもちろんしない。
もしかしたら、世界中でこの映画を見た人のうち、この邦題で見た日本人だけが ”哀れなるもの探し” をしてるんじゃないだろうか? な~んて思ったりしたわけでごじゃるよ。
最初にも書いたとおり、自慢じゃないが栄えある英検4級資格保持者だから、全く的はずれの見当違いである可能性が高いと思われる。
あと今日(1/25)レビューしたけど見たのは先行1/19(金)。