ほつれるのレビュー・感想・評価
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人間の見たくない部分がこれでもかと嫌な感じに描かれるため、イラッとし、心がざわつきます。それでいて鑑賞後の気持ちは悪くありませんでした。
劇作家・演出家として評価が高い加藤拓也監督による、オリジナル脚本で描かれるヒューマンドラマ。
不倫で壊れてゆく夫婦関係を描く映画「ほつれる (公開中)。セリフのひとつひとつがあまりにリアルで、グサグサと突き刺ささりました。
■ストーリー
夫・文則(田村健太郎)と冷めた夫婦関係を統けていた絹子(門脇麦)は、友人に紹介された木村(染谷将太)と親しくなります。2人で旅行に出かけた翌口、それぞれ分かれて帰る途中で木村が交通事故に遭います。
少し離れた場所で目撃した綿子は呆然と立ち尽くし、119番通報をしたものの、状況説明でほいよどみます。そして現場がどこかを告げずに切ってしまうのです。彼を助けたい。でも、不倫が発覚してしまうと思った。綿子はだれかが通報してくれることを願いながら立ち去るのでした。
密会していた相手を交通事故で亡くし、抜け殼のようになった綿子は不可解な行動をとり始めます。文則は、優しい口調ながら、質問責めで綿子を追い詰めます。
しかし取り乱したり、怒りや悲しみをあらわにしたりしてもいいはずですが、綿子は言葉少なに、物憂げな表情を浮かべるばかりでした。
それでも事故後なんとか関係を修復しようと、文則は必死で説得しようとしますが、綿子は応える気がありませんでした。
一方、木村の妻(安藤聖)も綿子を呼び出して関係を問いただします。変化の乏しい綿子の表情は、実は、不倫相手の木村に対しても、そうだったように、木村の妻や父(古舘寛治)と向き合っても、それほど変わらないように見えたのでした。
■解説
本作の一貫しているのは絹子の「テンションの低さ」と寡黙さです。表情は作り過ぎず、声は抑え気味で。体温が低く感じる演技を、門脇麦はあえてしたそうです。
なので密会中、男と女に熱に浮かされた感じはありません。会話のトーンは低温気味。だけれども、分かちがたいつながりが、目には見えないけれども、あるように感じられる2人。不思議な感じに囚われてしまう不倫のお話しでした。
事故の場面。女が男に駆け寄って、すがりついて、周囲に助けを求めるもの。普通ならそんな場面を想像するのことでしょう。ところが、女は後ろ髪を引かれながらも、現場を離れていくのです。一見、不可解に思えますが、どうでしょう?
救急要請の電話をかけた時も、彼を助けたいという気持よりも、不倫が発覚してしまうことをを恐れて、場所を言いそびれてしまい、あげくの果てに誰かが助けてくれるはずとやり過ごしてしまうのは、その時は仕方なくても、その後に大きな悔恨の思いを持ってしまうかもしれないのにです。そんなふうに、女の心は揺らいだのだろうと思います。
そう考えれば、女の行為は謎というより、リアル。とり乱す女の姿を思い浮かべる方が、むしろ、ありきたりなドラマの作法にとらわれているのではないでしょうか。
若くして演劇賞の受賞歴のある気鋭の加藤監督は、映像世界に新たなリアリズムの風を吹かせ、静かに波立たせるのです。
劇作家らしく、加藤は繊細なセリフによって、彼らの関係性を説明し、心情を伝えようとします。
つかみあいのケンカになってもおかしくない不倫劇は、それぞれの俳優が淡々とした口調で、セリフが多め。その空虚な空気こそが、微に入り細を穿ちながら、人間の内面をえぐり出すのです。
絹子が無言を貫く場面では『無言というのもひとつの答えなのか』と詰問調に畳みかける文則のむなしさ、絹子の表情にいたたまれなくなります。
しかし、話すのはもっぱら夫や木村の家族で、綿子は聞かれたことに答えるばかりです。ならば、綿子は何も語らないのでしょうか。そうではありません。言葉ではなく、物憂げな横顔やとぼとぼ歩く後ろ姿が彼女の内面を語っているのです。
