「久米田康治「ベタでも上手くやれば実写化も金持ちにもなれる」」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
久米田康治「ベタでも上手くやれば実写化も金持ちにもなれる」
2024年映画館鑑賞13作品目
3月2日(土)イオンシネマ新利府
6ミタポイント0円
原作未読
成田洋一監督作品脚本作品初鑑賞
脚本は他に『亜人』『サイレント・トーキョー』『ブレイブ -群青戦記』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』の山浦雅大
粗筋
鹿児島県知覧の女子高生が終戦日間近の1945年にタイムスリップし特攻隊員に出会い恋をして現代に戻り恋人の遺志を受け継ぎ教師を目指すあまりにもベタな話
昨年12月8日公開のロングラン大ヒット作品
観客には多くの高齢者がいた
高齢者といえば戦争体験者という発想はもうその時点で時代錯誤の老害
今では80歳でも19年生まれで当然のことながら戦争の記憶はない
80代後半くらいからじゃないと記憶がないのではないか
70代はもちろん戦後生まれだ
親の世代が戦争体験者だからこそ大いに興味を持つのだろう
高齢者の多くは特に女性はインターネットに疎くもっぱら口コミで広がる
それがロングラン要因の一つといえよう
ヒロインは母子家庭で生活が苦しい
父は他人の子供が川で溺れ助けたことによって溺死した
周りは学力の高さから進学を薦めるも就職を考えていた
母にこれ以上苦労かけたくないというよりどこか拗ねていた
三者面談があった夜に喧嘩をして家を飛び出し防空壕に入りタイムスリップしてしまう
タイムスリップのきっかけは雷だろうか
それもまたベタで『えどたん』を思い出した
しかし現代に戻る様は『バックトゥザフューチャー』に比べるとあまりにも呆気ない
しかしそこは重要ではない
その時点では夢オチかと思う人もいるだろう
クラスの見学学習で訪れた知覧特攻平和会館で夢ではなかったことを知る
百合への手紙を読み泣き崩れるわけだ
福原遥演じる加納百合が学業優秀な優等生なのがミソである
1945年の人々に現代人の感覚で熱弁を振るう姿はもはや寓話に近い
クイズ番組のおバカ担当レベルではこうはいかない
彼女の発信力は演技力も手伝って左翼系野党や左翼系マスコミやパヨク系ネット民と根本的に違い全く嫌味がない
そもそも対立することが目的ではないからだ
百合の主張になんの策略も煽りもない
純粋無垢混じり気無しの透明度100%清々しい正義感は多くの民衆が共感し支持するだろう
彰の「『なにか』が悪い」はあまりにもリアルだ
はっきりとそれが何かを提示しないところがあの時代に生きるインテリ兵士の生々しさを感じた
一部レビュアーは反戦映画とか反政府映画はスポンサーがつかずカネが集まりにくく予算的にも厳しいとおっしゃることもある
公開も小規模で興行的に厳しいだろうと
いやいやそんなことはない
完全な思い込みであり誹謗中傷ですらある
それもこれも原作次第脚本次第だ
こうして大ヒットしてる
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』がいいお手本だ
教科書ともいえる
エンディングテーマは福山雅治
歌詞付き
福山雅治のような美声だと裏声さえも聞き惚れてしまう
あえて苦言を呈するならBGMが邪魔だった
特に俳優がセリフを言う時のBGMが全てにおいて耳障りだった
たとえインストゥルメンタルでも
虫とか風とか風鈴とか燃え盛る炎とか戦闘機の音などといったそういうのだけで十分堪能できる
担当した音楽プロデューサーには悪いけど
成田監督には若い俳優たちの芝居をもっと信頼してほしかった
聞いてほしい大事なことはみんなを静かにするでしょ
加トちゃんのオナラとか
あと伊藤健太郎くんお帰りなさい
配役
1945年にタイムスリップしてしまった高3の加納百合に福原遥
出征前は早稲田大学に在学し教師を目指していた秋田出身の特攻隊員の佐久間彰に水上恒司
魚屋の娘として鶴屋食堂に魚を持ち込む一方で基地に行き勤労奉仕しつつ石丸に恋する千代に出口夏希
空襲で娘と孫を亡くしている鶴屋食堂の女将のツルに松坂慶子
高知出身で彰と同じ部隊に所属する音痴だがすぐに歌い出す石丸に伊藤健太郎
大阪出身で彰と同じ部隊に所属していたが空襲で下半身が不自由になってしまった婚約者のために帰郷する板倉に嶋﨑斗亜
東京出身で彰と同じ部隊に所属する妻子持ちの寺岡に上川周作
千葉出身で彰と同じ部隊に所属する親子三代軍人の加藤に小野塚勇人
百合の発言に激怒し止めに入った彰まで殴ってしまい民衆の反感を買ってしまう警官に津田寛治
父は戦死し母は空襲で焼け死んでしまい戦災孤児になったが百合にトマトを貰うたかしに猪狩清音
就職より進学を薦める百合の担任教師のヤマダに坪倉由幸
百合と親しいクラスメイトの木島カンナに新井舞良
百合と同じクラスの津崎美月に中島瑠菜
夫を事故で亡くしスーパーの鮮魚部門で働き女手一つで百合を育てた母親の加納幸恵に中嶋朋子