劇場公開日 2024年2月2日

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「令和によみがえった『仮面ライダー555』」仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5令和によみがえった『仮面ライダー555』

2024年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

幸せ

前提として
・『仮面ライダー555』本編、『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』は視聴済。
・田崎監督の他作品だと、『仮面ライダー』シリーズを大体視聴済。

どうあがいてもファイズ。

まずは年齢を重ねたキャスト陣が同じ役で集合していることに感謝。20年前の作品だからなおさら。

その上でストーリーに破綻が無いすごさ。というよりもまぁまぁ強引に進めるのにも関わらずついていけちゃうすごさ。バトルの勝敗とか昔からこんな感じだよね。物語の展開の都合で強さが一転する感じ。懐かしい。
そういえばファイズってこういう雑な感じも含めてファイズだったなぁと思い出がよみがえる。内容というかテーマも基本変わらず。ファイズと言えば"愛"だよね、うん。……むしろ色濃くなってないか?

キャラクター面でいうと、みんな年取ったなぁという印象。真理ですらそう感じるのだからみんなそうなるよね。
でもその変化とは逆に、変わらないところもあるのが心地よい。
ここは真理の心情描写が一番良かったと思う。芯がブレないというか、「そうそう、こういうこと言えるのが真理だよね」っていう納得感のあるセリフ。真理にはあるサプライズが隠されており、もはや「真理が主人公の物語なのでは?」と感じるほど。
たっくんと真理の関係性が俺の中の解釈と違っていたが、納得はできる。草加との関係性は違和感が全くなくて良い。……思ってたよりドロドロだな。

そして新キャラクター。いやぁ、クセが強い。草加には負けるけど、十分強い。特に女性陣。たっくんにヤンデレを発揮する玲菜(ただし純愛)と、地味にヤバいケイ。新生スマートレディは相変わらずスマートレディ。
あと、啓太郎の孫である条太郎が、見事に啓太郎の遺伝子を継いでいた。特に笑顔。いいね、いいよぉ! なぜか旅をしている、啓太郎が後を任せたくなるのも分かる。本当に良かった。

さて演出面。なんか苦笑いしちゃう部分が異常に多かった。ある程度は意図してるんだろうし、ファンとしても温かい目で観ていたいのだが、身内ネタになりかねない危うさがあった。もう同窓会だよね。草加のネタキャラ化は異常に進行しすぎ。これはまぁ、ファンだから許したくなっちゃう。
終盤の展開とかめちゃくちゃアツかったから全部許しちゃう。あのBGMとたっくん無双はカッコ良すぎる。
PG-12で、かつ映画だからこそ、当時ではできなかったけどしたかったのであろう要素が多々見受けられた。たしかに『555』。

戦闘面は相変わらずかっこよい。ちょっと平成二期とか令和テイストが入ってきたかな……? ネクストファイズのアクセル演出は案外好み。でも一回しか観れないの物足りない……。

本当に細かいことを書くと、ファイズ勢の着ぐるみの劣化具合が気になってしまった。新造のネクストファイズ、ネクストカイザ、ミューズ、新規オルフェノクがいるからこそ補修のあとが目立つ。正直に言ってウルフオルフェノクはひどかったぞ。

どうあがいても『仮面ライダー555』ファン向けの作品であり、それ以上でもそれ以下でもないといった感じ。奇抜な部分だったり、新鮮味を感じるところ、令和だからこその変化もあったりするが、やはり『555』である。
ファンへの贈り物としては正解だと思う。かつての名セリフや表情をしても、くどくはなかった。ただファンへのプレゼント以外の何物でもない。

ファンには嬉しい要素尽くしだが、それ以外にはオススメできない同窓会。そんな作品。
ターゲット層は撃ち抜いていると思う。

NandS