ドミノのレビュー・感想・評価
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アクション主体からストーリー重視へ、R.ロドリゲス監督の発展途上
本作の評を当サイトの新作評論枠に寄稿したので、ここでは補足的なことをネタバレ込みで書き記しておく。
評論では印象の近い過去作の例としてフィリップ・K・ディック原作物とクリストファー・ノーラン監督作をいくつか挙げたが、中でもプロットの類似点が多いのは「トータル・リコール」(1990)だろう。①主人公は自身のアイデンティーに関する重要な記憶を失くしている②偽の記憶に基づく暮らしでの妻は白人だが、真のパートナーは有色人種(ラテン系)③主人公が探し求めている対象を、偽の記憶に関わる組織も狙って追いかけてくる④主人公にヒントを与えて導くのが、真の記憶に基づく“別の私”…と挙げていくと、ロバート・ロドリゲス監督が「トータル・リコール」を下敷きにして「ドミノ」の脚本を組み立てたのではと想像できなくもない。
見ている世界は真実か虚構か?という要素に関しては、評論で挙げた傑作群のほかに、「オープン・ユア・アイズ」「トゥルーマン・ショー」「マトリックス」「13F」「アイデンティティー」「シャッターアイランド」「ドクター・スリープ」などが想起される。この手のストーリーが好きな人なら、「ドミノ」も相応に楽しめるのではないか。
ただし評にも書いたように、コロナの影響で撮影期間が大幅に短縮され、ロドリゲス監督も不本意な変更や妥協を余儀なくされたものと推測される。長めの説明台詞などによりストーリー展開のテンポが悪い部分もあって、どんでん返しの連続もいまいちスッキリ決まらないというか。とはいえ、従来のアクションやスペクタクル主体から、ストーリーそのものの面白さを重視する方向へ、ロドリゲス監督が新境地へと発展している途上なのだと好意的に受け止め、将来の傑作を期待したい。
面白かったが2度は見られない。
物凄く、複雑にしてあるエスパー物。スター・トレックのホログラム関係のストーリーやクリストファー・ノーラン監督作品をリスペクトしているのだろうが、全く内容は目新しくない。
え!?
二匹目の『どぜう』は美味くないよ。
国家権力の悪事でなけりゃおかしいのに、一部の企業の陰謀と言っている。それは、全体主義国家の言い訳だと思う。そう言った陰謀を野放しにしている国家自体が病んでいるのだ。もし、こういった考え方が残ったとすると、全体主義国家のナチス・ドイツの迫害する根拠が、ユダヤ陰謀論に合ったとされる味方と同じになる。
そう言った人物を生み出す。個人が悪人なのではなく、そう言った事にあやつられてしまう人々が野放しになる。それが大問題なのだ。
う〜ん
エレベータのボタンに(変わったデザインだなー)と思った。確かに銀行が「BANK」とだけ看板掲げてるのはおかしい。
催眠術で人を操ることを目的とした謎の組織が、能力の高い子供の力を悪用しようとしている。その能力の高い子供は、同組織に席を置く夫婦の子供で、その夫婦は我が子にそんなことさせたくないと、我が子を組織から隠す。
その…「組織の内輪揉め」ばかりが流れているので、組織が社会でどれだけの力があるのかが描かれていないから、いまいちピンとこなかった。例えば、FBIに顔がきくとか、CIAにその組織の出身者がいるとか、テロリストにその組織出身の輩がいるとか、組織のエリア外での描写が少なすぎて、何もピンとこなかった。
組織のエリア内で催眠術を掛け合っていたというオチにしか見えず、肩透かし。催眠術で「人を殺せ」という傷付ける司令については、脳がブレーキをかけてまあ無い・みたいなことを聞いたことがあって、殺し合いさせるこの組織はよっぽど催眠術が強いか、全員かかりやすいかのどっちかだと思った。
少し期待ハズレ
邦題は「ドミノ」だけど原題は「Hypnotic ヒプノティック」で男達が操る不思議力の事で「催眠術」と言う意味です。
そのままのタイトルだと、催眠術をかけてるのねって中身がバレバレで日本受けしないのでしょうね😅
なら「ドミノ」ってなによーー!って事になるんですよね(笑)
