湖の女たちのレビュー・感想・評価
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西湖畔のサイコパスたち
端的に言って、意味が分からなかった。
濱中と佳代の関係はドSとドMのそれでしかなく、濱中がどこでM性を確信したかも不明。
徹底的に濱中が気持ち悪いし、湖畔の砂利に倒れ込んで慟哭する伊佐美も異常。
強引な取り調べが問題になってるのにスーパーで張り付き、自ら手帳を出すとか炎上じゃ済まんよ。
池田も、あの程度の根拠で家にまで突撃するのは阿呆。
薬害事件と介護施設の事件に関連性も感じないし、どこに焦点が当たってるかがハッキリせず。
カットの繋ぎも最悪で、回想入りも分かりづらい。
車から降りた濱中が次の場面で運転してたり、濱中の投石を無視してた佳代が次の場面で松本と路上で会ったり…
編集で削ったせいなのだろうが、これでOKなのか。
事故をどう処理したかでも印象が変わるのに、そこはカット。
薬害事件関係は基本台詞のみの描写で不鮮明なのに、レベルの高過ぎる性癖描写は丹念。
佳代の父や濱中の妻子の必要性も感じないのだけど、どちらも一人暮らしではダメなの?
恐らく服部の孫たちが犯人でいいのだろうが、肉親の勤め先以外で機器や勤務体制知りようもないでしょ。
ミステリでは絶対ないし、人間ドラマとも呼べないし、撮ってる人や演者は理解してるのだろうか。
変態エロスと欲情メンヘラの履き違え
重い、暗い、ジメっとしてて梅雨前には観たくない。それでも観たのは松本まりかの艶かしさへの期待から。
これが期待はずれでして😭😭😭
あり得ない状況下で偏りのある性癖が合致したことによるエロスの開眼かと思っていたのに(原作未読のため勝手な想像です)、蓋を開けてみたらただのメンヘラちゃんでした。
これではないのよね、観たいエロスは。
となると、ただの静かで重たく、時にバイオリンがめちゃんこ煩く鳴り響くだけの映画となってしまい、こんな評価になっちゃいました🙏
原作を読みたくなりました
面白かった。
さすがの吉田修一氏原作、映像美に反しての内容の重たさよ。
みんな松本まりかちゃんの色香に騙されてはダメよ!立ってるだけでフェロモン撒き散らしてる彼女に性別関係なく、気持ちを持っていかれると思うけども。
彼女もちょっと憑依型というか、すごく役にハマってしまう女優さんなのかなと思うけど、これは男子は翻弄されるよなあ、うまいなあと思って観ていた。
そして福士蒼汰くんのオラつきにも。
(なんかオラつき慣れてなさそうな感じが可愛かった)
そもそも彼は笑い顔というか、真顔でも目が涼しげに微笑んでいるタイプだと思うので、確かにこういう感じのお顔立ちで、実は突然キレるキャラとかだと周りは普段とのギャップもあって怖さが倍増なのはわかる気がする。
浅野忠信もよかった。
伊佐美は色々あってのあのキャラだったのを映画みてたらわかるけど、ああなるまでにどれだけの失望を繰り返したのかなとちょっと気の毒になった。
想像以上の悪が隠れてるよ。
実際の事件を滲ませて作品を作る?というかみんなが知ってる事実を織り交ぜた方が話の内容に真実味が増すというか、想像しやすくなるというか。
なんかそんな作品が吉田作品には多いかなと思いました。
原作読みたくなったわ。
場面展開と、 福士蒼汰の役どころが、 ところどころよく分からなかっ...
場面展開と、
福士蒼汰の役どころが、
ところどころよく分からなかった
でも全体通して悪くない
浅野忠信が、
桑田佳祐に見えて仕方がなかったのは、
私だけですか?
だれか教えてほしい
だれか教えて!一体なんの映画だったんだろう?観終わったからずっとモヤモヤが止まらない。
殺人事件から始まって、介護職の環境問題?刑事の威嚇、違法捜査?薬害?731部隊に政治的圧力、挫かれた正義感、子どもから見たら老害?