観客に、見えるものから見えないものを読み取らせる。いかにも映画的な企てですが、映画畑以外の監督が陥りやすい罠でもあります。映像への期待が過度だと、映像が冗舌になり、説明に堕するものです。本作はその危うさを周到に回避しています。観客は綿子の横顔や後ろ姿を見つめ、内面を読み取るというよりは、内面に触れる思いがするのでしょう。
綿子の夫は妻の気持ちを読み取ろうとしてすれすれまで迫りますが、心に触れられません。最終盤のスリリングな会話劇の結末に、自然とうなずくことができるかどうか。できなければ、夫と同じということでしょう。
あえて抑揚に乏しい会話に終始し、糸がほつれていく様子を体現した門脇が素晴らしいと思います。
門脇は、全編にわたり、綿子が出ずっぱりの映画を、「一人の女性の観察記録のようなもの」と受け止めています。「不倫相手の死とも向き合えず、夫とも向き合ってこなかった。それは、自分自身とも向き合えていないということ。いろいろなことから逃げた結果、自分の感情が見えなくなっている綿子の記録だと思う」。だから、観客には「綿子に共感するというよりも、綿子が生きている時間を共有してほしい」と期待しているとインタビューに答えていました。
【最後に】
見て見ぬふりをしてきたことの代償は大きいですが、どうにもならないのもまた人生。濃密な84分間です。
白黒つけずにグレーで済ますこと、正論で追い詰めていくことなど、人間の見たくない部分がこれでもかと嫌な感じに描かれるため、イラッとし、心がざわつきます。それでいて鑑賞後の気持ちは悪くありません。会話劇を楽しんでください。
しがらみがほつれる?
解釈は人それぞれなのかも知れないと思った。
まさに劇中の登場人物と同じ境遇にいる人は、特に賛否両論で意見が分かれるのかも…
最終的に日々の生活の中で仕方なく続けている関係やうやむやにしている感情がほつれるという解釈で良いのだろうか?
観終わってしばらく経つと(今、鑑賞後7日後)、実は何も残っていないことに改めて気づかされる…。
せいぜい、いつ死ぬかもわからないから、墓場まで持っていく秘密は、携帯とかに残さないようにすべきと思ったぐらいかなぁ…。
そういう意味で、生体反応が消えたら、サーバーからデータが完全に抹消されるサービスが出てくるのかなぁデータと映画とは関係ない感想を持ってしまった(笑)
不思議な日常を俯瞰で見る楽しさ
門脇麦さんの芝居が好き。「止められるか俺たちを」「さよならくちびる」などで魅せた、リアルな息遣いと憂いのある表情がたまらない。すぐ隣にいるような存在感で、作品にスッと入り込めるんです。
今作も芝居に見えない彼女の見応えが詰まっていましたよ。静かに抑えている苛立ちが、本当に上手い。
この作品の魅力、台詞っぽくない会話劇を、安定の演者が紡ぐ。染谷将太さんは友達のような不倫がよき。友人の黒木華さんは仕草が絶妙だし、旦那の田村健太郎さんは理屈っぽい性格が苛立つ。
新鋭加藤拓也監督の脚本演出もすごい。長回しのセリフの少なさに、想像がどんどん膨らむ。映画の醍醐味ですね。
登場人物は皆サイテーで、共感は置き去り。ヒロインの感情を観察しながら、不思議な日常を俯瞰で観ている。鑑賞後に何だったんだろう?って思うけど楽しかった!って感じ、好きなんですよね〜😊
「不倫は文化」ですかね
お互い不倫者の心理をよく分かっているだけに却って解決策を見出せないどん詰まり夫婦。後ろめたさ故に決断を相手任せにする不毛な会話が関係をどんどん悪化させるのが痛い。
客席に夫婦らしいのが何組かいたけど大丈夫か?
微妙
タイトルから想像するとおりの不倫したり、されたりのストーリーなのだが、ドロドロというほど深く抉った描写もないし、主人公・綿子(門脇麦)の行動が全て突飛というか唐突過ぎて、何か話が上手く繋がっていかない。
台詞も芝居がかっていて、舞台作品のよう。
元々、舞台が主戦場の監督さんと聞けば、なるほどな、と思えるが・・・
見方を変えれば、チャレンジングな映像作品かな。
演技無双
だいたいどんなことが起きるかは予告で分かってるけど、展開早いな。20分くらい…?