それを知りたければ、映画を観てくださいね(笑)😊
内容は思っていたのと違ってて、ストーリーは単純などうでもいいようなことを、大袈裟なCGを使ってやってる感じがして、ちょっと残念でした。。。
行方不明になった娘を追いかけて、昔あったデカプリオ主演の夢の中に入る「インセプション」みたいな現実と夢との境目みたいな場所に行くとか、過去とかに行って、エスパー的な力を使ってくる相手と戦う。。。そんな感じかと思ってたんですよね💦
それでも中盤までは面白くて、画面に釘付けになってしまいました。
「ドミノ」の意味がわかり、ロークや男の謎が解けてからは、赤いジャケットを着た何人もの人たちが、鉄骨だけの「bank」や「police station」とか書かれた看板の前をうろうろ通ってるのを見てると、笑ってしまいました😅
12回も同じ事してるんですよね。
めちゃめちゃシュール過ぎました(笑)
ラストまでどんでん返しがあって、目で見てる事の何が真実だか、誰が力が1番強いのか何なのかわからなくなってしまいました。
この映画って面白いのかどうなのかも、わからなくなってしまいそうでした💦
観る人によって意見が分かれそうですね。
私はまぁー普通でした(笑)
退屈な感じはしなかったので、面白かったかな。
どこかでみたようなパーツばかり
最初の数分は良かった。
新鮮味のある鋭いスリラーを期待してしまったが、どこかでみたようなモチーフの連続。マトリックスを思い浮かべた人は多いはず。
半分を過ぎたところで物語をリセットしてしまう。それをやったら、もう何でもありじゃないか。これをどんでん返しと言って良いのか、よく分からない。
超能力とそれを悪用しようとする謎の機関。謎の機関のメンバーは皆赤いジャケットを着ていて笑ってしまう。
やれやれ。ふた昔前の映画を観たような気がする。
ベン・アフレックはよくこの仕事を受けましたね。
エンドタイトルの前にもう一回どんでん返し。もうええわ。
衝撃驚愕斬新か、トンデモか
一瞬目を離した隙に行方不明になった娘。探し続ける刑事の父親。
これに現代アメリカが抱える闇も交えたら、主演ベン・アフレックの監督デビューの隠れた名作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』を思わせるミステリーになっていただろうが、本作は思わぬ方向へ。
これに乗れるか否か。
カウンセリングを受けつつも、ダニーは正気を保つ為、現場復帰。早速、銀行強盗のタレコミ。
張っていると、見覚えのある男が。
男が通りすがりに話し掛けると、不可解な行動を。銀行強盗を起こす。グルか…?
警官に話し掛けると、ダニーを狙う。
男が狙っていた貸金庫の中に、娘の写真が…。
男は何者か…? 目的は…?
娘の失踪に関わっているのか…?
謎めいたこの導入部は引き込まれる。
タレコミがあったのは、ある占い師の店。
ダニーはその占い師・ダイアナから話を聞く。
謎の男は、デルレーン。“ヒプノティック”…一種の催眠術の持ち主。
他者の脳にハッキングし、他者を自在に操る事が出来るという。
ダイアナも使えるが、デルレーンの力は比べ物にならないほど強力。
そんな事…と思いつつも、銀行強盗での不可解な行動、同僚刑事が突然襲撃。異能としか説明付かない力を認めざるを得ない。
刑事vs異能者! 特異な設定ではあるが、無いとは言えない。
デルレーンの策略によって、ダニーとダイアナは追われる身に。
追っ手から逃げている時、空間が歪む驚異の光景。『インセプション』…?
絶体絶命、追い詰められた時…、ダニーにもヒプノティックの力が…!
何故、自分が…?
明らかになる驚愕の真実…!
ダニーだけではなかった。
妻も娘もヒプノティック能力者。
政府のある“機関”。ヒプノティックを育成し、その力で世界を支配する。“ドミノ計画”。
何故ダニーはそれを覚えていない…?
自分で記憶を消したのだ。
全ての記憶を思い出す。
銀行強盗に始まり逃亡劇…現実の出来事ではなかった。ヒプノティックで見ていた出来事。ここは、仮想世界だった。
実際は、“機関”の施設内。デルレーン、同僚刑事、操られた人々…皆、“機関”の者。
ダイアナも。ダイアナはダニーの妻だった…!