主人公、2人の絡みのシーンだけが、別の世界のように感じるし。間違ってもあそこに、愛だとか恋愛感情のようなものは存在しないだろうし。
テーマになりうるものがたくさんありすぎて、なにが「きれいなもの」なのかさえわからなかった。
書いていて思ったが、そのなにがなんだかわからない、そのことこそが現代社会なのかもしれないなぁ。
まとまりと繋がりがない
介護殺人とほの暗い男女関係が数奇な交わりで繋がって…?!的な展開かと思ったら別に何の関係もなかった。
何か被害者の身元が面倒な立場のせいで国を巻き込む大事件のように思えたが別にそうでもないかもみたいなサスペンスの横で、変態と変態がくっついて離れただけの話で、特に何も複雑怪奇でもなく問題も解決せず全員何がしたかったのか分からないまま終わってしまった。
耽美な雰囲気だけ味わいたいなら美味しく頂けるかもしれんがサスペンスを添えるな。
もしくはサスペンスにSM耽美を添えるな。
味分からんくなるわ。
松本さんが折れずに強かであり続けたのが嬉しかったです。
私はやってない!聴いてない!のシーンでガッツポーズしちゃうわよね。星おまけしちゃう。
不快エンタメ
って昔から有るんでしょうね、誰が観るんだ? 胸糞映画って奴。今作もパワハラ、クチャラーまで出て正直苦痛。だが段々社会派ぽくなって来て、幼い悪意とかも絡んでどう終わるのか? と期待が生まれたんですが・・上手く畳めませんでしたね。シャコンヌ?ですかね、邦画で良くやる悲愴なバイオリンにも辟易しました。
射たれた! でかい水音♥とかもう笑いが浮かびました。
この作品を1回目見た時は内容が衝撃すぎて私の頭の中で上手く整理出来...
この作品を1回目見た時は内容が衝撃すぎて私の頭の中で上手く整理出来なかった。何故か不完全燃焼気味だったので2回目を見に行った。全く違う生き物を見たような衝動、いや違う!心の静けさである。人間の欲望や子供達の歪んだ思想、どんなに生活を犠牲にして真実にたどり着いたとしても権力の一声でなかった事に出来る闇。でも湖はいつもそこにあって静かなんです。この辛い出来事は全て湖の記憶であり私達はそれを見せられている、そんな錯覚に陥る作品でした。ラストシーンの湖はただただ静かで泣けました。私の頭の中で合点がいきました。またイケメン俳優代表の様な福士蒼汰さんの麗しさを封印した演技力!痺れました。
所轄署無能すぎないか?
原作未読です。
大疑獄事件ともいえる隠蔽された薬害事件と施設におられた百歳の老人の不審死を絡めテーマにして雰囲気で押しきろうとした映画。
俳優たちの演技は極上で、松本まりかの被虐性をそそる演技、対になる福士蒼汰も剥き出しになる本性を見せる役の振り幅は新境地と言っていい。が、肝心の設定が残念過ぎる。
薬害事件の元凶が戦前の731部隊に求めるのは、無理に無理を重ね過ぎである。令和の今に731部隊って何年経っているんだよって突っ込みそうになりました。
その不審死した被害者が731部隊関係者でその妻が三田佳子。その731が活動した中国東北部の現地に駐在して行ったということは年齢は90以上くらいのはずで若すぎないかと違和感を持った。
そのうえ福士蒼汰の所属先の署が無能すぎて許容範囲を越えます。
ここには鑑識がいないのか。指紋や録画をチェックして物的証拠を上げようしない。目立つのは取り調べで怒鳴るだけであまりにも前時代的過ぎる取り調べを繰り返し被疑者に訴えられる始末。
一番興ざめだったのは介護施設経験者として知っているが、これくらいの施設なら至るところにカメラが配置されているはずでそれをチェックしなかったのか、見たら一発で事件解決です。
評価として星3つ、つけましたが見るべきものは俳優の演技だけでした。
ポンポさんみたいなプロデューサーはいないのか。
刑事と被疑者のいびつな愛。
看護師と介護士の問題。
圧力によって潰された薬害事件。
冤罪をうんでしまうような警察の取り調べ。
もう一度掘り返そうとする記者。(無理やろ)
満州での生体実験。
