劇場公開日 2023年12月8日

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「幸せの味 幸せの匂い」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5幸せの味 幸せの匂い

2023年12月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

初めて予告を観たときから目が潤み、その後も予告だけで泣けてきた本作。ずっと楽しみにしていて、公開初日に泣く気満々で劇場へ足を運びました。

ストーリーは、日頃の不満から母とケンカになって家を飛び出した女子高生・加納百合が、防空壕跡のような場所で一夜を明かすと、そこは戦時中の日本で、事態が飲み込めず動転していたところを特攻隊員・佐久間彰に助けられたことをきっかけに、軍指定の食堂で住み込みで働くことになり、当時の人々の思いに触れながら、出撃命令が下るまでの彰と過ごしたわずかな日々を描くというもの。

大筋は予告で観せているので、ストーリーは概ね予想どおりで、さほど意外な展開はありません。それでも心揺さぶられるのは、そこに人が人を思う純粋なものを感じるからだと思います。形の上では百合と彰のラブストーリーではありますが、私の心に最も響いたのは、愛する者のために笑って死にゆく特攻隊員の姿です。そして、涙をこらえてそれを見送る人々。「お国のため」という言葉に嘘はないでしょう。しかし、その言葉のさらに奥にある思いを、誰も決して口にしません。できません。それでも互いに察し合い、笑顔で今生の別れを告げる姿に涙が止まりません。潔く散りゆくことが美しいとは思いません。しかし、そう思うしかなかった、そう思うことで自分に言い聞かせようとしていたのではないかと思います。ツルさんが、娘の墓参りで「娘が孫と一緒に死ねてよかった」というようなことを口にしますが、これも同じだと思います。

そんな中、現代の知識と価値観をもつ百合が、自分の思いを素直に口にします。当然受け入れられるはずもなく、事態を変えることもできません。抗えない大きな力に、やり場のない怒りや悲しみを感じたことでしょう。一方で、なんの変哲もないカキ氷や花に幸せを感じます。その傍に彰がいて、百合の気持ちが穏やかに満たされていたからだと思います。今までの自分がどれほど恵まれ、守られていたか、それを担ってきたのは誰なのか、この時代は百合にたくさんの大切なことに気づかせてくれたことでしょう。それに気づけば、身の回りのすべてのものに幸せを感じられるのです。

そんな不思議な体験を経た百合が、現代に戻って見せる変容と、佐久間彰の実在を示す手紙が、(いささか唐突で強引ではありますが)最後に描かれていたのも良かったです。彰が夢を語った時から、百合がその道を目指すことはわかっていましたし、手紙を読まずに飛び出した時から、それが後でつながることもわかっていましたよ。でも、いいんです。待ってましたよ!そして泣きましたよ!

そんな感じで予想を裏切らない展開だったのですが、実は思ったほどは泣けませんでした。ハードルを上げすぎたせいかもしれませんが、何かもう一つ突き上げるものが欲しかったなとも思います。あと、百合の心情の変化が、シナリオに沿った表面的なもののように見えてしまい、映像の説得力が薄くてイマイチ共感できなかったせいかもしれません。さらに付け加えるなら、序盤で罵倒した父親の献身は、特攻隊の姿を絡めて最後にしっかり回収してほしかったですね。

主演は福原遥さんで、人々との交流を通して変容する百合を好演しています。共演の水上恒司くんは、「OUT」の副総長からガラリと変え、彼らしい落ち着いた演技が役にハマってます。脇を固めるのは、お久しぶりの伊藤健太郎くん、存在感を発揮した出口夏希さん、懐かしの中嶋朋子さん、この手の役のハマる松坂慶子さんら。中でも、松坂慶子さんの演技から、当時の女性の耐え忍ぶような思いが伝わってきて沁みます。

おじゃる
りかさんのコメント
2024年2月22日

ご返信いただきましてありがとうございました😊
共感❣️共感❣️
ゆり園、早く行かないと枯れますよ。香りが苦手ならあれだけあるとたまらないですねー。むせるくらいですね。香りキツいですから。返信お気遣いなく。
ありがとうございました🦁

りか
りかさんのコメント
2024年2月22日

共感していただきましてありがとうございました😊
私も予告でこれは必ず観たいと思っていました。
ファンタジーだから場所も特定されずご都合の良い展開も多々ありますが、今からは想像できない当時の人々の辛さ悲しさが表されていたかと思います。ゆり園らしいですね。ゆり園行ってみたいです。フォローしていただきましてありがとうございました😊
今後ともよろしくお願いします

りか
kazzさんのコメント
2024年2月4日

もう少しなんとかならなかったのかと思う箇所が多い映画でしたが、特攻で死んでいった若者たちの存在を若い人たちの心に打ち込む効果はあったのでしょうね。

kazz
こころさんのコメント
2024年1月6日

おじゃるさん
コメントへの返信を頂き有難うございます。
そうですね。
百合も頭では分かっていたとは思いますが、父親に対する思いも変わっていたでしょうから。
若い彼らの未来が平和な世界であって欲しいと、改めて思いつつ劇場を後にしました。

こころ
こころさんのコメント
2024年1月5日

おじゃるさん
『 父親の献身は、特攻隊員の姿 を絡めて… しっかりと回収して欲しかった 』… 亡くなられた父親の思いを絡めると、より深みが増したかも知れませんね 🤔

こころ
seiyoさんのコメント
2023年12月17日

共感コメントありがとうございます。

普段はよくMOVIXに行きます。この作品は配給が松竹なので、かなり前から宣伝していました。
予告だけでも、グッとくるものはありましたよね。

ヒロイン役の方は知らなかったですが、
eテレのアイマイマインのまいんちゃんだったと知りました。
まいんちゃんとおじゃる丸と忍玉は良くみてました。
おじゃるは私が大好きで、グッズもけっこう買っていました。
なので、おじゃるさんのアイコンを見るといつも懐かしく思います☺️

seiyo
seiyoさんのコメント
2023年12月17日

こんにちは~。
案外、泣けなかったのですね。
私は泣く気満々だったので、ずっと泣いていましたが、心はけっこう冷静でした😁

seiyo
満塁本塁打さんのコメント
2023年12月10日

返信お気遣いありがとうございます😊すごい順応性ですね👍 私には無理でした。トホホ・・

満塁本塁打
満塁本塁打さんのコメント
2023年12月9日

イイねありがとうございました。百合さんの成長と チカラワザの資料館の手紙に納得❗️でしたが
百合さんの秒速の順応力 にビックリ‼️で話が頭に入ってきませんでした。奇妙キテレツなJKのミニは 怪訝な顔でいぶかしがられたはずですが 松坂慶子さん役、何ら疑念を抱かず❓❓でした。
この作品のメッセージ性には大いに賛同です。

満塁本塁打