彼らの目的。ダニーの娘を手中に。
ダニーの娘は最強のヒプノティック。
奴らに利用されないよう、ダニーは娘をある場所に隠し、自らの記憶を消したのだった…!
単なる誘拐事件に非ず。異能と陰謀が絡む壮大な攻防劇。
謎が徐々に明らかになっていき、SFチックな設定と有無を言わせぬ怒涛の展開。90分強の尺を、まるでドミノ倒しのように一気に突っ切る。
ベンアフの熱演、謎の男ウィリアム・フィクトナーの異彩。
面白味や娯楽性は充分。退屈はしない。
しかし本当に、この設定や展開に乗れるか否か。
始まって5秒で騙されている。二転三転、大どんでん返しなんて謳っているが、そもそも全てがひっくり返るような設定。
『“アイデンティティー”』や『シャッターアイランド』など似たようなシチュエーションはあるが、SF絡むと何でもありになっちゃう。
ロバート・ロドリゲスもこういうジャンル撮るとはねぇ…。ヒッチコックの『めまい』からインスピレーション受けたらしいが、でも、何処がどう…?
続きを匂わせるED後も含め、こけおどしやはったりと言うより、お口あんぐりのトンデモ映画だったかも…?
再三言うが、つまらなくはなかったけど!
って言うか、タイトルは邦題“ドミノ”じゃなく原題“ヒプノティック”だよね~。
記憶にまつわるサスペンス
予告から「インセプション」みたいな映画かと思ったら、全然違った。どちらかというと「ファイト・クラブ」に近い。
記憶にまつわるサスペンス。
謎解きは面白いけど、ちょっと混乱する。結局、能力が高い者勝ちになってない?
ロドリゲス監督らしく、子供の使い方(選び方?)が上手いなぁ。
90分強でサクッと観れるのが良い。
意外な伏線回収
冒頭でイギリス人とロシア人の子供がメキシコ人っておかしいやん、と思っていたのですがまさかの伏線回収。これだけでもかなりスッキリした。
今作のような幻覚で(物語内の)真実がわからなくなるタイプで、続編つくりたいにしてもあの終わり方は良くない。
そもそも背景がフワッとしてるのにあれは意味がない。
ベンアフレックの映画選び😌
ベンアフのサスペンスということで、前売りまで買ってたのに、最終日に映画館へ🎞️🏃♂️💨
今回も前情報0で。なので、マホーン!マホーンや!!やつはしぶといぞ!!笑と、なんの疑いもなく楽しんでたら…
「おぉ、インセプション的!」「おぉ、ゴーンガール的!!」こういう映画なの?!ベンも好きね☺️
娘ちゃん、この2人の子にしてはエキゾチックだなー、とか、奥さんがそういう人間だったからて、急に別の人と寝る?!えぇー、ま、映画だしお酒飲んでたし…と思ってたら種明かし開始。次々とカラクリがわかるところはほんとおもしろかった。
さて、大ぶろしき広げちゃったけど、どうしまうのかなー楽しみだなー、とわくわく。評価はが高くないのは見ちゃってたんだけど、人の評価なんて感想でしかないからこれはやば映画やん!!と思っていたのですが。
そこからはそうかそうか、の丸めましたな展開。ん?最強の娘ちゃんマホーンと間違えておじいちゃん操作したの気がつかないものなの?あんなに殺して…子供に殺しさせるのかぁ。軍事利用はもちろん良くないけど、清々しそうでしたがちょっと…🤔?
とまぁ、最後はグズっとしたけど、こういうタイプの映画を90分ちょいにまとめたのすごいと思ったし、B級のおもしろいやつ大好物の私としては大変楽しめました。映画はこうじゃないとね😌ベンアフレック声なんか変わった?年取ったからかなー
📝
イクスピアリのふかふか幅広シートはやっぱりとても良い。大きいシアターじゃなくても十分に映画館感があってとっても好きです。近くによく映画やドラマに出てくる「エンチラーダ」が食べられるお店があったので、次は行ってみよう🌮
あ、そっち系?
