「もう少しメインキャラの人間性や関係性を描いてほしかった」ほつれる kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少しメインキャラの人間性や関係性を描いてほしかった
不倫はとてもリスクが高く、バレたときに払う代償が大きい。だからということでもないが、相当な覚悟を持っていないとできない(はず)。でも、実際に不倫をしている人たちのほとんどはそんな覚悟もない。もちろん、人それぞれの事情があるから頭ごなしに責めるつもりは全くない。でも、映画なんだもの、どんな事情かは知りたいじゃないか。
序盤、門脇麦演じる綿子と染谷将太演じる木村の関係性が、不倫をしているということ以外わかりづらい。指輪を渡しているから相当の関係性と思っていいのか、それとも寂しさを埋め合うだけの関係なのか迷ってしまう。その後の綿子の態度も、保身なのか混乱からなのか、事故現場で最後まで救急車を呼ばずに逃げてしまったことへの罪悪感?それとも恋人の喪失感?気持ちがつかみづらいまま後半になってしまう。
そもそも夫の文則が優しそうに見えて、とても嫌な印象を持っていたが、徐々に本質が現れてきて、あぁなるほどこれなら他の男を求めてしまうのもわかるなと思う流れ。いや、それでも納得できない人は多いか。
ただ、文則だけでなく、綿子や木村にしても、キャラクターの描き方が表面的だからあまり入り込めない。上映時間に余裕があるんだからそこら辺の描き方はもう少しできたろうに。
そして結末。この結末をどう感じるかは人それぞれ。自業自得と見るか、主人公綿子の喪失を切ないと思うか、逆に少しでも前向きな未来を感じるのか、はたまた観ている者に委ねられすぎて呆然としてしまうか。私は少し呆然としてしまったタイプ。
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