そこからは…簡単に言うと、真綿を敷き詰めた地獄、って感じ…
そもそもみんな感じ悪いんだけど、夫役の田村健太郎さんの感じ悪さは自分を観るようでホントにヤになりました…
でもまぁ総括すると、門脇麦の演技相撲無双映画…
門脇麦という池にちょっとした石を投げ込んで、波紋を楽しむみたいな、そんな映画でした。まさに、「ほつれる」…
90分くらいで良かったよ…
もう少しメインキャラの人間性や関係性を描いてほしかった
不倫はとてもリスクが高く、バレたときに払う代償が大きい。だからということでもないが、相当な覚悟を持っていないとできない(はず)。でも、実際に不倫をしている人たちのほとんどはそんな覚悟もない。もちろん、人それぞれの事情があるから頭ごなしに責めるつもりは全くない。でも、映画なんだもの、どんな事情かは知りたいじゃないか。
序盤、門脇麦演じる綿子と染谷将太演じる木村の関係性が、不倫をしているということ以外わかりづらい。指輪を渡しているから相当の関係性と思っていいのか、それとも寂しさを埋め合うだけの関係なのか迷ってしまう。その後の綿子の態度も、保身なのか混乱からなのか、事故現場で最後まで救急車を呼ばずに逃げてしまったことへの罪悪感?それとも恋人の喪失感?気持ちがつかみづらいまま後半になってしまう。
そもそも夫の文則が優しそうに見えて、とても嫌な印象を持っていたが、徐々に本質が現れてきて、あぁなるほどこれなら他の男を求めてしまうのもわかるなと思う流れ。いや、それでも納得できない人は多いか。
ただ、文則だけでなく、綿子や木村にしても、キャラクターの描き方が表面的だからあまり入り込めない。上映時間に余裕があるんだからそこら辺の描き方はもう少しできたろうに。
そして結末。この結末をどう感じるかは人それぞれ。自業自得と見るか、主人公綿子の喪失を切ないと思うか、逆に少しでも前向きな未来を感じるのか、はたまた観ている者に委ねられすぎて呆然としてしまうか。私は少し呆然としてしまったタイプ。
無音
上映中ほとんどの時間音楽が流れない(覚えているのはラストシーンで音楽が鳴ったくらいかなぁ)、なのに時々雷が何処かで鳴っているような低音がかすかに伝わって来て、不穏さを煽ります。
なのに、阿鼻叫喚な地獄絵図には展開せず、主演の門脇麦さんも口が重たいからモヤっとしたままいつの間にか終わってしまいました。
田村健太郎さんのモラハラ夫っぷりがちょっとイラつかせてくれたくらいで、全体的にはぐらかされた感じでした。
財布をあそこで開けるって、中に入っていたものはとっても大事だったんじゃないの?と、ツッコミたくはなりましたけどね。
門脇麦さんの素晴らしい演技が終始堪能出来る作品。 本年度ベスト!!
個人的に門脇麦さんに主演女優賞を差し上げたい位の作品だった!
ほぼ全てのシーンに門脇麦さんが登場。
本作はストーリーを楽しむ感じでは無く、会話劇を楽しむって感じ!
その会話にメッチャ引き込まれた!
ぶっちゃけ登場人物達に共感する事は出来ないけど、終始リアルな感じの会話が素晴らしい!
ほぼ夫婦の関係が終わってる門脇麦さん演じる綿子とその旦那。
染谷将太さん演じる木村と綿子が浮気をしている設定。
その木村が交通事故死で亡くなり、木村と浮気をしていた頃の過去と、綿子夫婦のこれからについて話し合う、2つのストーリーが同時進行して行く感じ。
綿子の旦那が理屈っぽくてクソ(笑)
亡くなった木村の父親も何だかクソ(笑)
もちろん綿子もクソ的なキャラ(笑)
みんなクソなんだけどストーリーが実話ベース的な感じの展開でスクリーンに終始引き込まれた!