予告のみ、監督のインタビューは読んだけど、あまり前情報仕入れず鑑賞。
冒頭5秒で騙されるというキャッチコピー&予告編で「脳をハッキング」うんたら流れてたので、「ネタバレじゃーん、AI使った新たな犯罪もの?ロドリゲス監督も騙し騙されの上質なサスペンス作るんか」と勝手に思っていたら、さにあらず。
あれれ、超○力系でした。でも原題は「ヒプノティック=催眠」とそのまんま…なので、隠しているつもりはなかったんだな。邦題を「ドミノ」にされたことで日本人はまんまと騙されたのかも。
WW2時う代の超人化計画よろしく人体実験系の割とありふれた話ではあるが、人間の隠された能力として本当にありそうではある。キリスト、ブッダなど伝説の指導者は、人を虜にし、催眠状態にさせる話術やオーラが備わっていたのかもしれない。
不必要なグロ、サイコ的なシャワーシーンなど、ロドリゲス風味がちょこちょこ顔を出す。
まあ暗号はよくあるアナグラムだろうなと思ったらやっぱり。
命令、自由、全体主義への警告・・・と深掘りするほどの仰々しさはない。どことなくB級感が漂う作品なのでありました。
続編も作れそうね。
荒唐無稽に見えてその実、ロドリゲスにとって身近な題材とテーマで固められた「私的」な映画。
なんか、出てくる「悪の組織」の格好にすげえ見覚えがあると思ったら……
『東京フレンドパーク』じゃないか!!
どうりで、関口宏って昔からどっかヤバそうな気がしてたんだよ、俺……(笑)。
ロバート・ロドリゲスが、柄にもなくフィンチャーやシャマランやジョーダン・ピールみたいな、どんでん返し系のネタ映画にイッチョ噛みしてきやがったと、最初にこの映画の宣伝を目にしたときにはちょっとびっくりした。
でも、いざ足を運んで実際に観てみたら、最終的にやってることはいつも通りのロバート・ロドリゲスで(もろ、B級ウエスタンのパロディですよね、あのラストって)、大いに安心した次第(笑)。
全体にそこはかとなく漂う拭いがたい「B級感」というか、
シャマランやピールのような緻密さを欠く「いい加減」さというか、
過剰な設定に視聴者がついてこられなくても別にいいやといった調子で話をどんどん進めていってしまう「居直り」ぶりというか、
そういったゆるくて投げ槍な部分もひっくるめて、いつものロバート・ロドリゲスのまんまだったとでも言いますか。
ロバート・ロドリゲスって、『エル・マリアッチ』(92)や『デスペラード』(95)で颯爽とデビューしてきたときから、基本中身はクッソ面白いんだけど、総じて雑なつくりの映画を毎回「ほぼ確信犯的に」作ってきた印象がある。
それを、ジャンル愛で押し切って、「アミーゴ、あんたもこういうおバカなB級映画大好きだろ?? 俺っちも好きで好きでしょうがねえんだ。だから気楽に楽しんでくれよ」という内輪ノリでテキトーに納得させてきたっていう。
要するに、立ち位置としてはクエンティン・タランティーノの弟分で、作ってきた作品もどれも快作揃いなのだが、「愛するトラッシュ・ムーヴィー群」に由来する本質的なゆるさ、バカっぽさ、過剰さ、適当さを、あまりブラッシュアップさせないまま、いままでやってきちゃった感じはどうしてもするんだよね。
そんな人が作った「ネタ映画」なので、「この手の映画が得意な監督たち」が計算ずくで仕掛けてくる周到なやり口と比べると、どこか語り口に雑さがあって、面白いは面白いけど、観ていてどうも腑に落ちない部分が多い点は否めない。
一番の問題は、観客が今までの現状に得心が行く前に、語り手側がどんどんさらなる不可能状況を積み重ねたり、過剰な謎解きを勝手に進めてしまうせいで、語られていること全体に「胡散臭い」イメージが付きまとってしまう点にある。
すなわち、製作サイドからすると「実はこういうことでした!」という真相の設定を明かしているつもりでも、ナラティヴがうまくないせいで、その真相までが嘘くさいというか、おバカなインチキ話のようにしか思えない。
これは、あまりよろしくない状況だ。
『ドミノ』の情報呈示は、性急すぎるんだよね。
