「ヒューマンドラマとして観ればより楽しめたのだろうと思う」グランツーリスモ ひりさんの映画レビュー(感想・評価)
ヒューマンドラマとして観ればより楽しめたのだろうと思う
グランツーリスモのゲームを1~7までプレイ済みのゲーマー。
まさかGTが映画化と最初に聞いた時は、一般のレースから世界的レーサーまでのサクセスストーリーを描くのかと思っていたが、実話を元にしたフィクションとのことで楽しみにしていた。
軽い粗筋として、主人公のヤンはGTを愛し、車を愛している青年であり、1ゲーマーがプロレーサーとやり合い成長する姿を描いている。
総評すると、GTやアカデミー、ヤンの実話をそこまで知らない方が楽しめたんだろうな、と思ってしまった。
まず、使用しているサーキットが実際とは異なる場所で撮影している。
「これ別のサーキット名乗ってるけどハンガロリンク(ハンガリーブダペストに位置しているサーキット)だろ」という疑念は最後まで消えず、結局本当にハンガロリンクでほとんどの撮影が行われたと聞いた時はがっかりしました。
アカデミー時代のシーンでシルバーストーンに存在しないような形状のコーナー(おそらくハンガロリンクの第1コーナーの逆走で撮影)でクラッシュしたり、ル・マン24時間耐久のシーンでセーフティカーのピットインするコースが本来のサルト・サーキットと逆だったり、明らかに形状が実際のものと異なっている最終シケインだったり、ユノディエールの路面ペイントが実際のものと異なっていたり。
どうせSONYなんだから、背景くらいグランツーリスモのグラフィックを使ってしまった方が良かったんじゃないと思うほどでした。
これらが最後まで気になりすぎて、素直に楽しめませんでした。気にしすぎかもしれませんが、ル・マンの使用許諾が取れたのかとウキウキしながら見ようとして別のコースでの撮影と知った時のガッカリ感は酷かったです。
逆に、ちゃんと使用許可が取れたオーストリア、ドバイ、ニュルはしっかり描かれていて素晴らしかったです。
実話を元にしたフィクションであり、GTアカデミーの開始がGT7の時期だったり(実際はGT5,6の時期)、ル・マン3位入賞よりも先にニュルでのクラッシュが描かれていたり、LMP2マシンが時速360キロオーバーを記録していたり、ヤンの初戦がドバイ24時間耐久で3位入賞ではなくレッドブルリンクでのリタイアとなっていることなど、実話と異なる点が多くツッコミどころも多々あった。
しかし、マシンのエンジン音や臨場感は言うことがないので星1つ追加。
アマプラなど、音響設備が満足でない環境で観ていたら星1つだったかもしれない。