生産性のない老人は生きている必要がないと思っている若者たち。
等々。
すべてが中途半端。
スマホ使ってるから、防犯カメラのない時代の話でもないし。
いっそのこと、松本まりかと福士蒼汰のパートをなくしてありきたりな社会派ミステリーにすればよかったのに。
あ、この二人が主役か、、。
せっかくの松本まりかの熱演がもったいない。
城定さんに監督してもらったらよかったのに。
巧い俳優さんたちがみんな下手に見える演出や(北香那の関西弁はよかったですね)、後ろから衝突されたのに音だけで衝撃のない事故のシーンや、激しいシーンで激しくなる音楽や、とっ散らかった脚本とか、途中でダメ出ししたり無駄な場面カットしたりしてくれるポンポさんみたいなプロデューサーはいないのかな。
日本映画は、監督と脚本をひとりでしてる方が多いけど、是枝さんみたいに商業的な成功も視野に入れて映画作りしてる人以外は、せめて脚本は共同で書くか他に任せたらいいのに、といつも思ってしまう。
よかったところ、よかったところ、🤔
奥野瑛太また出てたけど、奥野瑛太でなくてもいい役だったし、、。
三田佳子さんの若い頃を演じた穂志もえかきれいだった。
様々な社会問題を提起した奥が深く、かなり見応えのある作品
原作未読。謎は多いけど、時間を忘れてしまうほど見応えのある作品と感じました。
この映画は「楽園」と同じように事件を解決していく物語ではなく、事件を捜査していく上で浮かび上がる社会問題を提起することを根本に置いているのだと思います。
個人的な感想なので、正確ではないかもしれませんが、具体的に感じた社会問題を列挙します。
①警察による自白強要・SM支配
②薬害問題の隠ぺい
③障害者の生産性のなさの指摘
④高齢労働者の重大な過失の発生
①と②は映画を観れば分かると思います。
③は劇中の週刊誌の中で指摘されますが、障害者だけではなく、高齢者も生産性がなくなりますので、今回の老人死亡と絡めているのだと思います。
この映画の事件で、2人目の死亡した女性被害者はなぜか誰なのか明らかにされません。
ここがポイントなのでしょう。つまり、薬害問題は死亡事件に関係ないのだと思いました。
おそらく、女性記者が怪しいと感じた女子中学生の孫と一緒に住んでいる高齢の女性介護士が犯人の可能性が高いです。この介護士は孫と電話でやりとりしている時に、孫から日にちを間違えてぼけているのではと話します。
このことから、女性介護士の重大な過失による医療ミス(故意に人工呼吸器を外したのではない)と感じました。それで2人目の被害者の氏名が明らかにされないのであれば、整合性がつきます。これが④に該当します。
正確な感想ではないかもしれませんが、「楽園」と同じように事件解決ではなく、社会問題の提起を主眼としている映画と考えれば、多角的な考察ができ、面白い映画だと思います。
吉田作品はすきでよく読んでいるが、この作品はよくわからない内容だっ...
吉田作品はすきでよく読んでいるが、この作品はよくわからない内容だった。
であるが、映画化されたので観てきた。
原作と同じ、よくわからない内容の映画だった。
もちろん、原作を読んでいるのでわかるのだけれども、読んでない人にはわからない内容の
映画だと思った。
面白くない、重い、暗い映画。
主演二人は頑張って演技したのだろうとは思うけど・・・
福士蒼汰の全裸姿は、興行収益を上げるためのサービスショットか?
実際に起きた冤罪事件がベースだそうですが、ちょっと捻りすぎかも!
吉田修一作品は殆ど読んだことがないのですが、これは琵琶湖湖畔の老人介護施設で起きた冤罪事件を元にした犯罪小説がベースになっています。
ただ、この映画では老人介護施設で働く女性(松本まりか)と偏った操作にのめり込む刑事(福士蒼汰)の歪な性的関係や、真犯人である中学生の女の子を追う雑誌記者(福地桃子)が複雑に絡むストーリーですが、爽やか系俳優の福士蒼汰がイメージと違った演技を見せ、親の七光り女優の福地桃子が一皮剥けた演技を見せています。
松本まりかの艶技は相変わらず生唾ゴクリです!
