劇場公開日 2023年10月27日

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「久しぶりのロドリゲスはSF(?)だった…」ドミノ kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0久しぶりのロドリゲスはSF(?)だった…

2023年11月3日
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鑑賞方法:映画館

『ドミノ』といえば、2005年のトニー・スコットの傑作がある。実在する主人公の名前がドミノ。キーラ・ナイトレイがたまらなく色っぽかった。
もう一つ、知る人のみぞ知るブライアン・デ・パルマの2019年作品『ドミノ-復讐の咆哮-』は、刑事とテロリストの戦いがドミノ倒しの如く連鎖していくアクションスリラー…のはずが、極めて残念な結果となった一作。デ・パルマはこれ以降新作がない。

さて、本作のドミノは謎の機関の謎の計画を表すが、原題は「Hypnotic(ヒプノティック=催眠術)」だった…。

瞬時に催眠術をかけて人を思い通に操ることができる男と、眼の前で誘拐された娘を探し続けている刑事が、追いつ追われつのアクションを繰り返しながら娘の行方と謎の機関の陰謀に立ち向かう、謎解き冒険バラエティ・サスペンス。

絶対に捕まらない男(ウィリアム・フィクトナー)の能力は人の脳をハッキングすると称される催眠術。
同じような能力を発揮する女占い師(アリシー・ブラガ)と共に催眠術師率いる赤ジャケ軍団との攻防戦を繰り広げる主人公の刑事(ベン・アフレック)なのだが、早々に『インセプション』みたいな目眩まし映像が現れ、物語は混沌へと突き進む。
観客の意表を突く工夫は、確かに驚きがあって面白い。
たが、そればかりに特化すると、それはミステリーの謎掛けとは言い難いものになってしまう。

必ず騙される…とか。
絶対に先が読めない…とか。
謎を強調するPRは、ともすれば観客がクイズ感覚を抱いてしまう危険性がある。
たとえば、観客が勘で推測した犯人が結果として合っていたら「騙されなかった」とか「読めた」とかと思ってしまい、単に一番犯人らしからぬ登場人物に目星をつけて“当てた”だけなのに推理したと勘違いさせる、極めて陳腐な現象を招くことがある。
我が女房殿など、テレビの2時間サスペンスの冒頭の15分を見て、配役で犯人に見当をつける。その後は家事をやりながらチラ見程度で流し、終わりの15分に再びテレビの前に戻って、答え合わせ。「ほら、やっぱりこの人が犯人だった」と、実に満足そうなのだ。
そう、それが楽しいならそれで良いのだが…。
どうすれば最大のどんでん返になるかと考えれば、“娘を誘拐された主人公が、実は誘拐犯だった…”と、誰でも思いつく。それをして“ほ〜らね“と優越感に浸る者は映画を過小評価する懸念があるから、宣伝は要注意なのだ。

ヒッチコックの『めまい』(’58)、『間違えられた男』(’58)に触発されて構想したとロドリゲスは語っているが、主人公目線を利用したトリックは『アンノウン』(’11)や『推定無罪』(’90)などにも用いられていて、これに超現実世界の味つけが加わって、『トータル・リコール』(’90)や『エンゼル・ハート』(’87)なども連想させる。

砂塵舞うテキサスでのバイクやガンのアクションはロドリゲスの見せ所で、トントンと進む小気味良いテンポが飽きさせない。
ショットガンを構えた老夫婦の登場に至っては、待ってましたと手を打ちたくなる。

だが、攻守逆転がまた逆転する大どんでん返しのために持ち込んだ虚構の世界感は、真相を明かす段になって台詞で説明せざるを得なかったのが残念。
絶対に捕まらない男どころか、絶対に死なない人間(?)みたいなのまで登場させて、バーリ・トゥードはとうとう収拾困難に陥った感がある。

ベン・アフレックが脚本に関与していれば、もう少しどうにかなったかも…

kazz
満塁本塁打さんのコメント
2023年11月3日

イイねコメントありがとうございました😊今有料パンフレット相場は@800➕消費税❓ですが
確かにその金額だと大部分重複ですね。逆に@880超えは 間違いなく サイト以外の情報が入ってますね。高いですけど。私は結構 コラムが好きなので 紙のパンフレット派です。😊

満塁本塁打
LaLaさんのコメント
2023年11月3日

kazzさん
共感をありがとうございました(´▽`)
ロドリゲス監督の 新しい感覚作品でした。
「ドミノ」映画があったのですね。
知りませんでした。キーラさんがご出演なのですね。
教えてくださり ありがとうございます。
デ・パルマ監督さんもあったり・・なるほど

今回は、催眠術な世界でしたね。
ベン・アフレックさん監督に憧れていたようで
主演で嬉しかったことでしょう。
ウィリアム・フィクトナーさんも個性的でした。
それにしても、
奥様は素晴らしいですね(≧▽≦)
2時間サスペンス、あるあるですもの。

LaLa