「教師になりたかった愛した人の悲願を受け継ぐ!」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)
教師になりたかった愛した人の悲願を受け継ぐ!
特攻隊員との短い恋は、悲しいに決まっています。だから始まったとたんになんでもないシーンでさえ涙が滲んでくる不思議な作品です。ただ基本は、女子高校生の目線で描かれているので、幼さは漂っていますが、作品全体の作りが丁寧なため、チープ感はほとんどなかったので四六時中泣けました。戦争を知らない世代の入門編になりそうな秀作だと思います。原作者が女性ですから、悲惨な戦争を一度ろ過したような透明性に満ちていると言えるかもしれません。また、福原の可愛さ健気さがいっそう戦争末期の理不尽さを浮き彫りにしているのに好感が持てます。福原は母子家庭の中で自分の未来を嘆いていた時にタイムスリップして、人間の命の尊さを学ぶわけです(特攻隊は負けた日本がどうなるのか全く予測できていません)。昭和20年の生活の中で、特攻隊を前にして生きるという意味と、教師になりたかった愛した人の悲願を受け継ぐという価値観まで取得して、福原は高貴な人間に成長していきます。私はその彼女の姿に一番泣きました。誰かの深い愛が、未来に繋がっていくということは本当に美しいのです。感服です。劇中、国のために特攻で死ぬという共同幻想に対して「死ぬことより、生き恥を晒しても生きるべきだ」という生身の人間の言葉も心を揺さぶりました。それでも彼らは出撃していきます。8月15日を前にした7月7日でした。
追記 タイトルにふさわしい百合の花畑は本当に綺麗です。松坂が食堂の女将としてとても優しいのに癒されました。最後に特攻隊で亡くなられた約3800名に黙祷。
わざわざ素晴らしい感想をいただき恐縮します。
おっしゃる通りだと思いました。
人間はなんて残酷なのでしょう。
なんと儚いのでしょう。
でも、本当は尊くて美しいのですよね。😭
共感ありがとうございます
本作が百合の成長記になっていることには同感です。
本作、現代人・百合を戦時下にタイムスリップさせることで、現代人の視点で戦時下を捉えていると感じました。あくまで、女子高生・百合の視点ですが。
彼女の視点に触れ、特攻隊員達が内に秘めていた特攻への苦悩、葛藤が浮き彫りになります。従来作では美化される特攻隊員達の心情が赤裸々に生々しく人間臭く描かれるので、戦争の理不尽、不条理が際立つ作品になっていると思います。反戦映画と言っても良いかもしれません。
多くの人、特に若い人に観て欲しい作品ですね。
では、また共感作で。
ー以上ー