人間の様々な欲望を得ようとする行為が詰まった感じの作品。 本年度ベスト級。
観られる時間帯の作品が本作のみと言う事で観賞。
雰囲気は良いし色んなドラマのそれぞれは良かった!
だけど纏まりが無かった感じの作品だった印象。
介護施設の殺人事件の犯人を探す福士蒼汰さん演じる刑事の圭介。
その上司の浅野忠信さん演じる伊佐美。
過去に50人以上の犠牲者を出した薬害事件の真相を追う週刊誌記者の福地桃子さん演じる池田。
この2つのストーリーに加え、刑事の圭介と介護施設で働く松本まりかサン演じる佳代のSMチックなHなストーリーが同時進行(笑)
本作は福士蒼汰さん演じる刑事の圭介とその上司の伊佐美が主役って感じだった。
介護施設で犯人を探す圭介と伊佐美。
かなり強引な進め方で怪しい人物を犯人に仕立て上げる感じが胸糞悪い(笑)
それっぽい犯行動機の調書を書き上げ容疑者に無理矢理サインさせようとするシーンが最悪。
この行為は過去の薬害事件が国のある機関の圧力で捜査が出来なくなり迷宮入りしてしまった刑事の伊佐美の無念の想いがそうさせてしまった感じ。
福士蒼汰&松本まりかサンのエロいシーンが凄い(笑)
このシーンが本作でどのような効果をもたらしているのか謎(笑)
本作が表現したかった「慾望」の象徴だと自分的に解釈。
殆どの登場人物が壊れた感じに反して、美しい景色が多く印象に残る。
だけど、自分の思考回路をフル回転させながらも本作を理解する事は出来ず(笑)
人間の様々な欲望を満たす為の行動を描いた作品なのかな?
刑事が犯人を特定しようとする慾望。
記者が迷宮入りした事件の真相を究明しようとする慾望。
男と女の性の慾望。
と自分的な落とし所としました(笑)
松本まりかサンが美しかったけど、それ以上に福士蒼汰さんの演技に圧倒された感じ。
本作で唯一まともな人物は福地桃子さん演じる記者の池田だけだったかもしれません( ´∀`)
松本まりかがめっちゃエロい
湖畔に建つ介護施設で、100歳の老人生命維持装置が外れ亡くなった。殺人事件として捜査が進められ、担当する西湖署の若手刑事・濱中圭介とベテラン刑事・伊佐美佑は、施設関係者の中から無理矢理容疑者を挙げて、執拗に取り調べを行ない自白の強要まで行った。圭介は捜査で出会った介護士・豊田佳代に対して支配欲を抱くようになり、性的奴隷の対象とした。そして、事件を取材する週刊誌の記者・池田由季は、署が隠蔽してきた薬害事件が今回の殺人事件に関係していることを突き止めたが・・・さて犯人は?という話。
まず、刑事があんなクソみたいな恫喝、自白の強要などの取り調べして良いの?
そして731部隊の事と薬害被害を絡めるのはわかるが、裏事情が掴めた記者は何もしないの?
防犯カメラに中学生は映ってなかったのは伊佐美がウソをついてるのか?
濱中は佳代を最終的にどうしたかったのだろうか?
最初のシーン、佳代が湖畔で自慰するのが後に続くのはわかるが、父親からDV受けてたのが原因なの?
などなど、わからない事だらけ。
真犯人は誰?
なんかモヤモヤしたが、福士蒼汰や浅野忠信のクソ刑事ぶりや佳代役松本まりかのエロい表情など素晴らしかった。
三田佳子の若い時を演じた穂志もえかが色気があって美しかった。
☆☆☆★★★ 〝 生産性の無い人間には、果たして生きている価値が有...
☆☆☆★★★
〝 生産性の無い人間には、果たして生きている価値が有るのか? 〟
原作読了済み。
元々、原作も好きで、まりか嬢も好き。
…って事で、1ヶ月半振りに映画館へ行きレイトでの鑑賞。
何しろ原作自体が、変態刑事と超絶M女のSM濡れ場の連続…って内容が満載ですから旦那!
