「マンガのような実話」グランツーリスモ Yutes79さんの映画レビュー(感想・評価)
マンガのような実話
プレステのレーシングゲームのチャンピオンが実際にプロレーサーになる話
……と、言われて、正直、あまり観たいと思える作品ではありませんでした。
「あー、そう来たか。eスポーツも盛んだし面白いとこに目をつけた映画だな」と思った程度でそこまで興味はなかったのですが、なんとこれ実話。「グランツーリスモ」の大会での成績優秀者を実際のレーサーに育て上げるアカデミーがあり、既にレーサーとして活躍している人がいるそうなのです。
自分は「グランツーリスモ」をプレイしたことがなく、全く知識がないのですが、いくらなんでもゲームでしょ。その優勝者には実際のドライビングセンスがあると断じた、このプロジェクトの発案者もすごいのですが、それより何より、どれだけ「グランツーリスモ」って実際のレースカーを再現しているんだよ、と驚きます。あとで知りましたが「グランツーリスモ」はゲームではなく、その再現度の高さからシミュレーターと評価されているそうですね。
そんないわゆるゲーマーから最初にレーサーになったヤン・マーデンボローの半生を描いた本作。ハイライトはル・マンの24時間。劇中、このレースに臨むヤンは「何千回とプレイしたコースだ」と言い切るのですが、実際のレーサーでもさすがにル・マンを何千回も走行することはないですよね。ゲーマー、すげぇ!ちなみに、ヤン本人は、本作でのレースシーンのスタントを担当したそうです。
このジャンルの映画は、ここ数年では『ラッシュ/プライドと友情』、『フォード vs フェラーリ』など、かなりレベルの高い作品が公開されました。個人的にはそれらに比べるともう一歩と思ってしまう本作でしたが(これは主役の力量の差が大きかったと思います)、「グランツーリスモ」が日本で開発されたゲームであること、またこのプロジェクトのバックにつくのは日産ということで、何かと日本人には親近感が湧く作品でした。