BGMもほぼ皆無。
登場人物のセリフに集中出来た感じ。
エンドロールも音楽無しの無音。
作者の拘りを感じる。
終盤、綿子が旦那にカミングアウトするシーンのリアル感が素晴らしい。
夫婦や親子の関係が本作のタイトルの、ほつれている感じが生々しかったです( ´∀`)
スタンダードサイズで描かれる人物描写に惹かれる
劇作家の映画は面白いものが多いので、期待を持って鑑賞。
始まってそうそう、お、スタンダードサイズだ。
限られたサイズ感で描かれる、2人の距離感とボケを使った奥行き表現がとてもキレイ。
終始静かに描かれる(不倫にまつわる)日常と門脇麦のアピールしすぎない顔立ちもあり、どっぷりはまってしまった。
場面自体は多くはないものの、印象的なシーンがとても多い。
・テントの中で指輪の写真を撮るのをスマホのカメラ越しにみるシーン。
・相手へのプレゼントの靴を買うときの、3重にも鏡を使うシーン。
・不倫相手の妻に詰められる直前のコーヒーショップの整ったシーン。
・家を出るときの車のトランクに見える、車と同じベージュと白のスーツケース。
・画面のの隅っこで指輪を外したり、つけたり、いじったり。
ワンシーンごとに画角が非常に意識されていることがわかるし、どれもきれいで、それだけでも見ていたくなる。
セリフも多くはないが、映像で伝わることがたくさんがある。
そしてなにより、夫の気持ちと行動がわかりすぎて辛い。
女性目線での感想も聞いてみたいものである。
最後の、「あんたもしてたでしょ」はさすがにありきたりすぎて、宣伝でいう謎ときにしてはチープではあったので、そこはマイナス。
ただ、昼ドラみたいな衝撃展開も、不倫に対しての主人公の成長も期待はしていない。こんな夫婦ありそう、くらいがとてもいい。
派手さはないが、ワンシーンワンシーンに集中したい、これもまた映画館で見るべき映画であった。
2023年劇場鑑賞89,90本目
ほつれる、、、こんがらがる
淡々と、、、話は進みます。
演技しているのかドキュメンタリーなのか分からなくなるほど、力が抜けた演技と演出。映画っぽくて好きです。
ただ、無言の長回しが多い。多すぎ。何があるのか読み取ろうとするのは結構キツい。映画館でも辛い。何かが見つかったシーンもあれば、なんにも無い?シーンも多い。意味のある長回しなら良いが、「なんにもないじゃん」が続くと、そのうち、「この映画終わるの何時だろう」「帰り何食べようかな?」とか、別のことを考えてしまう。
行間が多い映画は好きです。セリフのないシーンからいろいろと読み取れるのですが、、、この映画はなんだった?というシーンが多すぎる。私にもっと行間が読む力があれば良いのかな?
指輪をめぐって物語が進みます。指輪をはめたり、指輪を外すシーンも淡々と。
いちばんびっくりしたのはエンドロールかな。無音のエンドロールって初めて見た。
○1人だけ映画館に入ればいい余韻が味わえそう。
✕何人か映画館にいると、ゴミを集める音、バックのチャックを閉める音、帰りの足跡、雑音だらけで余韻もあったもんじゃない。
✕今後、配信とかで見る人は間違えなく、リモコンいじるでしょうね。
淡々とBGM無しで進んでいくのは良いと思いますが、何も無いシーンは辛い。最後は、ようやくBGMががあったり、感情が出てくるようになります。そういうことなの?ってちょっとこんがらがる。
不倫がどうこうより‼️❓人間性の問題‼️❓
ここまでクズが集う物語は珍しい。
一番は門脇麦、不倫相手が事故で死にそうなのに保身のために見殺しにする。
その旦那は別れた妻と不倫、不倫相手の門脇麦を苦しめる、因果応報、繰り返すんだろうな、死ぬまで。
染谷の父も酷いな、自分の心のために、染谷の妻に不倫の告げ口、下劣の極み。
染谷の妻も、被害者だけど、詰め寄り方が、なんか違うような、染谷の死の原因こそ追求すべきでは。
多分、門脇麦も旦那も繰り返すんだろうね、自己中人間の典型、不倫がどうこう以前ですよ、なんだか後味が悪い。
一番嫌なのが、題名、ほつれる、なんて運命のせいにするなんて、クズらしい、最低。
田村健太郎が怖かった
夫・文則との関係が冷え切っている綿子は、友人の紹介で知りあった木村と不倫関係になっていた。木村とのお泊まりキャンプの帰り、別れた直後に木村が事故に逢って亡くなってしまった。そして・・・てな話。
文則役の田村健太郎が冷静すぎて怖かった。
木村の妻役の俳優が誰かわからなかったが、背中の演技が良かった。
綿子は親友の英梨にも木村と付き合ってる事を言えなかったみたいだが、そんなもんなのかなぁ?