こちらが今何が起こっているかを把握する前に、バンバンネタばらしをしてきて、それを観客がなんとか理解しようと努力しているあいだに、さらにそのネタを膨らませたり、ひっくり返したりしてくる。
しかもその内容が、世の中の一般的な感覚でいえばいかにも「トンデモ」で「陰謀論っぽい」「インチキ臭い」話であるために、製作側がマジでこんなバカな話を「真相だ」として話を進めようとしているのか客も半信半疑のうちに、きわめて荒唐無稽なホラ話が途方もない次元にまで広げられてしまう。
要するに、作り手が用意している「虚構」に、観客がアジャストしきれないのだ。
この映画、邦題こそ「ドミノ」とつけられているが、原題は「ヒプノティック(催眠の形容詞形)」だ。
だから、観客は最初からこの話が「催眠」絡みの話であることは理解している。
すなわち、この物語のナラティヴが必ずしも真実とは限らないこと、主観によって現実が歪められている可能性があること、催眠状態でウソがホントにすり替えられるあたりに、本作の「核心のネタ」が秘められているらしいことは、織り込み済みの状態で観劇をスタートしている。
この物語で描かれていることの、どこまでが「リアル」で、どこまでが「ヴァーチャル」なのか。
そこで一番重要となってくるのが「もっともらしさ」だ。
「偽の世界観」を上書きする「真実の世界のルール」が、偽のルールより「もっともらしくなければ」観客は納得してくれない。
『ドミノ』の作り手は、ここの「もっともらしさ」を醸成する手順が荒っぽいのだ。
だからお話の全体が、陰謀論者の唱える「真実」のように、胡散臭く、納得しがたい。
真相を明かされても、「えっ? 実はそうだったの? うわっ、やられた!!」って気分にあんまりならない(笑)。むしろ「ねーよ、そんなアホな話ww」って気分になっちゃう。
あと、この映画に出てくるヴィランって、いかにも『JOJO』に出てきそうな能力者で魅力的なんだけど(手順は違うが、これ岸辺露伴のスタンドに結構近い能力だよね)、せっかく面白いキャラなのに、やっぱり映画内の出し方がてんでダメでもったいない。
タメもないままにいきなり出したうえ、えらく軽い扱いで……いくらでももっとラスボス感を出せたはずなんだが。
いやまあ、ロドリゲスからすれば、こういう「ねーよ、くっだらねー(笑)」って感覚自体がまさにやりたかったことなのかもしれないけど。本質的には「おバカ映画をシネフィルの立場で再生産する」ことこそが彼の本願であって、必ずしも「出来の良いどんでん返し映画」を作ることがモチベーションではなさそうな気もするし……。
でも、おんなじことやるにしても、もうちょっと「バカっぽく」なく作ることはふつうに可能だったとも思えるんで、やはり「もったいない」気分にはなっちゃうんだよなあ。
― ― ―
パンフを観る限り、ロバート・ロドリゲスはヒッチコックの『めまい』に影響を受けたと主張している。映画評論家の尾崎一男氏は、類似作としてブライアン・デ・パルマの『愛のメモリー』(76)と『フューリー』(78)の名前を挙げていて、なーるほどと。
他にも、似た傾向を持つ映画を挙げだしたら、おそらくきりがない。
ヒロインと主人公の関係性と逃避行、敵の正体などは『未来世紀ブラジル』(85)ともまあまあ被る気がするし、子供探しのサスペンスがいつの間にか明後日の方向に肥大して壮大なホラ話へと転じていく構造は、あの怪作『フォーガットン』(04)とも似ているかもしれない。ダニー・ボイルの『トランス』(13)も、観たことのある人は『ドミノ』と関連して必ず思い出しそうなネタを扱った映画だ。
超能力バトルものの古典としては、『メデューサ・タッチ』(78)とか『スキャナーズ』(81)とか。『AKIRA』(88)でも、能力者同士の技の掛け合いを描いた名シーンがあったかと。
あと、あまりいうとネタバレになりそうだけど、本作の基本構造は84年にドリュー・バリモアが主演した某映画を祖型にしたようなところがある。
もちろん、この手のネタ映画としては、「ア」で始まる映画とか、「シャ」で始まる映画とか、さらに遡れば「トゥ」で始まる映画とか、「マ」で始まる映画とか、いろいろ前例となる作品は挙げられるだろう。
