劇場公開日 2023年10月27日

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「エンドロール中で突然描かれる2度のどんでん返しをちゃぶ台返ししてしまうシーンは、あれが許されるのなら、もう映画は何でもありになってしまうのではないかと、少々腹が立ちました。」ドミノ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0エンドロール中で突然描かれる2度のどんでん返しをちゃぶ台返ししてしまうシーンは、あれが許されるのなら、もう映画は何でもありになってしまうのではないかと、少々腹が立ちました。

2023年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

 「デスペラード」「シン・シティ」のロバート・ロドリゲス監督が、ヒッチコックの名作「めまい」を見て2002年に思いつき、に触発され、15年に完成した脚本を完成。ベン・アフレックとタッグを組み、行方不明になった娘を探す刑事が“絶対に捕まらない男”を追い、事態が二転三転していく様子を描きます。大がかりなトリックが仕組まれた世界観とひねりの利いたストーリー展開が見ものの犯罪ミステリー作品です。

■ストーリー
 数年前に公園で一瞬目を離した隙に、娘のミニー(ハラ・フィンリー)が行方不明になってしまった中年刑事ダニー・ローク(ペン・アフレック)。失踪したを捜し続けるものの、そのことで強迫観念にかられ、カウンセリングを受けるようになります。けれども正気を保つために現場の職務に復帰します。
 そんな時に銀行強盗のタレコミがあり、ロークは現場で怪しげな男デルレーン(ウィリアム・フィクナー)を目撃します。男を追っていくと貸金庫でミニーの写真を発見するのです。男が娘の行方の鍵を握っていると確信したダニーは、2人の警官と男を屋上に追い詰めるのです。しかし警官は暗示にでもかけられたように互いを撃ち合い、男は屋上から飛び降りて姿を消すのでした。やがてダニーはダイアナ・クルス(アリシー・ブラガ)という女性占い師にたどり着きます。占いや催眠術を熟知し、世界の秘密を知るダイアナ。彼女に、いとも簡単に周囲の人びとを操ることができる、あの男を捕まえるために協力を依頼します。彼女の話す“絶対に捕まらない男”の秘密に混乱するダニー。そして現実と虚構が診察する迷宮世界にさまよい込んでいくことになるのでした。

■解説
 催眠術によって操られた人々が突然ダニーに襲いかかってきたり、目の前の現実が「インセプション」のようにゆがんで崩壊したりする映像世界は、まさに謎だらけです。
 ひねりまくった展開、意表をつく事件の連続、先が読めたと思うと裏切られるの繰り返しで、一瞬も目が離せなくなりました。
 なにしろ主人公のダニーが状況判断できないくらいですから、当然観客も状況判断できないままに振り回されます。男は打つ手がないダニーは、ダイアナによれば、ロークの追う男は相手の相手の脳をハッキングしていると言うのです。そんな能力を持ち出してしまったら、「インセプション」以上にいとも簡単に、ドンデン返しが可能になり、直前までのシーンは操られていた幻想と説明づけられてしまうではありませんか。
 ということで、ある秘密機関の陰謀が明かされる後半は、それまでの伏線が矢継ぎ早に回収され、クライマックスには2度のどんでん返しが待ち受けます。
 エンドロール中で突然描かれる2度のどんでん返しをちゃぶ台返ししてしまうシーンは、あれが許されるのなら、もう映画は何でもありになってしまうのではないかと、少々腹が立ちました。ぜひ、最後の最後まで席を立たずに見てください。
 設定はSF的ですが、94分の本編に活劇もたっぷり盛り込み、ダニーと敵のだまし合いを描いた作風は人間臭いアナログ調。アフレックのどっしりとした存在感、悪役ウィリアム・フィクトナーの不気味さも印象深かったです。

流山の小地蔵