まだ無名時代の頃から(ひそかにですが)応援していたまりか嬢の濡れ場が有るかも?
(無い方がおかしいだろ!って話ですけどね)
…等とゆう不埒な心など、この私には 肛門見えても、、、ゴホッ!こう見えても一切ございませんですハイ!
まあ原作では、女は変態刑事に肛門見せまくってはいますけど^^
絶妙に見えそうで見えないんだよなあ〜(T ^ T)
映画は、ほぼほぼ原作通りに進んで行く展開にはなっていましたかね。
・変態刑事とM女が全体の6。
・薬害事件の裏を探る記者の話が3。
・残りの1が戦前の731部隊を背景にしたハルビンでの話。
大体こんな構成の原作だったでしょうか。
↑と書くと、かなり大掛かりな内容かな?…と思う人もいらっしゃるとは思うのですが。実は、原作自体が、731部隊を背景として取り入れつつ、どでかい大風呂敷を掲げながらも、全く回収し切れていない…ってのが実は現状。
いや、、、まあ、、、そりやそうですよ。現実には、それが(題材的には)当たり前っちゃあ当たり前なんですけどね。
だから731部隊の生き残りが、薬害事件を過去にも起こしていた…らしいとゆうスクープを追う記者の話を挟みつつ、縦軸として置くのは。そもそもが変態刑事とM女の話を中心に据えた原作では有るのですが。
これがまた、なかなか読ませる原作なんですよねえ。
まあ、良く言えば《挑戦的》で有り。或る意味、悪く言えば《滅茶苦茶》と言い切って良い原作かなあ〜と(苦笑)
何しろ、大風呂敷を掲げた731部隊で有り。薬害事件で有り。ストーリー展開の取っ掛かりで有る事件(その後、連続事件へと発展する)は、最後まで回収されない!
いや!はっきりと言えば、犯人は明らかにはされるのですが。その人物を《示唆》示すところで、【原作】【映画】共に終わる。
これは原作の終わりの辺りでの描写が有り、映画化でもほんの一瞬だけ《津久井やまゆり園》の事件が映る。
原作者自身が、この事件にインスパイアされて書いた原作なのではないか?…とゆうのは、大体想像は出来るところでした。
それに付随して、おそらく過去に世間を戦慄させた少年犯罪事件も取り入れたのでは、、、とも。
それだけに、各々の【迷宮性】が合体してしまい、収拾が付かない状況に陥り。しかしながら、最後の最後には、背筋にゾクゾク…っとさせる余韻を残す筆力の高さ。これこそが吉田修一の為せる技だなあ〜…と、思わずにはいれない原作だったと思っています。
ところで、原作は『湖の女たち』ですよね!
但し、(個人的に読んだ感じでは)【女】でしか無かった気もしました。
少なくとも【女たち】で有るならば、3人は必要なんじやないか…と。
だからでしょか?元々雑誌記者は男の記者だったのを、映画化では福地桃子演じる女性記者に変更されています。
(原作だと、ヤクザ組織らしき男達から拉致され「この話から手を引け!」と脅され、さるぐつわをされた挙句、川に投げ落とされる)
それによって、映画を観た感じでは。確かに【女たち】とは言える感じにはなっていたでしょうか。
…とは言え、やはりかなりしっちゃかめっちゃかな話では有るんですけどねえ〜。
でも、私が原作を読んで凄く好きだったのが、、、
結局何も起こらない、、、と思わせておいて。今この直後に〝 何が起こっても不思議じゃない 〟…と思わせて閉じるところ。
特に素晴らしいのが、漆黒の闇から夜が明け始め。やがて朝焼けから朝になって行く描写を克明に記すラスト数ページでの秀逸な描写。
ここを映画化では、再三に渡ってバッハの旋律を背景にしての映像化でしたが。ここはやはり音楽は無しで、、、
・木々を揺らす風の音
・水面の波紋も岸にたどり着き聞こえる水の「タポタポ」とゆう水音や魚の跳ねる音。
・朝が白んで来るに従い啄む小鳥のさえずり。
・周辺の家々や船等の生活のリズムが織りなす自然な音の数々。