自ら●●した○○を知らずに追い求めるという意味では、「エ」で始まるホラー映画や、「メ」で始まる映画あたりも、祖型と言えば言えるかもしれない。
だいたい、この映画でやってることって、昔の中国の武侠小説とか日本の忍法小説とかで、幻術士が水とか火の幻影を見せながら繰り広げていた幻術バトルと変わらないし、ラストのオチにしても、落語の怪談とか昔噺によく出てくる「酒池肉林の宴を繰り広げたが、朝になったらそこは荒れ寺の墓場で、どこからか腹鼓の音がポンポンと……」といったネタとも似たり寄ったりな気がする。いわゆる「王道」の化かし合い映画ではあるんだよな。
(以下、ネタバレに近いことが書かれているので、未見の方はご注意ください。)
というわけで、たしかに本作には、何かしらの影響を及ぼしたかもしれない先行例はたくさんある。そりゃそうだろう。
だが、もしかすると本作のアイディアは、本当にロバート・ロドリゲスのとても身近なところから勝手に湧いてきたのかもしれない。個人的にはそう思っている。
なんでかっていうと、ロバート・ロドリゲスって、故郷近くのテキサス州オースティンに、自前のスタジオを持ってるんだよね。
今回の映画も、そこでほぼ全部撮っているらしい。
もともとは、ロスで2020年に撮るはずだった映画らしいが、コロナウイルスのパンデミックのせいで18か月延びて、オースティンのスタジオで撮ったとのこと。
(今回のセットはすべて『アリータ:バトルエンジェル』(18)のを流用したらしい)
それって、まさにラストの「アレ」じゃないですか。
あの終盤の解明シーンって、ある日、自分の王国であるスタジオで、書き割りの街を前に見ながら「これ自体を使って何かできねーかな」って思ったのが最初だったんじゃないの?
(いや、単にそうだったら、面白いのにな、という程度の話ですがw)
たとえそうじゃなかったとしても(2002年に脚本を書き出した時点ですでに思いついていたアイディアだったとしても)、このラストのネタって、やっぱり自分の映画製作の現場で湧いて来た「生のアイディア」だった気がするんだよね。
仮想現実だ、虚構空間だっていうけど、目の前にあるこの書き割りの街こそが、まさにそれじゃんと。映画作りながら、いつもはウソをホントに見せかけてるこの張りぼての街を、逆に主役みたいにして映画を撮れないもんだろうか?、と。
そう思ったんじゃないだろうか。
そもそも、ロバート・ロドリゲスはこの十年近く、ルーカス・フィルムでVFXメインの映画製作の現場をずっと踏んできている。実際『シン・シティ』(05)は、ほぼグリーンスクリーンの前で撮影されたらしい。すなわち、ありもしない空間で「そのつもりで演技する」ことを役者にオーダーする側に、ロドリゲスはずっと居たわけだ。
要するに、ロドリゲスが日々やっている映画製作の営為そのものが、どっぷりと「仮想現実」の世界に浸かりきったものだった。「本当はそこに誰それが立っている体(てい)でやってください」「ここが拘置所の体でやってください」みたいなのは、それこそ毎日出している、もはや当たり前の指示だったはずだ。
この映画で、ベン・アフレック演じるダニー・ロークが経験する悪夢的な異常体験は、ロドリゲスにとってはむしろ「日常」なのであり、現代に生きる映画人が日々体感している思い切り「身近なネタ」なのだ。
しかも、この映画の本質は「ファミリー・ムーヴィー」だ。
家族の結束と、再生をテーマに掲げる映画。親から子へと受け継がれた特殊な能力をいかに生かして、家族一緒に頑張っていけるかを探っていく映画。
それって、まんま『スパイキッズ』じゃん。
ウエスタンの流儀で、悪漢から家族を守り抜こうとする姿は、いつもテンガロン・ハットを手放さないロバート・ロドリゲス自身の姿ともダブって見える。
そういえば、この作品もまさに4人の子供たちをスタッフ(プロデューサー、作曲家、アニメーターとしてそれぞれ参加している)に迎えて作り上げた映画だった。
目の前にあるセット。書き割り。バミったテープ。指示の殴り書き。
