「あまりにも描写が不足してる」駒田蒸留所へようこそ たろうさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも描写が不足してる
お仕事シリーズのファンという事もあり、新作の公開を楽しみにしておりました。
が、結論から言うとシリーズものとしても、一般論としても、なかなかに酷い出来なのではないかと思いレビューする次第です。
ものすごく端的に言うと、圧倒的に説明=描写が足りていない。だから人物の心情の変化にいちいち共感できない。
新人とはいえ25歳、社会人経験が5年目の人間としては余りにも未熟な人物描写からスタートし、体験取材とは結局何をして、何がきっかけで心を入れ替えたのか、いつ社長達との距離感が縮まったのか、、、全てが有耶無耶でした。
映画の演出として、当然全てを「説明する」必要はありませんが、観客が行間を読み取り各々の中で「説明がつく」状態になるまでのヒントを出すのは最低限必要なのでは?
この辺りが揃って初めて、「自分とは違うけどこの主人公はこう考え、こう解決したんだ。
自分とは違うけど、こんな物語もあるんだ。」という感動に繋がるのではないでしょうか。
社長やその家族、社員も皆、、、
言ってしまえばそれぞれの人生を感じず、ただただ90分の間を埋める為に動いているようでした。
例えばなぜ家族ぐるみでそこまで兄を憎むのか、と考えても
現実的に考えると兄のやり方で物語が終わっちゃうので、それを感情的に否定しているだけなのでは?と制作側の意図を邪推してしまうような。
物語という特殊解が、視聴者が現実的に思いつく一般解を乗り越える展開にはなってなかったですかね。
過去作と比較しても仕方ないですが、SHIROBAKOが現実でもありそうな辛さや葛藤を、アニメならではの多少リアリティラインがぶっ壊れた演出によって「物語」に昇華してくれていたのに対して、本作は真逆でした。逆SHIROBAKOでした。
題材や雰囲気はとてもいいのに。
残念ながら、つまらないとしか言えなかったです。