どうってことないストーリーなんだけど、門脇麦など、素晴らしい演技に引き込まれた。
不倫する奴は繰り返すってことね。
門脇麦ちゃん演じる綿子が不倫相手と日帰りグランピングを楽しんで東京に帰ってきたら、事件発生。えっ!染谷将太君これで終わりっ!?て思ってたけど、回想で結構出てきたね。
綿子ったら不倫はいけない事だと思ってるのに、やめられないって事?だって周囲に隠しまくるんだもん。心から愛しているなら周囲にも正直に話して、旦那と別れて一緒になればいいじゃん。ただ、ラブシーンが無かったので、不倫じゃなくてただの仲良し友達だったのかもって想像しちゃった。それなら話せたよな。
とても可哀想だったのが旦那の文則。元々2人は不倫関係だったこともあり、ちょこちょこ元嫁との子供に会っていた。それを綿子から不倫と疑われていた。ははぁん、不倫は習慣になるのね。ある意味、生き方を共有してんじゃね。でも本人は認めていない。嘘か本当かも回収なし。で、ラストに至る。ん、何処へ?
黒木華ちゃん、もっと重要な役かと思ってたのに、ただの友達でストーリーに絡んでこなかったのが残念でした。
最初から最後までモヤ〜。共感も納得も全く無しの残念な作品でした。
何とも消化不良
門脇麦さんが好きで見に行きましたが、終盤に何かもっと深い事情があるのかなと思って見ていたけど、消化不良で終わってしまった不倫映画でした。
ただ、門脇麦さん始めとして役者さんたちの演技はさすがだと感じました。実際にあんな人が目の前に居たら嫌だけど、綿子の旦那のネチネチ感はすごかったと思います。
ストーリー的にはちょっと期待外れでした。
W不倫の往く末
経済的に満たされて何も生活には困らないが、隣の芝生が青く見える人達が自我を満たそうとする映画。
所詮不倫は不倫、結末はわかってるだろうに。
何も共感できないな、不倫を美化したいのか、何も生まないと言いたいのかさえわからない。
夫婦での鑑賞はオススメしない
主演の門脇麦さん目当てで鑑賞してきましたが、率直に言ってちょっと消化不良の作品でした。
ストーリーは、冷えきった夫婦関係を惰性で続けているような妻・綿子が、密会を重ねていた不倫相手・木村を交通事故で亡くし、心ここに在らずの日々を送る中、ふとしたことをきっかけに夫・文則に不倫を疑われ、二人の夫婦関係がいよいよ壊れていくというもの。不倫ものですが、激しい修羅場はほとんどなく、ずっと暗く気だるい雰囲気で進行していきます。
自宅でのそっけない態度に比べて、木村の前では終始楽しそうな笑顔を見せる綿子。夫や木村との会話から、少しずつ周囲の人物との相関や綿子との関係は見えてくるものの、ちょっと普通では考えられないようなものであり、これがなかなかわかりにくかったです。そのため、綿子にも同情すべきところはあったのですが、それがわかるのは終盤なので、ずっと綿子に共感できずに観ていました。
終盤になってやっとおもしろくなってきたと思ったら、まさかのエンドロール。うーん、何が言いたかったのかよくわかりません。タイトルから考えると、ドロドロした不倫関係や表面的な夫婦関係が、ちょっとしたことをきっかけに解消されたということでしょうか。でも、綿子自身は何も変わってないような…。なんだかスッキリしません。
主演は門脇麦さんで、演技とは思えないリアルな言動が秀逸です。脇を固めるのは、田村健太郎さん、染谷将太さん、黒木華さん、古舘寛治さんら。中でも、文則役の田村健太郎さんが抜群です。「自分は悪くない」「ものわかりがいい」「相手に譲歩している」というスタンスで、無自覚にねちねちと相手を責め立てる文則を好演しています。終盤での綿子との舌戦は、生理的に受けつけられないほどすばらしかったです。こんな感じで演者は総じてよかっただけに、脚本が物足らないのが残念でした。
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