日頃から慣れ親しんでいる「ヴァーチャル空間を脳内で認識する」感覚。
外から人を操り、演技させ、演技者もまたそれを現実であるかのように自ら言い聞かせるような「監督と俳優」という仕事。
才能をもった子供たちをどう育て、どう親が共同作業を構築していくかというテーマ。
『ドミノ』は、一見すると猛烈に荒唐無稽で浮世離れした物語に見える。
しかしその実、映画製作者にとっては(少なくともロドリゲスにとっては)、想像以上に現実と地続きで、「手垢のついた」題材を扱ったつもりの映画なのではないか。
監督にとって、身近で、大切で、喫緊のテーマと素材だけを集めて作り上げた、きわめて私的でインティメットな映画なのではないか。
そう思うわけだ。
なんだかんだで引き込まれました。
予告の面白さにつられて鑑賞しました。
主人公ロークのカウンセリング場面から始まり、行方不明の娘を探すべく動き出すが、その一連のシーンすら作られたもので…という展開。
結局ロークは特別機関の人間なんですよね?で、自分の家族を守るために機関を壊滅させた。
でもラストシーンを見ると…んん⁈ってなりました笑
もちろん想像をかき立てられる、という意味ですよ!
途中に出てくる映像表現といい何が現実か分からなくなる仕組みといい、クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」に近いものを感じます。
もっとも、こっちは時間が短く感じられました。ということは、構成が「インセプション」よりシンプルってこと?
何にしても、観てよかったです!
ワンパターンかとおもいきや
娘を誘拐されて最後助かるようなのを想定してみてました全く違いました
中盤は眠くなりました
これに近い映画はいくつかありましたけど
最後は家族円満?になっていくのか
また..続編を思わせるようなシーンもでてきましたね
なんかすっきりしない物語でした..
タイトルなし
父も母も能力者、母は組織側ではなく、娘を守る為に父が記憶を消していた。能力者を集めた上で種明かしし、全員を消した。(が、組織側のトップだけ生き延びた所でエンディング。)
12回目
なるほど、のっけから騙されてた。
催眠術なんだろうなぁってのは、冒頭にバラされるのだけども、こういうカラクリかあ。
ややこしい。
ソレにつけても先見の明というか、ネタバレが起こってからのスピード感はさすがだった。そん時の爽快感も格別だった。
脳をハッキングするってほぼほぼ無敵な能力で…着眼点に恐れ入る。
写真写りが悪いなぁなんて事を思った事があると思う。普段鏡で見てる自分と違う。アレは脳による補正が行われているそうな。鏡で見る自分は、他人の目から見る自分とは違うから「写真写りが悪い」なんて感想を抱くのだとか。そんな自らの思い込みまで反映し現実に投影できてしまうスーパーイリュージョンマシーン「脳」
夢を見てる間は夢と認識せずに現実と思い込んでしまうシステム。
脳内の解釈一つで現実は変わる。
今回の場合は「変えられる」だ。
あった事もなかった事も全て操れる。
なんなら、記憶を呼び起こすとか言いながら記憶の改竄が行われているのかもしれない。
ドミノの双眸にはそんな危うさがあってゾクリとした。
物語を見終わってもどちらが正義なのか、分からない。自分を擁護する大人という存在を得て、彼女は外の世界へと干渉しだすのかもしれない。
いやいや、まだ12回目は続いていて、次作は12回目の後半かもしれないのだ。
もしくは12回目にして、やっと8回目と同じ結果になったのかもしれない!
いやいや、実は娘は既に成人していて、父親がもつ何らかの暗証番号を突き止める為の残酷な詮索をしてる途中なのかもしれない。
疑いだしたらキリがない!なんせ、実はこうでしたが、いくらでも生み出せてしまえるのだ。ぶっちゃけマルチバースよりタチが悪いと思われる。
なんか続編を匂わすラストにもなっていて…続くようなら追っかけてみたいなあ。
若干噛み砕けないのは「24」なのだ。
23のはずなのに、なんで24から娘の写真が出てきたのだろう…俺、寝てたのかな?