…それらを背景にしては、漆黒の闇の間に〝 フッフッ 〟っと沸き起こって来る人間の闇の感情が。今、まさに「ムクムクっと」起き上がって来る瞬間の【気味の悪さ】と言ったところでしょうかね。
それを表現するには音楽無しの自然音こそが相応しい…とは思いました。
まあ、無い物ねだりにはなってしまうのですが、、、
自分の思っていた事と違う方向へと物事が進み、思い通りにならないのを悟った時。1人1人の《自我はやがて崩壊》し始めて行く。
現代社会で何かと問題となる師弟関係でのパワハラ問題。
その流れは徐々に下の者へと行き。止める手立てを持たない人間は、どんどんと壊れ始める。
元々は軍国主義の階級制度から《上官の命令》の名のもと、延々と続く流れ。
時代は変われど社会全体にも蔓延し、昨今の世界中でも止める事がなかなか出来ない。
どことなく原作者自身に、〝 それ 〟を憂いていた原作だったのか?…は、想像の域を出ないのですが。読了後に、ほんの少しそんな匂いを感じた原作では有りました。
そんな主演の2人は文字通り体当たりの演技。
内容&キャラクターに於いて、どうしても「何故?」「どうして!」等の否定的な意見はどうしても出て来るのは予想される。
それに対しては…「だって出逢っちゃったもんなあ〜!」ってのが、個人的な意見ですかね。
お互いが同じ匂いを発しては繋がり会ってしまったのだ…と。
道徳的に否定される方には、「まあ好き好きで」としか言いようが無いですハイ!
いずれにしても福士蒼汰・松本まりなの両名にとっては、間違いなくターニングポイントとなる作品だと思います。
その2人の人格崩壊に関わるのが、元々は正義感の強い刑事だったのに現在は、、、とゆう伊佐美役の浅野忠信。
過去に受けた絶望から、今では周りの空気に流されるを良しとする。結果【闇に堕ち悪の権化】と化してしまった。
そんな伊佐美と対等に接する雑誌記者が福地桃子。
彼女のキャラクター自体が原作では男性だけ有って。例えヤクザに脅されようとも、グングン前に突き進んで行く。
だから、最早【悪の権化】と化した伊佐美であろうとも、対等の立場を貫き情報を分け合う。
伊佐美のキャラクターから言って、相手が若い女の子だと。どうしても映画化に於ける対等的立場に違和感が強く感じてしまう。
…とは言え伊佐美の心の中にも、ほんの少しだけ《腐っても鯛》の心が残ってはいたのだろう。
いや!寧ろ、福地桃子のピュアさに心の中の波紋が揺れたのか?
その意味で、女性キャラへの変更には大きな意味が有ったのかも知れない。
他の主演者にも一言だけ。
警察関係者で目を引いたのが近藤芳正。
出演場面は少ないのですが。緩急の台詞回しで、この男自体も、伊佐美よろしく過去には(おそらく)【闇に堕ちた】男だったのだろう?と思わせる演技。
美しい所作で「ハッ!」とさせるのが三田佳子。
まさに気品に満ちた美しさに目を奪われる。
そしてもう1人、冤罪の罪を被せられる財前直見は、間違いなく賞レースに絡んで来ると思わされる。
大森監督の演出は、元来暴力的な題材に長けているのは勿論では有るのですが。個人的には、その直接的な暴力描写よりも、寧ろ〝 これから一体何が起こるのか? 〟を想起させる前後に本領を発揮する監督…と言った印象が強い。
その意味で、この作品は《らしさ全開》かと思いました。
ところで、原作者自身はかなり映画通と思うところが、これまで多くの原作が映画化されているだけに感じるところが有るのですが?
この原作でも、ヒロインにあたるM女が、終盤に警察署にやって来ては唐突に「私です!」…と、自我が崩壊する場面。
原作を読んでいた時から思っては居たのですが、これってひょっとして《若尾文子》を意識して描写してはいないですかね?
あくまでも、個人的に「何となく」では有るのですが。
2024年5月18日 TOHOシネマズ錦糸町オリナス/スクリーン7
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