煽りすぎ
予告編からどんな謎解きがあるのか?と思ってワクワクしてたのだが、その展開は納得出来るがワクワク感は減退した。
目の前で起こる違和感だらけの事件により登場する女性。彼女から明かされる男との争いは、視覚的要素は凝っているが紐解かれたものが頭の中(一部の超能力集団の中)でのみ起こったものとしてる点がトリックとしては弱く感じた。
もう少し広げて集団に出資してる国?などが絡んだ争奪戦の方が面白かった様に思えた。
そして予告編で煽り映像トリックにこだわったことが逆に面白さを半減させている様に思えた。極力CGなどを使わずシンプルに作った方が良かったかと。
知識を蓄えていたがゆえに
予告から考察をしながら見るような映画だと思いいろいろ考えながら見始めたが、今まで見てきた映画にもいろいろ似たような設定があったり、考え方を使えるものが多々あり、最終的に階層が足りず物足りなく感じてしまった。
最初から予想があってしまったのも痛かった。
空想世界だったのが1段、実は主人公が攻められているので1段、実は空想がかかっていなかったで1段、実は祖父母が死んでいなかったで1段どれも想定できる範囲のもので最後もうひと展開あるのかと期待したが、無く、少し期待外れだった。
他の作品を知ってしまっているから話の作りに少し粗さを感じてしまったのがあった。もう少し伏線を作っていたら滑らかにストーリーを進めていけたのかなと思った。
最後の2期フラグは個人的にはいらないと感じた。
壮大なのに小さい
宣伝でも全面的にどんでん返しをうたってたので、どう騙してくるんだ!と心して鑑賞。
個人的には『TENET』や『インセプション』並に今はどういう状態で、ここはもしかして?など頭をフル回転して見て楽しめました。
最初の催眠から目が覚めて、
実は機関から娘を守るために自分で娘を安全な場所に逃し、記憶をリセットしていた。
そこまで爆発あり、銃撃あり、アクションシーンや催眠の狭間で架空空間を見せたり壮大なシーン。
その催眠をかける為に、機関内のチープなセットで12回もコントみたいなことしてたの?!車はゴルフカートでぐるぐるしてるだけ。メキシコもハリボテ。
と思うと自分も気付いたら、一度夢から覚めてしまった。。
現実世界は、チープな部分しか映らないのでコロナ禍だったのか規模の縮小がすごい。
ロークが最後のキーを見つけて、娘のもとに向かい、エージェント達を一掃する為向かい撃つ。
総動員で追いかける敵はヘリ二機と車三台。。いや、少なくないか。
全員で30人位の極秘機関だったの。
ロバート・ロドリゲス監督はタランティーノとも仲良くバイオレンス要素の名監督だと思ってる。
だからこそ最後もう一つアクションな要素が見たかった。
オチは良かったし、良く出来た話だったので、こういう路線の作品もできるんだ、と思いましたが、現実世界でも、催眠世界同様の移動やアクションがあれば、もっと大作になれた気がする。。
原題のhypnotic(催眠術)の方が評価されたかも
刑事ロークは自分が目を放した事で、娘を誘拐されて行方不明になります。そのことから妻とは破綻してカウンセリングを受けている状態。銀行貸金庫強盗のタレコミがあり現場に向かいます。狙われている貸金庫の中には娘の写真と「レブ・デルレーンを見つけろ」というメモ、はたして娘を見つけることはできるのか?とサスペンス作品の流れとなります。ところがここから妙な展開です。人を自由に操る能力を持つ男が登場します。更にその能力は他にも持っている女性も登場します。相手の眼を見ながら言い聞かせるとその通りに人が操られます。どっかで観たぞ。スターウォーズですジェダイではないか。主役はロークでなくルークなんかいと突っ込みいれたくなります。催眠術で人を操ったり幻影を見せたりします。これが予告にある騙されるなとなります。この展開は少々無理があるように思います。種あかしがありますが、セットならまだしもむき出しの機材や真っ赤なブレザーを様々な背景や衣装に催眠術で騙しているというのはいささか強引過ぎです。ラストは騙したはずが騙されたとなりますが、これもなんだか興醒めでした。更にはエンドロール中に更に追い打ちの映像で続編を匂わせています。B級映画です。94分の上映時間なのでお気軽に観る分にはよいかもしれません。
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